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図書館での出会い
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毎週日曜日の午後3時。私は今日も図書館にいる。毎週私がここにくるのは本が好きだからだけではなく、いつも決まった席に座っている彼がいるからだ。名前も知らない人を見るために毎週通っているなんてストーカーみたいじゃないだろうか...でも家まで付け回しているわけではないから多分...大丈夫なはずだ。
いつも窓辺の席で静かに本を読んでいる彼は、私の理想の男性と言っても過言はないだろう。私は昔からあまり大人数で過ごしたり騒いだりすることがあまり好きではなくて、本が好きな仲間とたまにあって話をするぐらいがちょうどよかった。私は彼のことを詳しく知っているわけではないが、もしも彼と親しくなることが出来たなら二人で静かな時間を共有できるんじゃないかと思えたのだ。今まで私の周りにそんな男性はおらず、ここまでいないのも珍しいんじゃないかと言えるほどだった。
今日も本を探しながら、彼を見つめているとバチッと目があってしまった。じっと見すぎただろうか...とりあえず会釈をして目線をそらす。いきなり目線を外すのは失礼だろうからな...あーでもやっぱり素敵だな...何故私はこんなにも素敵な男性に今まで出会えなかったのか...もう少し見ていたかったが、今日は彼と目があってしまったからコンビニにでもよって帰ろう。
カウンターで手続きを済ませて、図書館の自動ドアをくぐる。外に出た瞬間に感じるこの熱気はいつになっても慣れない。外と中の温度差で風邪を引いて仕舞いそうだ...何故私は今日自転車で来ているのか...悲しいことに私は車を持っておらず、この地域はマトモに電車も通っていない。バスにも乗りなれておらず、のったら最後どこにつくか分からない。社会人として壊滅的な気がするが仕方がないのだ。あの難しさは異常だ。と、まあ必然的に自転車移動になってしまうわけだ。さっさと帰ろう体が溶ける。私は急いで自転車を走らせた。
それから数週間たった頃。日差しも弱まり肌を少し涼しい風が撫でていってくれるような季節に変化は起きた。
いつものように図書館に向かうと自動ドアの前に彼がたっていた。ドアの前は人が少なく立ち止まるわけにも行かなかったので素通りして図書館に入ろうとしたとき後ろから声が聞こえた。
「...あの」
もしかして私のことだろうかと振り返ると彼が私の方を向いていた。
「そうそこの貴女です。」
やっぱり声を掛けているのは私で合っているんだろう。
「あのなにか?」
「えっと...話があって着いてきてくれますか?」
毎週彼を見ているからやっぱり不快に思われてるんだろうか...少し緊急しながらも返事を返す。
「...はい」
あー嫌われてたらどうしよう...でもまあ仕方ないよな...
図書館のすぐ隣にあるカフェに連れてこられた。ここは人は多いけど、雰囲気が好きでよく私が通っている場所だ。ここに誰かと来ることになるなんて思いもしなかった...
「それで話って何ですか?」
と私が質問をすると「まあ座ってからにしましょうよ」と微笑まれてしまった。少し強引なんだな、さっきまで少しオドオドしていたのに...やっぱり人は話してみると印象は変わるものなんだな。
そんなことを思いながらも窓際の席につきブラックのコーヒーを頼む。
コーヒーが私達のテーブルに届いて一息ついたところで彼が口を開いた。
「まず話を始める前に自己紹介をしておきましょうか。僕の名前は秋原夏樹です。」
「秋と夏どっちも名前に入ってるんですね」
「そうなんですよ、変な名前でしょう?」
「私は嫌いじゃないですけど...」
「少し女みたいな名前ですよね。僕は気に入ってるんですけど、小さい頃はよくからかわれてました。」
自分の名前をからかわれるのは嫌じゃなかったのだろうか?笑顔で話していたけどあまりいい思い出ではないだろう。まあこちらも自己紹介をするとしようか。
「そうなんですね...私は冬木遥です。」
「はるかって言うのはどういう字を書くんですか?」
「遥か向こうとかの遥かですかね...」
「残念ですね。春夏秋冬全部揃うと思ったんですけど...」
「すみません」
秋原さんが本当に残念そうに言うので思わず謝ってしまった。
「いや、謝らないでください!僕が勝手に思ってただけですから。それより話があるって言いましたよね?その事なんですけど...」
秋原さんは私が秋原さんをずっと見ていたことを知っていたそうだ。流石にバレていない等とは思っていないが最初の方からとなるとその恥ずかしさで顔から火が出そうだ...
私が顔を手で覆い隠していると彼はさらに言葉を続けた。
「それで本題何ですけど...僕と付き合ってくれませんか?」
「えっ...」
「えっと驚きますよね...こんな地味な僕に興味を持ってくれる人なんて今までいなくて、暫くしてもずっと見ていてくれるので今日話しかけてみたんです。嫌だったら全然断ってくれていいんですけど...どうですか?」
今までずっと見ててどう思われてるかが怖くて全然話しかけるなんて出来なかったのにまさか相手の方から告白してもらえるとは...断る理由なんてひとつもない。私は即座に了承した。
「でもいいんですか?よく知りもしない私で...」
「それはこれから知っていこうと思います。だから沢山教えてくださいね?」
蠱惑的な笑みを浮かべた秋原さんに私の心は撃ち抜かれてしまった。
いつも窓辺の席で静かに本を読んでいる彼は、私の理想の男性と言っても過言はないだろう。私は昔からあまり大人数で過ごしたり騒いだりすることがあまり好きではなくて、本が好きな仲間とたまにあって話をするぐらいがちょうどよかった。私は彼のことを詳しく知っているわけではないが、もしも彼と親しくなることが出来たなら二人で静かな時間を共有できるんじゃないかと思えたのだ。今まで私の周りにそんな男性はおらず、ここまでいないのも珍しいんじゃないかと言えるほどだった。
今日も本を探しながら、彼を見つめているとバチッと目があってしまった。じっと見すぎただろうか...とりあえず会釈をして目線をそらす。いきなり目線を外すのは失礼だろうからな...あーでもやっぱり素敵だな...何故私はこんなにも素敵な男性に今まで出会えなかったのか...もう少し見ていたかったが、今日は彼と目があってしまったからコンビニにでもよって帰ろう。
カウンターで手続きを済ませて、図書館の自動ドアをくぐる。外に出た瞬間に感じるこの熱気はいつになっても慣れない。外と中の温度差で風邪を引いて仕舞いそうだ...何故私は今日自転車で来ているのか...悲しいことに私は車を持っておらず、この地域はマトモに電車も通っていない。バスにも乗りなれておらず、のったら最後どこにつくか分からない。社会人として壊滅的な気がするが仕方がないのだ。あの難しさは異常だ。と、まあ必然的に自転車移動になってしまうわけだ。さっさと帰ろう体が溶ける。私は急いで自転車を走らせた。
それから数週間たった頃。日差しも弱まり肌を少し涼しい風が撫でていってくれるような季節に変化は起きた。
いつものように図書館に向かうと自動ドアの前に彼がたっていた。ドアの前は人が少なく立ち止まるわけにも行かなかったので素通りして図書館に入ろうとしたとき後ろから声が聞こえた。
「...あの」
もしかして私のことだろうかと振り返ると彼が私の方を向いていた。
「そうそこの貴女です。」
やっぱり声を掛けているのは私で合っているんだろう。
「あのなにか?」
「えっと...話があって着いてきてくれますか?」
毎週彼を見ているからやっぱり不快に思われてるんだろうか...少し緊急しながらも返事を返す。
「...はい」
あー嫌われてたらどうしよう...でもまあ仕方ないよな...
図書館のすぐ隣にあるカフェに連れてこられた。ここは人は多いけど、雰囲気が好きでよく私が通っている場所だ。ここに誰かと来ることになるなんて思いもしなかった...
「それで話って何ですか?」
と私が質問をすると「まあ座ってからにしましょうよ」と微笑まれてしまった。少し強引なんだな、さっきまで少しオドオドしていたのに...やっぱり人は話してみると印象は変わるものなんだな。
そんなことを思いながらも窓際の席につきブラックのコーヒーを頼む。
コーヒーが私達のテーブルに届いて一息ついたところで彼が口を開いた。
「まず話を始める前に自己紹介をしておきましょうか。僕の名前は秋原夏樹です。」
「秋と夏どっちも名前に入ってるんですね」
「そうなんですよ、変な名前でしょう?」
「私は嫌いじゃないですけど...」
「少し女みたいな名前ですよね。僕は気に入ってるんですけど、小さい頃はよくからかわれてました。」
自分の名前をからかわれるのは嫌じゃなかったのだろうか?笑顔で話していたけどあまりいい思い出ではないだろう。まあこちらも自己紹介をするとしようか。
「そうなんですね...私は冬木遥です。」
「はるかって言うのはどういう字を書くんですか?」
「遥か向こうとかの遥かですかね...」
「残念ですね。春夏秋冬全部揃うと思ったんですけど...」
「すみません」
秋原さんが本当に残念そうに言うので思わず謝ってしまった。
「いや、謝らないでください!僕が勝手に思ってただけですから。それより話があるって言いましたよね?その事なんですけど...」
秋原さんは私が秋原さんをずっと見ていたことを知っていたそうだ。流石にバレていない等とは思っていないが最初の方からとなるとその恥ずかしさで顔から火が出そうだ...
私が顔を手で覆い隠していると彼はさらに言葉を続けた。
「それで本題何ですけど...僕と付き合ってくれませんか?」
「えっ...」
「えっと驚きますよね...こんな地味な僕に興味を持ってくれる人なんて今までいなくて、暫くしてもずっと見ていてくれるので今日話しかけてみたんです。嫌だったら全然断ってくれていいんですけど...どうですか?」
今までずっと見ててどう思われてるかが怖くて全然話しかけるなんて出来なかったのにまさか相手の方から告白してもらえるとは...断る理由なんてひとつもない。私は即座に了承した。
「でもいいんですか?よく知りもしない私で...」
「それはこれから知っていこうと思います。だから沢山教えてくださいね?」
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