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犬
しおりを挟むかつてある町に住んでいた老夫婦が、可愛がっていた犬を亡くしてからというもの、彼らの周りで不気味な出来事が起こり始めました。
ある晩、夫婦が寝静まった後、犬の鳴き声が聞こえてきました。
彼らは驚きながらも、自分たちの想像だと思って、再び眠りにつきました。
翌朝、彼らが起きると、庭には犬の影が写っていました。
しかも、影は人間の影のような形をしていました。
不思議なことに、犬の影は毎晩、同じ場所で現れるようになりました。
そして、次第にその影は大きくなっていき、最終的には家中に広がってしまいました。
老夫婦は、その影を追い払おうと試みましたが、どうやっても消えなかったのです。
ある日、夫婦は近所の人から、「この町には、かつて人間が犬を虐待したことがある。
それがこの犬の怨念となって、この町を恐怖に陥れているのだ」と聞かされました。
夫婦は恐怖に怯え、町を出ることを決意しました。しかし、夜中になって、庭に立った犬の影が、夫婦を閉じ込めるように家の壁を覆い始めました。
夫婦は必死で家を脱出しようとしましたが、何度扉を開けようとしても、開きませんでした。
結局、老夫婦は、家に閉じ込められたまま、犬の影に呑まれてしまいました。
そして、その後、この町には、犬の影を見たという人が後を絶ちませんでした。
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