貴族なのに結婚できない‼︎‼︎

アクエリア

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三章 外国にて

町散策

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 今回向かう国、インドールは海の向こうにある島国だ。陸と繋がっていないため、港から船に乗り換えて向かわねばなら無いから気軽に行くことはできない。

 数日かけてやっとのことで港に着いたのはいいのだが、インドールに近い海が荒れているらしく、しばらく待たなければいけないらしい。

インドールからそのことを伝えに来てくれた使者は屈強な身体をしていて、容易に荒波を越えて来たのだろうなと想像させた。

 出発するまでは休暇という扱いだが、宿代は国が負担してくれるらしい。2人一部屋で宿に泊まるため、俺はボルデモート先輩と同室になった。

 一晩この部屋で寝て、起きたのだけれど……特にやることがない。流石に旅先にまでは、本当かも持って来ていないし、本格的に暇だ。

「なあハロイド。町に出ようぜ?きっとキレーな姉ちゃんたくさんいるぞ。」

 今まで、どちらも静かにベットに寝転がっていたのに、いきなり先輩が口を開いた。綺麗なお姉さんって……。殿下のことをチャラいってちょっと思っていたけど、どちらかというとチャラいのは先輩かもしれないな。

まあ、綺麗なお姉さんのことは置いておいて、町に出るのはいい案だ。暇つぶしに丁度いい。

「……行きます。」

「なんだ、キレーなお姉さんに釣られちゃったか。童貞っぽいもんな~、ハロイド。」

 なんなんだ。童貞って悪いことだったのか?殿下が自分で暴露してた時に笑っちゃったのは、殿下に遊んでるイメージがあったからで、決して童貞を笑っていたわけではない。断じて。

 それを笑っちゃったら、俺も童貞だから立つ瀬がなくなってしまう。

「じゃあ、先輩は違うんですか?」

「当然だろ。もう俺26だからな。」

「そんなこといってどうせそういうお店の人が初体験なんですよね?」

「そっんなわけないだろ?」

「声が震えてますけど。」

 図星か。ちょっと声が震えているし、ボルデモート先輩は存外わかりやすいな。お店の人はお金を払ったら、その分しっかりしてくれるんだろうけど。先輩も俺のことを揶揄えないな、これは。




 ちょっと下世話な話をしながらではあるが、俺たちは宿を出てとりあえず屋台が立ち並ぶ道へと向かった。

「何食べます?」

「肉一択だな。この町の串焼きがうまいって最近評判なんだよ。」

「……そういうって評判どこから聞くんですか?」

 城に勤めていてしかも先輩も同じ場所で働いているはずなのに、そんな話は聞いたことがない。俺が情報に疎すぎるだけかもしれないけれど。貴族として流石に無関心すぎたかもしれない。

 学園を卒業してから、領地の中のことについては詳しくなったけれど、なかなか情報収集となると時間がいるため、何もしていなかった。

 城で働くなら、国中から書類が集まってくるわけだしきちんと国のことを知っておかないと。

「どこからって普通に居酒屋だろ。行ったことねえの?」

「はい、まだ未成年なんで。」

 俺がそういうと先輩は目をパチパチと瞬いた。

「え、なんですかその反応。」

「20代じゃねえの……?」

「あと一年もないですけど、まだ未成年です。」

 先輩は、はあ……と大きく息を吐きだした。そして手で顔を覆って口を開く。

「俺、ハロイドと一、二歳しか変わんねぇと思ってたわ。」

「え、俺そんなに老けてます⁈」

「老けてるって、俺の年齢考えてから言えよな。」

「あ。すみません。」

 グニグニと顔を捏ねくりまわす。皴とかあるのかな……。

「まあ、顔が老けてるとか、皴があるとかじゃなくて、なんか雰囲気が大人っぽいんだよな。エッチな女秘書!みたいな?とどのつまりは色気がなんかやばい。」

 女秘書……?色気があるとかは言われて悪い気分はしないけれど、女って部分が余計だな。俺が考え込んでいる間にも先輩はまた続けて何かを言っている。

「まだ摘まれる前の花みたいな不思議な危うさがあるというか……なんなんだろうな。」

 こっちが聞きたいのだが。でも、なんか感想が結構気持ち悪い。

「宿に戻ったら殿下に部屋分け変えてもらうように頼みますね。」

「なんでわざわざ?」

「ちょっと先輩に襲われないか不安なんで。」

 怯えるように自分を抱きしめてから、先輩を揶揄うように笑う。

「襲わねえよ!」

 こういうやりとり楽しいかも。学園時代もそれなりに友人はいたけれど、こんなににふざけては喋れなかったからな。

 笑いながら歩いていると、後ろからポンッと俺の肩に手が置かれた。びっくりして思わず立ち止まってしまった。おそるおそる振り返ると、そこには陛下が。

 ……ん?理解不能だ。陛下は王都にいたはずでは?それになんだか険しい表情をしているし。助けを求めるように
先輩のほうを見てみれば、そこには小さな紙が。少し歩いて紙を拾う。

『面倒くさそうなので帰ります。』

 先輩、よくこの短時間でこんなにきれいに文字が書けたな。動揺しすぎて、変なところに感心してしまった。

 また陛下のほうへ視線を戻すと、今度は俺の手元にある小さな紙を見つめていた。

「どうかしましたか?」

「先ほど、物騒な単語が聞こえてきたから何事かと思って声をかけたのだが……逢瀬の邪魔をしてしまったか?」

「え⁈いやいや、あの人とは全然そんな関係じゃないです、安心してください。あの同僚といいますか、先輩なので、一緒に歩いていただけです。」

 人通りが多い中で、長身の男二人が立ち止まっているのは結構目立つ。どこか人目につかないところに移動したいけれど……。

 あ。あそこにいい感じの路地が。そこまで遠くもないし、あそこでいいか。

「陛下、あそこの路地に入りましょう。」

 そういった瞬間陛下の顔がボンッと赤くなった。……なぜ?
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