164 / 223
百九十二の城
しおりを挟む
鐘の丸から廊下橋を渡り、天秤櫓の入口の前にいた。
天秤櫓の入り口は間口が広く入りやすい作りになっていて多くの観光客が天秤櫓に足を運んでいた。。
「天秤櫓は修復を幾度か経ているとは言え、もしも長浜城の大手門からの移築と信用するならば秀吉時代に作られたものということになるわ。」
天護先生は感慨深そうにしている。
確かに豊臣秀吉が作ったものなのならばとんでもなく貴重な建物だと言うことになるけど実際は分かっていないらしい。
「本当にそうであれば良いのですが・・・」
「ほんまやなあ」
あゆみ先輩も訪ちゃんも秀吉時代のものであれば良いと思っているようで秀吉時代のものであれば今でも十分以上に素晴らしい天秤櫓がもっと素晴らしい建物になると言うことなのだろう。
「秀吉が作ったものが移築されたんだったら箔が付きますもんね。」
「まあ、そうかもね。」
先生が苦笑いしてそう答えた。
「確か箔が付くかもしれんな。」
訪ちゃんの反応もそれほど良くない。
あれ?答えを間違えたかな・・・
私が困惑していると先輩が
「確かに誰が作ったかという箔は大事ね。だけど彦根城は既に日本でも有数の名城として十分に箔がついているわ。それよりもこの天秤櫓が長浜城からの移築だったとはっきりしたら今は模造天守しかない長浜城の一端が垣間見れるということのほうが重要なのかもね。」
先輩がそう教えてくれる。
確かに彦根城は日本全国に名を馳せる名城中の名城だ、だから誰が作ったかという箔はそれほど重要ではなく、それよりも長浜城というお城が元はどう言うお城かという事が知れるということの方が重要だということなのだろう。
そう考えると先生が苦笑いするのも当然だ。
「まあ、過去のことを知るのは難しいからね。」
先生はそう言ってみんなを先導するように櫓の中に入っていった。
櫓内部には受付があって受付の前には靴袋が置かれている。
私達はポリバケツに貯められた靴袋を取り出して履いていた靴を袋の中に入れて櫓の床板に足をおいた。
床板は少しひんやりとしていて少し心地良い気がする。
櫓内部は沢山の柱と梁が連結されていてすごくしっかりとした作りなのがすぐに理解できた。
入ってすぐに膝くらいの高さのある敷居があってその少し奥に櫓のに階部部分に登るための急な階段が柱のようにそびえ立っていた。
「なんか変な構造やな・・・」
訪ちゃんが不思議そうな顔で一言そう漏らした。
階段や高い敷居で通り道を態と狭めているいるのは二階に素早く兵隊を配備するためなのかそれとも櫓内部一階に侵入する経路を狭めるためなのだろうかよくわからない構造だ。
配備性を高めると同時に侵入経路を狭めるためなのだろうかよくわからないけど配備性といってもこんな急な階段を重い甲冑を着た兵隊がすぐには登ることはできないし、そう考えると最悪敵が侵入してきたことを考えると内部構造も防衛の手段として考えて作られたのかもしれない。
内部に入ると明かりのない櫓内部はもっと暗いのかと思っていたが外から見ていた以上に窓が広く開放されていて外の光がしっかりと取り込まれていた。
「覗いてみて、ここからだと大堀切と鐘の丸が丸見えでしょ?」
先輩の言葉に従って私と訪ちゃんは鐘の丸を格子窓から覗き込むと鐘の丸はすっかり丸見えになっている。
多くの観光客が鐘の丸の石段を登ってコの字に廊下橋を渡ってくるのがよく見えた。
「こう見ると天秤櫓の防御力の高さがよく分かるでしょ?」
「ほんまやな、攻め手が天秤櫓に背を向けて石段を登るから無防備な背中を集中攻撃できるような作りになってるんやな。」
「今はなにもない鐘の丸だけど当然階段には仕切り門が置かれていたわ。天秤櫓に背を向けながら仕切門を攻撃するのは大きな痛手を覚悟しないといけないわ。石段も多聞櫓で守りを固めているから攻め口が決して多くない彦根城の攻略は至難の業なのよね。」
彦根城の天秤櫓の防御力は攻め手の侵入経路を一点に集中させることから計算されて作られている。
天秤櫓の内部から見下ろす大堀切は私達にその一端を感じさせてくれたのだ。
天秤櫓の入り口は間口が広く入りやすい作りになっていて多くの観光客が天秤櫓に足を運んでいた。。
「天秤櫓は修復を幾度か経ているとは言え、もしも長浜城の大手門からの移築と信用するならば秀吉時代に作られたものということになるわ。」
天護先生は感慨深そうにしている。
確かに豊臣秀吉が作ったものなのならばとんでもなく貴重な建物だと言うことになるけど実際は分かっていないらしい。
「本当にそうであれば良いのですが・・・」
「ほんまやなあ」
あゆみ先輩も訪ちゃんも秀吉時代のものであれば良いと思っているようで秀吉時代のものであれば今でも十分以上に素晴らしい天秤櫓がもっと素晴らしい建物になると言うことなのだろう。
「秀吉が作ったものが移築されたんだったら箔が付きますもんね。」
「まあ、そうかもね。」
先生が苦笑いしてそう答えた。
「確か箔が付くかもしれんな。」
訪ちゃんの反応もそれほど良くない。
あれ?答えを間違えたかな・・・
私が困惑していると先輩が
「確かに誰が作ったかという箔は大事ね。だけど彦根城は既に日本でも有数の名城として十分に箔がついているわ。それよりもこの天秤櫓が長浜城からの移築だったとはっきりしたら今は模造天守しかない長浜城の一端が垣間見れるということのほうが重要なのかもね。」
先輩がそう教えてくれる。
確かに彦根城は日本全国に名を馳せる名城中の名城だ、だから誰が作ったかという箔はそれほど重要ではなく、それよりも長浜城というお城が元はどう言うお城かという事が知れるということの方が重要だということなのだろう。
そう考えると先生が苦笑いするのも当然だ。
「まあ、過去のことを知るのは難しいからね。」
先生はそう言ってみんなを先導するように櫓の中に入っていった。
櫓内部には受付があって受付の前には靴袋が置かれている。
私達はポリバケツに貯められた靴袋を取り出して履いていた靴を袋の中に入れて櫓の床板に足をおいた。
床板は少しひんやりとしていて少し心地良い気がする。
櫓内部は沢山の柱と梁が連結されていてすごくしっかりとした作りなのがすぐに理解できた。
入ってすぐに膝くらいの高さのある敷居があってその少し奥に櫓のに階部部分に登るための急な階段が柱のようにそびえ立っていた。
「なんか変な構造やな・・・」
訪ちゃんが不思議そうな顔で一言そう漏らした。
階段や高い敷居で通り道を態と狭めているいるのは二階に素早く兵隊を配備するためなのかそれとも櫓内部一階に侵入する経路を狭めるためなのだろうかよくわからない構造だ。
配備性を高めると同時に侵入経路を狭めるためなのだろうかよくわからないけど配備性といってもこんな急な階段を重い甲冑を着た兵隊がすぐには登ることはできないし、そう考えると最悪敵が侵入してきたことを考えると内部構造も防衛の手段として考えて作られたのかもしれない。
内部に入ると明かりのない櫓内部はもっと暗いのかと思っていたが外から見ていた以上に窓が広く開放されていて外の光がしっかりと取り込まれていた。
「覗いてみて、ここからだと大堀切と鐘の丸が丸見えでしょ?」
先輩の言葉に従って私と訪ちゃんは鐘の丸を格子窓から覗き込むと鐘の丸はすっかり丸見えになっている。
多くの観光客が鐘の丸の石段を登ってコの字に廊下橋を渡ってくるのがよく見えた。
「こう見ると天秤櫓の防御力の高さがよく分かるでしょ?」
「ほんまやな、攻め手が天秤櫓に背を向けて石段を登るから無防備な背中を集中攻撃できるような作りになってるんやな。」
「今はなにもない鐘の丸だけど当然階段には仕切り門が置かれていたわ。天秤櫓に背を向けながら仕切門を攻撃するのは大きな痛手を覚悟しないといけないわ。石段も多聞櫓で守りを固めているから攻め口が決して多くない彦根城の攻略は至難の業なのよね。」
彦根城の天秤櫓の防御力は攻め手の侵入経路を一点に集中させることから計算されて作られている。
天秤櫓の内部から見下ろす大堀切は私達にその一端を感じさせてくれたのだ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
猫スタ募集中!(=^・・^=)
五十鈴りく
ライト文芸
僕には動物と話せるという特技がある。この特技をいかして、猫カフェをオープンすることにした。というわけで、一緒に働いてくれる猫スタッフを募集すると、噂を聞きつけた猫たちが僕のもとにやってくる。僕はそんな猫たちからここへ来た経緯を聞くのだけれど――
※小説家になろう様にも掲載させて頂いております。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
たっくんは疑問形 〜あなたと私の長い長い恋のお話〜
田沢みん
ライト文芸
第3回ライト文芸大賞 奨励賞、ありがとうございました。
『たっくん……私にたっくんの、空白の6年間を全部下さい』
『小夏……俺の話を聞いてくれる?』
小夏と拓巳は5歳の夏に運命の出会いをし、恋をした。 2人は拓巳の母親の恋人による暴力でジワジワと追い詰められ傷つけられ、 9歳の寒い冬の日に引き裂かれた。
そして6年ぶりに高校で再会した拓巳は、外見も中身も全く変わっていて……。
これは初恋の彼を想ったまま恋することをやめた少女、小夏と、 暗い過去を背負い、人を愛することを諦めた少年、拓巳の20年越しの恋のお話。
* R15です。第1章後半および第3章で児童に対する暴力、ケガなどの描写があります。第4章から性描写、微ザマァが入ります。
*本編完結済み。不定期で番外編を追加中です。
*イラストはミカスケ様です。
平凡と、もふもふ。
鶴上修樹
ライト文芸
「もふっ! もっふふぅ〜!」
平凡な会社員の『僕』の前に現れたのは、見た事がない黒い生き物。身体も鳴き声ももふもふな黒い生き物は『もふー』と名づけられ、そのまま暮らす事に。『僕』と『もふー』の、平凡で不思議な生活が始まった。
もふもふな生き物に、あなたも癒される。千文字以内のもふもふショートショート集。
チェスがしたいだけなのに!
奏穏朔良
ライト文芸
「……なんでこうなった??」
チェスがしたかっただけなのに、いつの間にか反社会勢力のボスに祀りあげられ、暴力団やテロ組織と対決することになる男子高校生の話。
戦犯は上手く動かない表情筋と口である。
****
2023/07/17本編完結しました。
ちまちま番外編あげる予定です。
【注意】勘違いの関係で視点がよく変わります。
見直していますが誤字脱字やりがちです。
ライト文芸大賞にて最高順位が32位でした。投票して下さった読者の皆様本当にありがとうございます!(2023/06/01)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる