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第2章 ダンジョン
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2年間この世界で生きてきて必死に訓練もしてきたけど、私は強くはない。
せいぜい、ウルフと呼ばれるオオカミの魔物を1対1で狩れる程度。
唯ちゃんですら3匹は一度で狩れるのに・・・風のダンジョンに入るまでに出来るだけ強くなっていないといけないのは私なの。
翌朝白狼は剛君と一緒に走り出した。剛君は14才だけど走らせると私より早いし持久力もある。
倉橋さん、剛君、私、アンナさん、幸田君の順で走り続ける。
今日は丹波から山越えして綾部まで走り抜ける予定。
山道に入ると魔物が多くなる。角ウサギ、ウルフ、大鹿、ブラックベア。
ウルフは単体では襲ってこない。最低でも3匹の群れになる。
私も出来るだけウルフや大鹿と戦いレベルを上げることを考える。ちなみにアンナさんは誰よりも楽しく狩りをするよ。
「いいねぇ、いらっしゃい、いらっしゃい。今回はブラックベアさんね。その毛皮冬向きで好きよ~、顔面1発炎でボン!!」
こんな調子。普段は非常に優しいお姉さんなんだけどなぁ、不思議でしょう。
剛君は冷静沈着なの、
「ウルフ8匹ですか。8匹で僕をどうこうできると思っているのですね~見くびられたものですね。ホイ」
ホイだよホイ。水の槍出して2匹づつ片付けていった。
反対は意外に幸田君なのよね。熱くなるのよ。
「お前らまとめて占めてやるからかかってこい!!」
炎でまとめてドッツカ~ンの口。
その中間が倉橋さんと私かな。レベルは勿論違うから。
反射神経がすごくていつの間にか狩りが終了してるのよね。
だから魔物が多く出るときはなるべく私が1頭は倒すようにしている。
お昼前にウルフ20頭に囲まれた時は、うわ!!って思ったけど、幸田君は1度の5頭のウルフをまる焼けにしてくれたし、私は反対側にいるウルフに土魔法で下から突き刺して3頭を葬り、アンナさんは私が狩り漏らした3頭の首を風魔法で切り落としてくれたの。
剛軍は水玉で4頭のウルフを窒息死させ、残りの5頭を倉橋さんが炎弾で打ち抜いたからなんとかなりました。
その後、まる焼けの1頭のウルフは白狼のお腹に入り、アンナさんが風魔法で切り落とした3匹を血抜きして解体、炙って私たちのブランチとなりましたね。
昼休憩後の対戦相手はタランチュリアと大蛇。
タランチュリアは私の的当ての練習になり援護は剛君がしてくれました。
それでも、亜人や人族の姿は見かけなかった。
山の中だから魔物がっ住み着きやすいのかもしれないけど、ここまで誰の姿も見ないなんて。
村から出たの初めてだけど、外は魔物天国になってるのかな。不安になってくる。
どこかで人族が残ってくれていることを信じたいのかもしれないけど、それとも人族は”風のダンジョン”探して転々としてるのかな私たちみたいにね。
そうこうしながら、私たちは日本海に出たみたい。
みんなが、海だよねって。
なんか海を見るのが久しぶりで感激してます、私たち。
海岸には打ち上げられた船か潜水艦のようなものが残っているけど、建物は全くないのね。
木々がまばらに生えているけど多くの人たちが生活していた址なんてなかった。
数年前まで私たちが当たり前に生活していたビルやマンションが無くなっていてそこで生活が営まれていたなんて信じられないよ。
このことに倉橋さんやアンナさん、幸田君は茫然自失しているみたいだった。
私も、理解していたけど心の中で津波で助かった人たちが集まって暮らしているのではと思っていた、いや期待していた自分が裏切られたみたいな、それでいて愚かしい夢が覚めたみたいな気持ちでどうして良いのかわからなくなっていた。
その日はみんな、言葉少なく船の甲板で夜営した、魔物の襲撃がなくて良かったよ。
翌朝は剛君と白狼が海で泳いでた2mほどの鯛と3mほどのカツオを取って来てくれたおかげで朝食にありつけました。
昨日の夜はみんなショックで夕食の支度も出来なかったもんね、朝食美味しかったよ。
朝食後倉橋さんが
「さて、日本海まで来たが今後どう進むかみんなの意見を聞きたい。」
「あのね、どういえばいいのか・・・困るのだけど、私としては人っ子一人いないこの状態にショックを受けていて・・・どう進むかと聞かれても答えられないのよね。みんなはどう?」
「ウーン、俺もアンナさんの気持ちはわかるよ。俺もここに来れば誰かいるんじゃないかって期待してたからな。
誰もいないなんて考えもしなかったわけよ。
誰かに情報ぐらい聞けるかと思っていたのに情報が全然ないとはどう判断したらいいか・・・わからないんだわ。」
「・・・確かに俺も誰もいないとは思わなかったからな。
・・・アキラやアンナの気持ちもわかるよ。由紀ちゃんはどうだい。」
「あのね、私もこんな誰もいないと思っていなくてアンナさんと一緒なの・・・でも近くに人が住んでないかしばらく探したら駄目かな。」
「僕も由紀姉ちゃんに賛成。朝白狼と海で釣りしたけど人はいなかったよ。
でも、探してみるのはいいと思う。誰かいるかもしれないし。」
「剛の言うように、1日2日ここでゆっくり人探ししてみるの有じゃないか?」
「そうだな、食べる物は海から取れるし朝食食べて別に腹も下してないようだから今日、明日はこの近くを探検してみるか?」
「「「「賛成~」」」」
「但し、一人では行動しないこと絶対だぜ。晃は剛と、アンナと由紀は俺と行動を一緒にするように、いいか?「「「「了解」」」」集合はここで、危ない時は魔法弾をあげて知らせることな。」
こうして、私たちは誰か住んでいないか探すこととなったが、見つけたのは別のものだった。
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