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セリ 10

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何かが起こるとき、あちらの世界でもこちらの世界でも同じなのかもしれないわね。突然に起こるということね。
もしくは、何かの切っ掛けがあったとしても、その時点では何の意味があるか不明なことよね。
今回もそう。私は自分が産んだ卵は恋人と別れて産んだから、恋人たちには関係ないと考えていたのよね。
こちらの世界は、母親ではなく父親が子育てするのよ忘れてました。

閨を共にしなくなって別れた恋人が何故子供が生まれたことがわかるのか、あちらでは遺伝子解析して始めて親子でない確率が出るのよね。こちらは、自分の子が生まれたら父親には何故かわかるらしい。わかるとしかみんな言わないから理由は不明です。
甘く見ていた、入浴するのに目を離したところを狙われたのよ。砦で周囲の目もあり大丈夫と思った自分にスキがあったのよね。しかも私の部屋にきちんと置いていたのよ、言い訳になるけど。
入浴から部屋に戻ると、

「誰?」
二人が振り向いた。振り向いた瞬間、誰だかわかったのよ。2個の子供の父親のハロルドと魔法使いのドローナック。
卵めがけて転移したのね。2個の卵を袋に入れ転移していったわ。

「ハロルド!卵を返して…。」

「すまない、仕方ないんだ。」

「許してほしい…。」

ドローナック、卵泥棒が親に許してもらえるなんてこと考えるだけでもアホだぞ!

「「失礼、入りますぞ。セリ様!どうなされました。」」

「レナード、メテルド!卵が2個、持ち逃げされたわ。」

「なんですと。いったい誰に?」

「卵の父親のゴード国のハロルドと魔法使いのドローナックよ。メテルド。」

「ドローナック?ですか。ゴードで転移魔法が使えるドローナックは宰相の息子ですが、間違いございませんか?」

「間違いないわよ。そのドローナックよ!!」

「砦の警戒を強化。私は卵を取り返しに行くわ、あとは任せるからね。レナード。」

「セリ様、落ち着け。一人で行くのは賛成できないぞ。」

「メテルド、一人では行かないわ。ちょっとみんな部屋から出て頂戴。準備するから。」

「お前たち、とにかく部屋から出ろ。セリ様の希望だ。食堂に集まれ。警備のマシュライタ、ジッタは門の警備。
マルチド、オクトナ、ザッシュは他に入り込んでいる奴がいないか確認しろ。」

「二人一組が早いからレナード、俺はザッシュと組んで確認するからあとを頼む。」

「わかった、こちらは任せろ。」

二人が外で今後を話している間に私は仲間のシズ、マリ、ヤエに連絡した。
マリは現在、卵を孕んでいるので取り返しに行けないと申し訳なさそうに伝えてきたわ。気にしないで孕んでいるときは転移魔法使えないから仕方ないわよ。
シズは卵と夫と一緒に来るそうで一度に6人の転移できないから、ヤエがシュナイダ砦に寄り彼らを転移さすと話してくれたわ。
これで大丈夫よね。
シズたちの卵になにかあれば大変だから、レナード、メテルド、全員でシズの卵と私の残り2個の卵しっかり守っていてね。盗まれたら、あんたたちの生皮剥ぐわよ。
待っていなさい!子を取られた母親の怒りは、破壊神か○○ラになることを身をもって思い知れ!!

「「!遅くなってごめん。セリ大丈夫?」」

「ごめんなさいね、夜遅くに巻き込んで。でも助けてほしくって」

「泣いちゃダメよ、セリ。泣くのは後。こんな時呼ばなくいつ呼ぶのよ。連絡くれなかったら怒ってたわよ。」

「マリの言う通りよ。久々に暴れられると思うと嬉しいわ。最近砦にこもりっぱなしだったから。」

「ありがとう、頼りにしてるわ。」

「「「「「俺たちのことも忘れないでくださいね~」」」」」

「アクトさん、ロイさん、ジイさん、ラッドさん、エドさんたち卵と一緒に来てくれたんですね。ありがとうございます。私の卵と一緒においてください。こちらのメンバーが責任をもって預からせていただきます。」

「「セリ様の補佐してます、レナードとメテルドと申します。卵は不眠不休で皆様が返ってこられるまで我々全員でお守りさせていただきます。セリ様をお頼み申します。」」

「レナードさんとメテルドさん、こちらこそよろしくお願いします。この中では妻が一番強いのですが我々も頑張りますから安心してください。」


「「「「アクトの言う通りです。卵たちのことお願いしますね。」」」」

「必ず、ママと一緒に帰ってくるから安心して待っていろよ。」ロイさん、カッコいいです。

「「セリ、転移して頂戴。セリを目標に私たちは転移するからね。」」

「わかった、シズ、ヤエお願いね。」

「「任された~。」」


   ◇◇◇◇◇

王城の深くに、ほの暗い地下室があることは王と王太子と宰相のみが知る案件であった。
ここにきて、2年経つのか。早2年か、もう2年か。
先に勾留されていた王妃も気丈に耐えているが辛いだろう。
王妃が連れ込まれたと聞いて助けに来ようとして嵌められた。
1年後には王太子が我々を助けようとここにきてしまった。
確かに王太子に助けられた。幾ら食べ物に困らないとはいえ、常時魔物の気配をうかがっていなければならないのは疲れる。
気が休まらないので疲れがとれない蓄積する一方だ。
限界かと思った時に王太子が来たので何とか持ち込手えた。
王であっても、王太子であっても知識はあるが実際にここに来るのは稀だ。
よほど強い魔物が現れない限り、ここには来ない。

2か月前ついに王子2人が来てしまった。これで現王室全員がはめられたわけだ。
王子たちはここが何か知らない、連れてこられて驚いていた。
ここには魔素溜まりがあるのだ。
王都が出来てから300年ほどたった時から魔素溜まりが出来、その魔素溜まりを隠すように王城が拡張されたのだ。
魔素は我々が生きていくのに必要なものであるが、一方では魔物を発生させるものでもある。
取り扱いが問題になりその当時の王が秘匿したらしい。
広い闘技場のように作られ、我々が来るまで魔素を逃がすための穴が何か所があったのが我々が連れてこられてから閉じられてしまったのだ。
それから魔素が徐々に濃度が増したか強い魔物が出現しだしたのだ。
1週間ほど前に、バロッグとハロルドが急に子が生まれたと言い出した。
彼らの近くにそのような女がいたようには記憶していないがどうなっているのだろうか。
バロッグとハロルドは以前記憶していたより強くなっている。王太子のバルナルドと同じかそれ以上に強くなっている。
魔法の使い方も以前とまったく違う。どのようにして学んだであろうか分らぬが、そのおかげで我々は助かった。
我々は2年間もここにおりシャワーすら浴びれていない。薄汚れた格好だ。
それがどうだ、バロッグとハロルドのおかげでこざっぱりと綺麗になった。シャワーと温風魔法、こんな魔法の使い方があったのか。目からうろこであった。
バロッグとハロルドは番と会い、ともに旅をして学んだそうだ。
ただし歯切れが悪かったからなにかあったのだろう。
番と別れ王国に戻り我々の穴を埋めるべく務めてくれたようだ。
そのおかげで魔力操作が上手くなり戦い方もうまくなったようだ。
ここを出て、孫に会いたいものだが出れるだろうか。
そんな時ハロルドが賭けに出た。自分たちの卵を囮に番を呼び助け出してもらう計画を立てた。
番が卵に興味を持たぬ女ならば良いが、そうでない場合は許されぬぞ。
最悪は番によって殺される場合もあるぞと忠告したが、ここを出るのにはその方法でしかないと言われてしまった。情けない王だな、儂は。孫を囮にあってもおらぬ嫁に助けを求めるなどと。どの面下げて顔を合わせばよいか。
ハロルドがドローナックに連れられて帰ってきた。
これが孫か、豊富な魔力を含んでおるようだな。素晴らしい子が生まれようぞ。一目会ってみたいものだ。
ハロルドが卵に謝っておる。

「生まれて姿かたちを現していないお前たちを囮にする情けない父親を許してくれ。王家に生まれてきたものの務めだとは言え自分が情けない。お前たちの母親に助けてもらわねばならない私を許しておくれ。セリは必ずお前たちを助けに来る。お前たちの母親は強く情け深い優しい女だからな、だからお母さんが来るまでは何としても僕がお前たちを守るからね。許してくれ。」

我々の家族がここにいるのだな。必ずや我々の命に尽きるまで守るから、我々を許しておくれと卵に話しているときに

光が落ちてきた。凄ざましい魔力と怒りが感じられ空気が震えるようだと思えば、すぐ後に2つの光がほぼ同時に輝いた。何が起こった?

「いたわねー!ハロルド。卵を返してもらうわよ!!」

「「セリー!!」」

「なに、この檻は邪魔。あれ?壊れないわね。」

「セリ落ち着いて、その檻には魔法が幾つもかかっているのよ。解除するから待ちなさい。」

「わかったわよ!早く解除して、ヤエ。」

「任せなさい。それよりなにか出てくる気配がするわよ。」

「やっと、出番になるわね~何が出てくるか楽しみ。中の人達、悪いけど隅に寄ってほしいわね。巻き添え喰うわよ。」

「「「「「シズお手柔らかに。」」」」」

「やっばい!身体強化~」

と思わずヤエが檻の中のバロッグとハロルドと男性2人に女性1人に身体強化をかけてくれたわ。
出なければ中の人たち、シズとアクトさんたちの5人のメンバーの魔法で吹っ飛んでしまってたと思うわよ。
檻の真ん中から、先ほどの魔法を物ともせずに黒いモヤモヤが出てきてる。
ヤエ、檻の魔法解除できた?

    






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