貴族なのに結婚できない‼︎‼︎

アクエリア

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一章 空回りな王様

今度こそ

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 試験当日。前回と同じように門番に許可証を見せると、今度はちゃんと右に曲がった。流石に反省しているらしく、陛下がまた現れるようなことはなさそうだ。

 裏口のようなところで降ろされると、馬車は来た道を戻っていった。多分、停留所で待っていてくれるのだろう。

 建物内に勝手に入るわけにもいかず、少し待っているとドアが開いた。そこから仕官服を来た男性が現れ、声をかけて来た。

「ユニファート・ハロイドさんですか?」

「あ、はい。」

「今回試験官を担当させて頂きます、ウィリアムです。どうぞこちらにお入りください。」

姓がないということは平民か?でも先輩になる人かもしれないし、ちゃんと敬語で接した方がいいだろう。

「はい、ご丁寧にありがとうございます。」

お礼を言うと、少し目を見開いていたが、そのまま奥に案内してくれた。廊下の突き当たりまで行くと、ウィリアムさんが止まった。

「ここで試験を行います。普段はこの王城の仕官たちが会議などに使っているので少し汚いですが、大目に見てくださいね。」

 パチリとウインクをするウィリアムさん。眼鏡に切れ長な目をしているから、もう少しキツイ性格をしていると思っていたが、意外とお茶目だな…。

「こちらの準備ができましたらまた来ますので、少々お待ちください。」

「あ、はい…。」

 扉の前で俺を放置してウィリアムさんはどこかへ行ってしまった。これは入っていいやつだよな?扉を開けると、机と椅子が1組部屋の真ん中に置かれていた。

 汚い部屋ではないけれど、壁が一面棚で会議室というよりも資料室という感じがする。



 キョロキョロと部屋を見ているとガチャリと扉が開いた。ウィリアムさんが来たのだろうと視線を向けると、背の高い強面の男性が入ってきた。驚きが隠せず口を開けていると、続けてウィリアムさんも入ってきた。

 ああ、試験監督は2人でやるのか…。でも2人に見つめられながら問題を解くってすごくやりづらくないか?

 俺がボーっとしているうちに問題用紙と解答用紙がすでに机の上に置かれていた。

「今から筆記試験を行う。本来は面接は別日に行われることになっているが、本日は試験者がユニファート・ハロルドのみのため、面接も本日中に行う。なにか質問はあるか?」

「いいえ。」

強面の人の方が試験についての説明をしてくれた。

…本当に今日試験をするのは俺だけなんだな。本来ないはずの仕事を増やしてしまうとは申し訳ないな。

筆記用具を渡された。不正を防ぐために王城側で用意しているらしいシンプルな鉛筆だが、王家の家紋が刻まれている。

…王家?もしかして支給品全てに家紋が入っているのか?

「それでは試験を始める。不正などは行わないように。」

その号令によって俺の思考は中断された。試験に集中しなければ…。



問題用紙を開いてみると、全く予想外の問題が並んでいた。…なんだこれ。常識すぎないか?わざわざこんなことを聞くまでもないと思うのだが…。

『問一 平民と貴族が共に王城では働いているが、王城に勤務する仕官の居住区は分けられているか。』

 王城の付近に住んでいるものは家から通うが、遠い場所から来ているものは王城の敷地内の寮に部屋が用意される。それは貴族も同じで建物や階は分けられていない。

 仕官は同じ立場で働くから、身分で差別しないようにという計らいだ。陛下が即位されるまでは分けられていたが、仕官同士の平民いじめがひどかった為、区別することをやめ、同じように扱うことになったのだ。

  統一する前に大々的に発表されていたから、学園を卒業している年代なら、知らない人はいないはずだが…。

 そのあとも何門か同じような知っていて当然な問題が続いて、バカにされてるのかと疑った程だ。それ以外は、学園で習った内容が出てきて思っていたよりも簡単に解き終わった。

 試験は50分間の予定だったが、あとから30分も残っている。

ジッと見られている為、変な顔もできないし、これから30分も待つなんて苦痛過ぎる。

ハアと大きめの溜息をつくと、ウィリアムさんに声をかけられた。

「もしかして終わりました?」

「あ、はい。」

試験中に喋っていいのかと思ったが、試験官側から話しかけてきているのだから、まあいいか。

正直に答えると、ウィリアムさんは驚いたように目を見開いた。けれど、すぐに表情を元に戻し、口を開く。

「そうですか。では解答用紙と問題用紙を回収させて頂きますね。」

「お願いします。」

何故驚いていたのかわからないが、早めに終われて何よりだ。

「それでは採点が終わり次第、面接を行います。面接はもう少し人数が増えますが、ここで行いますのでしばらくお待ちください。」

「わかりました。」

 ウィリアムさんは採点をしに部屋を出て行ったが、強面の人は部屋に残っている。…気まずい、な。この空気を打開しようにもどうやって話しかければいいんだ?

 そうやって考えている間もずっと視線が俺から外れず、落ち着かない。持て余している指で机の上に残された鉛筆をコロコロと転がす。

 この鉛筆だけ残されているけれど、返さなくていいのだろうか。これなら、話しかけても不自然ではないだろう。意を決して口を開く。

「あの、この鉛筆ありがとうございました。シンプルなデザインでとてもいいですね、書きやすいですし。」

椅子から立ち上がり、鉛筆を手渡す。

「気に入ったのか。それなら持ち帰れ。許可は出ている。」

「え、ああ、ありがとうございます?」

 どこからの許可だ全く。すぐに会話が途切れてしまったじゃあないか。書き心地の良い鉛筆がもらえたのは嬉しくないこともないが…。

 憤りながら椅子に座ると扉が細く開いていることに気がついた。そこから覗くのは赤い瞳。

これは…もしかして…

「陛下?」
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