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5・お頭の仕事

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「ふわぁー。」
あくびをしながら対象となる屋敷が見える所に待機中だ。
今回はゼンを連れて来れなかったから部下には気を引き締めて行く様には言っている。
(無傷では済まないだろうなぁ。やはりもっと部下を鍛えないといけないか・・・)
今更後悔しても遅いのは分かっているが予想外の事で対応が追い付かなかったのだ。

貧困に陥ってる村等から更に金銭等を徴収している輩から。
今回はお金を捲し上げるか!その他は追々としよう。
「さぁ、作戦通りに行くぞ。手練れがいるとの情報だ、今回こちらは戦力は心もとない。仕方ないとはいえ無理はせず程よく撤退するように!金銭物が今回の目的だ。そして、毎回言っているが誰も殺すな!それだけは必ず誓え!以上配置につけ!」
今回の手練れがどこにいるか分からないのがネックだな。
それにしても眠いなぁ。寝たらダメか?
「お・か・し・ら?」
びくっ!!??
「もしかして、寝ようとしてませんか?」
「・・・。いや。」
「ほんとですか?今回は結構気を引き締めないといけないんですよ!私もそろそろ配置につきますんでお頭の事は部下に任せますが・・。くれぐれも。くれぐれも!寝ないでくださいね!」
「ああ。」
何故わかる・・・。

俺は裏口からの侵入。
部下が照明を落とし、騒ぎを起こさせてからの侵入。
(手練れが誰かという情報が入ってこなかったのが痛手だな・・・。)
時間になり部下が騒ぎを起こしたのか屋敷の方が騒がしくなった。
「行くぞ!」
今回は地下に目的の物がある。早々に撤退で大丈夫かと思ったが・・・・。

ひゅっ!

何かが走る音がして反射的に避けたら、近くにあった花瓶が切れていた。
「ほぉ・・・。この一発目が避けれるか!」
「まさか、お前がここにいるとはな。こんなゲスな奴の護衛をしてるとは思わなかったぞ!」
目の前に現れたのは、「瞬老のヨービル」くそっ!予想外だ!
「おい。お前らは先に行け!」
部下はビックリした様にこっちを振り向いた。
「ですが!お頭」
「大丈夫だ。こいつは俺が相手しておく。お前らは任務を遂行せよ!」
「・・・・。分かりました。必ず戻ってきてくださいよ!」
その言葉にうなずき。腰に差していた剣を引き抜いた。
横目で部下が行くのを確認して目の前の相手を見つめた。
「もう一回聞く。何故お前がここにいる。」
「そうじゃの・・・。教えてもいいのじゃが、それでは面白くないの。」
俺は舐められているらしい。イラついたが、心を乱すと剣も鈍る。
何とか落ち着かせた。
「じゃが、わしもここに未練は無いからの。一つはおぬしに会うためじゃが」
瞬老はふぉっふぉっ。っと笑っていた。
「俺にだと?」
「そうじゃ、そんなに構えなくとも良いのじゃが・・・。手合わせはしたいのー。」
そう言いながら、急に持っていた小太刀を振りかざして来た。
間合いは俺が有利なんだろうが、瞬老と言われる程のスピードはある。

ガキィーン!

「ふむ。」
小太刀を受け止めたと思ったら急に蹴りを繰り出して来た。
びゅっ!
それを避けこちらも反撃開始だ。
避けながら、剣を下から振り上にあげた。
瞬老は予測してたように避けたが、袖が少し切れた。
そこからは、剣と小太刀の打ち合い。
たまに蹴りなども瞬老が出してきて俺自身も掠ったりする。
10分ぐらいやりあったのか・・・。
お互い一歩も引かずで俺は剣を上から下に、瞬老は小太刀を下から上に繰り出した所でお互い一時停止した。
「お主、若造じゃが中々やるの!」
「お前もな、瞬老いい加減答えてもらおう。何故ここにいる。」
緊迫した空気の中だったが気になった事を聞いた。
「いいじゃろ。楽しませて貰ったしの!」
ふぉっふぉっ。っと笑いつつも一旦剣をひいいた。
「お主に会うためと言うのはさっきゆ言ったの!それもあるんじゃが、ある人物を探してての。おぬしらが知らないかと思って近づいたって感じじゃ!」
・・・・。
「ある人物といのは誰だ?」
「ロゼという幼子じゃよ。」
表には出さなかったが内心は動揺していた。
「幼子?瞬老、幼子を探してどうするつもりだ。まさか殺すとかじゃないだろうな。」
「それは、ないのー。今までは関わっては来れなかったがただ守るという感じじゃの。」
ほぅ・・・。だが。
「知らん。何故俺らが関係してると勘違いされたのかは分からんし、何処でそんな与太話を聞いたかは知らんが、そんな幼子は知らん。」

ふむ。
顎髭に手を持っていき、何かを考えてるような仕草をしだした。
「確かな情報じゃなかったしのー。探してるのは儂だけじゃ無いがの。」
まぁよい。そういいつつ。小太刀をしまった。
「恐らく、給金は無いと思うからのそこら辺の金目の物をかっぱらって退散するかの!」
そう言って近場に何か無いか探しながら歩いていたが、急に立ち止まって。
「一つ言っておくが、もしその幼子の事を知っているのなら何等か巻き込まれると思っておいた方がよいぞ!わし等はそれから守ろうとしてるに近いからの」
そう言って、去っていった。
巻き込まれる。いったい何にだ?だが・・。もう放り出す事は無理な事。
そう考えていると瞬老が去っていた逆の方から
「お頭ー」
っと呼ぶ声が。部下が数人で駆け寄ってきた。
「お頭、任務成功です。」
そう報告を聞いた。
「なら早々撤退だ。」
そう言って。屋敷から去った。
警備体制がきついとも聞いていたが瞬老との間は誰も来なかった。
何故だ?
考えても仕方ない。
集合場所に行き部下たちの状況を把握し、けが人は今拠点としてる屋敷へ
他は今回徴収した物を元の村人に戻すという作業に別れさせた。
手練れが数名・・・。
瞬老のほかに誰がいてたか調べる必要はありそうだな。
考えるのは苦手だからリンゼルに任せて寝てもいいだろうか?
そう思い。屋敷に戻った。
移動日数入れて10日程ぶりだ。



「どうでした?あの方の情報は得られましたか?」
「いんや、知らんと答えおった。じゃが、何か隠してるのは確かじゃ!」
さっきまで警備兼護衛をしていた屋敷から去って少しした所で話をし始めた。
「早く見つけ出さないといけませんね。もしあのお方に生きているとばれてしまったら殺されるのは確実ですから」
「分かっとる。」
はぁー。誰でも産まれて生きているという事は平等なはずなのにのー。
不吉と呼ばれるだけで殺すとは・・・。
腐った世の中じゃの。
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