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セリ 7

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暗くなる前に何とかマリの農場に到着、ほっとしたわ。
ここに来るのも初めてね、マリ。

「久しぶりね~マリ。元気だった?」

「お久~セリちゃん元気?シズはどうだった?」

「シズは旦那様方の卵5個も孕んでたのよ、びっくりでしょう。知らずに太ったわねって言ってしまい怒られたわ~」

「キャハハ、それは怒られるわな。でも、元気だったのね。まあ、先にその子供たちをゆっくりさせようか。」

「お願いできるかしら、5人一緒の部屋の方がいいのだけど頼める?。一緒の部屋でいいわね、ウェダとジッタ・カロ、ビイ、ロダよ。こちらはマリ。この農園の主よ。ご挨拶なさい。父親を亡くした子たちなの、お腹がすいてると思うからたっぷり食べさせてやってね。」

「大丈夫よ、任して。紹介するはセリ、私の補佐役のマグリッドよ。マグリッド、こちら私の仲間のセリよ。」

「セリ様、お目にかかれて光栄でございます。マグリッド・バーフマンと申します、宜しくお願い致します。」

「ご丁寧に、マリの仲間のセリです。急遽人数が増えてしまって申し訳ありませんが、この子達をよろしくお願いいたします。」

「マリ様、まずはお食事を食堂でしていただいて、お風呂。お部屋は大部屋の方にご案内でよろしいでしょうか。横の客室をセリ様にお使いいただけますが。それともセリ様のお部屋はマリ様の隣がよろしいでしょうか?」

「私は子供たちの横の部屋にしてもらえるかしら。その方が子供たちも安心するだろうと思うのよ。」

「わかったわ、マグリッドお願いね。」

「では、皆様方こちらにどうぞいらしてください。」

「「「「「マリ様、お邪魔いたします。」」」」」

「あら、しっかりしてるわね。ゆっくりして頂戴ね。」

「「ありがとうございます、マリ様。」」


「しっかりした子供たちみたいだけどセリ、前聞いた時は獣人2人と旅してるって話してなかった?その二人は?」

マリ、聞いてくれるかしらと獣人国からこれまでの経緯を話しましたとも。胸のうっ憤晴らしですよ。ついでに羨ましくなるようなシズの旦那様方についても話したわよ、勿論。

「思うけど、あなたとシズは本当に情け深いわね。情が深いわ。冒険者のくせに砦を造って冒険してないシズに、商売人のくせに商売抜きで奴隷を購入するような貴女。お人好しと言われても文句言えないわよね。」

確かに、マリの仰るとおりよ、自覚はあるわ。
それより今後のことで相談に乗って頂戴。
ゴード国がきな臭いのはわかっているでしょう。それに若干引っかかった私だけど、ゴードの果物や香草なんかは魅力なのよ。ハーフ国では収穫できないような大きさと味の良さがあるの。
シズがそれらと胡椒でカレーを作るそうよ。味見できなかったけど、カレー作れたら転移でシズのところに食べに行くつもりなの。
え~マリ。マリまでシズに渡したものと同じもの寄こせって言うの?自分も作る。確かにマリなら作れるわね。出来たら味見とレシピは頂戴ね。約束よ。大丈夫、胡椒と胡椒がなるシギの木は貰ってきたわよ。

考えたのは、輸送手段がこの世界はお粗末すぎて計画を修正、それも大幅修正しないといけないということよ。
勿論、今回転移魔法を覚えてアイテムボックスがある私なら、一人の商売は出来るわよ。でも一人で出来る商売で終わらせるなら商売はするつもりはないわ。アイテムボックスと転移魔法、私たちは全員問題なく出来るわ。
ある意味、この世界の戦争形態を変えることも出来るのよね。
進化は軍需産業から。これは前の世界のことだけにしたいのよ。
魔法でも大量殺人は出来るわ、でも現在のこの世界で使える魔法使いはいないでしょう?
大量殺人できるような魔法をこの世界に必要かしら。
ゆっくりと無理せず、最良の進化を進んでほしいのよ。あちらの世界のように人間だけが突出して増え、他の生物の存在を滅ぼしていくような進化を遂げてほしくないのよ。
この世界に生きるものがバランスよく生存していってほしいと願うのは間違っているのかしら?どう思うマリ?

当面どうするかよね。
マリは、この場所に農場を作ろうとした理由と運営について教えて欲しいわ。

マリは私と同じようにシズから資金援助を受けている。元手は十分あるので農園の場所と食堂を開いて運営できる、つまり集客できる場所を考えてプリベルグ近郊を選択したと話してくれた。
誰の所有と決まっていないただの草原にある時囲いができ、人が住み始めた。
この段階では一人で農地を開拓したらしい。土魔法の得意な彼女なら簡単なことだわ。
大きな農園管理は一人で出来ないので奴隷を数人確保。奴隷は主を裏切らないから、ここら辺の思考は私たち同じね。
囲いは急速に拡大していくとなると直轄地のため、国が確認しに来た。
税の問題があるから、これは当然。ただ国が問題視した頃すでに食堂として王都の一部の冒険者や商人たちの胃袋をガッチリ掴んでいたらしい。

文官が来て、税を5割徴収すると言った瞬間、マリは喧嘩売ったらしい。
収穫量は半端ない農園の税が5割払うくらいなら場所を替えると突っぱねたみたい。
それならば、魔物の駆除や野盗や盗賊の駆除とう一切援助や保護しないと文官が申したそうな。
そいつマリの実力図りそこなったみたいね。
結構です、自衛しますとマリが返事すると覚悟しろみたいなこと言ったらしい。それ以降、盗賊や野盗、魔物が結構出没したらしいけど問題になる前に盗賊・野盗は捕獲してギルドに突き出し、魔物は討伐して買取に出しと3か月くらい頑張った。
当然、収穫期になると文官が税の確認に来たが隠蔽で作物全部隠し、収穫物なしの状態にしたわって笑う。
その割には食堂でバンバン料理はでてくるし飢えている様子はない。
文官ではなく責任者が来るというときは農園は何故か次第に直轄地より離れていく。
離れていく農園に対処できず、国はギルドや商人からも苦情殺到し、とうとう王太子が問題解決に出て来たそうだ。
大量の収穫物が直轄地から隣の領地か隣国でも行かれたら、戦略的にまずいのは考えればわかることで王太子が妥協点を探りに来たそうだ。
マリも他の農園より何倍もの収穫をあるのを2倍くらいに申請し3割の税率で手打ち。
手打ち後の宴会で胃袋をマリに掴まれた王太子は、そのままマリのものになりましたということでマリは”祝福の女性”であることをばらしたとなるわけだわね。
なるほどだわ。



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