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二章 王弟殿下の襲来
お久しぶりです。
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「なんだ、兄さん。もう来たの?」
フォークからスッとカルボナーラを抜き取り、咀嚼しながら殿下が口を開く。
「もう来たのって……。え?」
驚いた様子のない殿下を見てなんだか状況が飲み込めない。それに陛下がこんなに大声を出したのは初めて見た。なんだか怖い顔をしているし。
陛下に自分で会いに行かないといったのに偶然とはいえ顔を合わせてしまったため、なんだか気まずい……。
それに陛下に変なことしてるところを見られて、気分は浮気しているときに恋人に出会ってしまった男だ。別に陛下と付き合っているわけではないけれど、告白されている立場だからなおさら変な気分だ。
陛下は殿下を睨み、それを受けている殿下はヘラヘラとしている。そして、放って置かれている俺。なんだか俺に怒っているわけではないみたいだし、隅にはけておこう。ススっと給仕の横に立って2人を見る。
「皆が騒がしいから何事かと尋ねてみれば、お前がユニファートと一緒にいるなどと聞かされた俺の気持ちがわかるか!しかも慌ててきてみれば、レオンはユニファートにあーんとかしてもらってるし!」
陛下に初めて名前で呼ばれた……。今まで『お前』とかでずっと名前で呼ばれなかったのに、初めて固有名詞で……!
なんだか、ソワソワしてしまう。落ち着かないというか、頰が熱いというか……つまりは照れくさい、のだ。
「なんだ兄さん、そんなこと?二十歳過ぎてるのに、ほんとおこちゃまだね。」
クスクスと殿下が笑う。え…殿下はアレをしてもらうのが普通なのか……?俺もあーんとか女性にされたら、ドギマギしてしまう気しかしないのだが。
動揺していると、陛下がいきなりこっちを向いた。
「ユニファートが、アレを進んでやったのか?」
誰が殿下に…。これだけは絶対に否定したい。
俺は全力で首を振った。
「そんなわけないじゃないですか!」
「……ハロイドくん、それはさすがに俺も傷つくよ?」
「え、あ……。すみません。」
どうしたんだ、俺。なんだか今日は落ち着きがなさすぎる。ちゃんと、落ち着かないと。とりあえず、一度深呼吸をした。
……うん、大丈夫。ちょっと視界がスッキリした。
「あの、さすがに仕事場に戻らないといけないのですが、よろしいですか?」
「あ、ああ。」
陛下が少し驚いたように返事をする。陛下の反応を見るに、時間のことをまったく気にしていなかったな。俺が今ちゃんと就職してるってこと忘れているんじゃなかろうか。
呆れるように溜息をついて、2人にきちんと礼をして階段を降り始めた。
たしか一日のノルマは書類の山一個だった気がしたけどもう少しで終わりそうだったな……。仕事新しいのもらえるかな。
フォークからスッとカルボナーラを抜き取り、咀嚼しながら殿下が口を開く。
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陛下は殿下を睨み、それを受けている殿下はヘラヘラとしている。そして、放って置かれている俺。なんだか俺に怒っているわけではないみたいだし、隅にはけておこう。ススっと給仕の横に立って2人を見る。
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なんだか、ソワソワしてしまう。落ち着かないというか、頰が熱いというか……つまりは照れくさい、のだ。
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動揺していると、陛下がいきなりこっちを向いた。
「ユニファートが、アレを進んでやったのか?」
誰が殿下に…。これだけは絶対に否定したい。
俺は全力で首を振った。
「そんなわけないじゃないですか!」
「……ハロイドくん、それはさすがに俺も傷つくよ?」
「え、あ……。すみません。」
どうしたんだ、俺。なんだか今日は落ち着きがなさすぎる。ちゃんと、落ち着かないと。とりあえず、一度深呼吸をした。
……うん、大丈夫。ちょっと視界がスッキリした。
「あの、さすがに仕事場に戻らないといけないのですが、よろしいですか?」
「あ、ああ。」
陛下が少し驚いたように返事をする。陛下の反応を見るに、時間のことをまったく気にしていなかったな。俺が今ちゃんと就職してるってこと忘れているんじゃなかろうか。
呆れるように溜息をついて、2人にきちんと礼をして階段を降り始めた。
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