9 / 40
一章 空回りな王様
今度こそ
しおりを挟む 喧嘩などろくにしたことはないが、幼いころから、ヤクザや刑事の役を演じる男たちの芝居風景を見慣れてきたせいで、どうすれば強い男に見られるか、本能的に習得していたのだ。
上級生たちは、大人しいと思っていた竹弥の気迫と演技力に気圧されてしまって、肩をすくめて去っていった。彼らが見えなくなってから身体がふるえてきた。
だが、今自分の前にいる男は、あのときの中学生たちのように、はったりが通じるような相手ではない。
この状況でどう立ち向かえばいいのか。竹弥はまさに絶体絶命だった。
「うう……」
びりびりに切りきざんだ下着の残骸を引っ張ると、相手は笑ってそれを床に投げすてる。
「色っぽいな。近江竹弥のストリップか。高く売れるぞ」
「……ひ、卑怯者! こんなことして、なんになるんだよぉ……」
先の言葉は気強く放ったものの、後の言葉は涙声になってしまう。
「泣くなよ。うんといい気持ちにしてやるから」
「あっ! よ、よせ!」
男が、竹弥の前に膝をついた。
さすがに初心な竹弥も、相手がこれからしようとしていることに気づいて、全身を硬直させた。
「小さい、可愛い芽だ。かわいそうに、こんなに怯えて」
やんわりと、相手は指に力をこめて、竹弥の若芽をいじる。
「つぅ……!」
「よしよし、俺がこれから大きくしてやるからな」
まさか……、と竹弥はこの期におよんでも、未練がましいほどの期待を捨てれず、それにしがみついた。
竹弥だとて二十歳になる若い男で、男子寮で過ごしていたのだから、当然、男があつまると当たり前のように交わされる猥談から、通常の性の知識は得ていたし、僚友や学友のなかには早いものなら、すでに初体験を済ませた者も何人かいることはいるが、だが、男のしようとしていることは、竹弥には驚愕だった。
そういう行為は聞き知ってはいるが、それは別世界のことのように竹弥には遠かったのだ。
上級生たちは、大人しいと思っていた竹弥の気迫と演技力に気圧されてしまって、肩をすくめて去っていった。彼らが見えなくなってから身体がふるえてきた。
だが、今自分の前にいる男は、あのときの中学生たちのように、はったりが通じるような相手ではない。
この状況でどう立ち向かえばいいのか。竹弥はまさに絶体絶命だった。
「うう……」
びりびりに切りきざんだ下着の残骸を引っ張ると、相手は笑ってそれを床に投げすてる。
「色っぽいな。近江竹弥のストリップか。高く売れるぞ」
「……ひ、卑怯者! こんなことして、なんになるんだよぉ……」
先の言葉は気強く放ったものの、後の言葉は涙声になってしまう。
「泣くなよ。うんといい気持ちにしてやるから」
「あっ! よ、よせ!」
男が、竹弥の前に膝をついた。
さすがに初心な竹弥も、相手がこれからしようとしていることに気づいて、全身を硬直させた。
「小さい、可愛い芽だ。かわいそうに、こんなに怯えて」
やんわりと、相手は指に力をこめて、竹弥の若芽をいじる。
「つぅ……!」
「よしよし、俺がこれから大きくしてやるからな」
まさか……、と竹弥はこの期におよんでも、未練がましいほどの期待を捨てれず、それにしがみついた。
竹弥だとて二十歳になる若い男で、男子寮で過ごしていたのだから、当然、男があつまると当たり前のように交わされる猥談から、通常の性の知識は得ていたし、僚友や学友のなかには早いものなら、すでに初体験を済ませた者も何人かいることはいるが、だが、男のしようとしていることは、竹弥には驚愕だった。
そういう行為は聞き知ってはいるが、それは別世界のことのように竹弥には遠かったのだ。
0
お気に入りに追加
577
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる