怖い話集 ホラー

yunna

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夏休み

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夏休みの暑い夜、私は友達と一緒に山の中にある古い廃墟を探検しに行きました。その廃墟は昔、誰かが住んでいた家だったようですが、今では誰もいないと言われていました。

私たちはハイキング道を進み、ついに廃墟に辿り着きました。建物はかなり傷んでおり、木々に覆われていて、怖い雰囲気が漂っていましたが、私たちは興味津々で中に入っていきました。

廃墟の中は暗くて不気味でした。足元にはガラスの破片や壁の崩れた部分があるので、慎重に進みます。友達と笑いながらも、どこか心の奥では怖さを感じていました。

すると、廃墟の奥から突然、奇妙な音が聞こえてきました。誰かの声だと思った私たちは、その音の元を探し始めました。廃墟の隅にたどり着いたとき、そこには小さな子供の人形が置かれていました。それはひどく傷んでいて、不気味な笑みを浮かべているようでした。

私たちは子供の人形を見つけたことに少し不安を感じながらも、ただの古いおもちゃだろうと笑い飛ばしました。しかし、それからしばらくして、不気味な現象が起こり始めました。

友達がいきなり足元に転び、急に息が詰まるような感覚を覚えました。私たちは驚きながらも友達を助けようとしましたが、彼の足元には何もなく、ただの平坦な床でした。

それから、私たちは怪しげな足音が廃墟の中に響くのを聞きました。何者かが私たちに近づいてくるような気配を感じましたが、周りを見渡しても誰もいません。友達と私は恐怖に打ち震え、ただただ逃げ出したいと思いました。

その時、友達が悲鳴をあげました。彼の後ろには、廃墟の壁から現れた何かがいました。それは薄汚れた白いドレスを着た、青白い肌の少女の姿でした。彼女は無表情なまま、私たちに近づいてくるのです。

私たちはその場を飛び出し、必死に山を下りました。振り返ると、廃墟の中から少女が出てきて、私たちを追いかけてきているのが見えました。

絶望的な気持ちで家に帰り着いた私たちは、その後もあの日の出来事を忘れることができませんでした。夏休みが終わっても、あの廃墟で何が起こったのかはわからないままでした。それ以来、私はあの恐ろしい夜のことを思い出すたびに、背筋が凍る思いがしています。
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