怖い話集 ホラー

車

ある晩、山道を運転していた若い女性がいました。彼女は遅くまで仕事をしていたため、家に帰る途中でした。道は細く、周りは木々に囲まれていました。

突然、彼女の車のエンジンが異音を発し始めました。焦った彼女は路肩に停め、ボンネットを開けてみることに。すると、エンジンルームの奥からかすかな声が聞こえました。「助けて…」

驚いた彼女は後ろを振り返りましたが、誰もいません。心臓が高鳴り、彼女は急いで車に戻ろうとしました。しかし、ドアが閉まらず、まるで何かに引き留められているかのようでした。

その時、助手席の窓が突然開き、冷たい風が吹き込んできました。振り返ると、後部座席に影が現れ、彼女をじっと見つめていました。恐怖に襲われた彼女は、必死にエンジンをかけようとしましたが、全く反応しません。

影が近づいてくるにつれ、声は大きくなり、「運転を止めてはいけない」と囁きました。彼女は恐怖に駆られながらも、ハンドルを握りしめ、エンジンがかかるのを願いました。

突然、エンジンがかかり、彼女はアクセルを踏み込みました。車は急加速し、山道を突っ走ります。後ろの影がどんどん近づいてくる。彼女はただひたすら逃げることだけを考えていました。

だが、曲がりくねった道を抜けた先には、崖が待っていました。制御を失った彼女の車は、土煙を上げて崖下へと落ちていきました。

翌朝、通りかかったドライバーが、崖の下で倒れている彼女の車を発見しました。しかし、彼女は中におらず、車の中には不気味に笑う影が残されていたというのです。