60 / 113
勇者パーティーは本当に(いろんな意味で)レベルが高かった
しおりを挟む
勇者の後について富裕街のレストランに行くと、店の入り口で二人の美少女が待っていた。
身なりからして、あれがセシリアから聞いた噂の姫騎士ちゃんと神官さんだろう。
姫騎士ちゃんは街の中ということもあってか、白を基調とした軽鎧姿。うんうん。緋色の髪と目が実に栄えるね。清廉な装いの中で、勝ち気で活発そうな瞳が良いアクセントになっている。
年齢は、大体17~8歳というところだろう。うん、実に好みだ。
しかし、神官さんの方も聞きしに勝るクォリティ。碧銀の髪にエメラルドの瞳が実にきれいだ。それに、紺を基調とした神官服の上からも、スタイルの良さがよくわかる。
聖職者のくせに、なんとけしからん人だ。
マジ最高です! (←いい笑顔でサムズアップ)
この人は、年齢的に俺と同じくらいだろうな。もう直球ドストライクですわ。
残りの二人、妖艶な美魔女さんとスタイル抜群な美人格闘家さんがいないのは残念だが、これだけでも十分眼福。
では、早速……。
「初めまして、お嬢さん方。私、市場街で大道芸人をやっておりますヤマダ・ヨシマサと申します」
早速お二人の手を取り、挨拶代りのキッスを――しようとしたところで、セシリアからハリセンで叩かれた。
「何すんじゃ、ボケ!」
「貴様こそ何をしておるのじゃ、バカモノが! よりによって、勇者パーティーの姫騎士と神官にナンパなんぞ掛けおって。魔王の名が泣くぞ!」
「知るか、んなもん! 絶世の美少女がいたら、とりあえずナンパする。これは世の真理だ! 第一、この世界で『魔王』って実質的に『アホ』の代名詞だろうが! 名乗るの恥ずかし過ぎて涙が出るわ!」
「違うわい、愚か者! 魔王とは、邪神と並び、この世における至高の存在じゃ!!」
「お前と並んでいる段階で、十分ポンコツじゃねえか! ふざけんじゃねえよ、クソ邪神!?」
「ぐぬぬ! 好き放題言いおッてぇ……。と言うかお主、よくよく思い出してみれば、わらわの時はナンパなんぞせんかったじゃろうが! こんなにも超絶美少女なわらわを前にして!」
「貴様のような人の迷惑考えない寸胴ボディに誰がナンパするか! お呼びじゃないんだよ、チビジャリが!」
レストランの前で、喧嘩の第3ラウンドを始める俺とセシリア。
ただ、今回は勇者がすかさず止めに入ってきた。
「はいはい、二人とも。ケンカはそれくらいにしてくれ。せっかくの楽しい食事なんだからね」
俺とセシリアの額を押さえ、「どうどう、どうどう」と馬でもなだめるように言う勇者。
つか、なんだこれ!
勇者に抑えられた瞬間から、俺もセシリアも体を動かせなくなったんだが!
「ヨシマサよ、こいつ魔法使っておるぞ。わらわたちも魔法で対抗するのじゃ」
そう言って、俺の頭の上に異次元収納空間の出口を開き、『サルでもわかる! レメゲドン』を落としてくるセシリア。
ちなみにこいつ、勇者成分を摂取し過ぎたせいかトラウマを克服しちまったらしい。勇者嫌いであることに変わりはないが、異様に勇者を怖がったり気絶したりすることはなくなった。
言い換えれば、弱点が一つなくなっちまったわけだ。勇者め、余計なことをしやがって……。
――とそんなことは今、どうでもいい。
おい、セシリアよ。動けない俺の頭に本を角から落としてきたのは、明らかに悪意あってのことだよな? そうだよな?
てめえ、勇者の魔法にかこつけて、俺にダメージ与えに来やがったな!
「偶然じゃ、偶然。悪気があったわけではないわい。相変わらず小さいことのこだわる男じゃのう。ぷくく……!」
その悪意に満ちた笑いは明らかに故意だろうが!
まったく、胸はないくせにいい度胸だ、クソ邪神。
このたんこぶの恨み。勇者の前に、てめえへ魔法をぶち込んでやる!
「だから、ケンカはやめなさいって!」
「けぺっ!」
「こけっ!」
え? 何?
俺たち、今何された?
体動かないどころか、急に体の力が抜けちゃったんだけど?
立っていることすらできなくなっちゃったんだけど!?
「うん。二人とも、大人しくなったね。それじゃあ、楽しい食事にレッツゴー!」
「おいコラ勇者! 『レッツゴー!』じゃねえよ! てめえ、俺たちに何をした!」
「おい勇者! 貴様、わらわを荷物のように担ぎおって! 無礼者め! もうちょっと丁重に扱わんか!!」
「それは仕方ないよ。もう片手は、ヨシマサを担ぐのに使っているんだから。無礼で申し訳ないけど、席に着くまで二人とも我慢してくれ」
「「我慢できるかーっ!」」
二人揃ってギャースギャースと喚くが、体が動かないのでそれ以上の抵抗はできず仕舞い。
こうして俺たちは、正しくお荷物扱いでレストランに入店したのだった。
身なりからして、あれがセシリアから聞いた噂の姫騎士ちゃんと神官さんだろう。
姫騎士ちゃんは街の中ということもあってか、白を基調とした軽鎧姿。うんうん。緋色の髪と目が実に栄えるね。清廉な装いの中で、勝ち気で活発そうな瞳が良いアクセントになっている。
年齢は、大体17~8歳というところだろう。うん、実に好みだ。
しかし、神官さんの方も聞きしに勝るクォリティ。碧銀の髪にエメラルドの瞳が実にきれいだ。それに、紺を基調とした神官服の上からも、スタイルの良さがよくわかる。
聖職者のくせに、なんとけしからん人だ。
マジ最高です! (←いい笑顔でサムズアップ)
この人は、年齢的に俺と同じくらいだろうな。もう直球ドストライクですわ。
残りの二人、妖艶な美魔女さんとスタイル抜群な美人格闘家さんがいないのは残念だが、これだけでも十分眼福。
では、早速……。
「初めまして、お嬢さん方。私、市場街で大道芸人をやっておりますヤマダ・ヨシマサと申します」
早速お二人の手を取り、挨拶代りのキッスを――しようとしたところで、セシリアからハリセンで叩かれた。
「何すんじゃ、ボケ!」
「貴様こそ何をしておるのじゃ、バカモノが! よりによって、勇者パーティーの姫騎士と神官にナンパなんぞ掛けおって。魔王の名が泣くぞ!」
「知るか、んなもん! 絶世の美少女がいたら、とりあえずナンパする。これは世の真理だ! 第一、この世界で『魔王』って実質的に『アホ』の代名詞だろうが! 名乗るの恥ずかし過ぎて涙が出るわ!」
「違うわい、愚か者! 魔王とは、邪神と並び、この世における至高の存在じゃ!!」
「お前と並んでいる段階で、十分ポンコツじゃねえか! ふざけんじゃねえよ、クソ邪神!?」
「ぐぬぬ! 好き放題言いおッてぇ……。と言うかお主、よくよく思い出してみれば、わらわの時はナンパなんぞせんかったじゃろうが! こんなにも超絶美少女なわらわを前にして!」
「貴様のような人の迷惑考えない寸胴ボディに誰がナンパするか! お呼びじゃないんだよ、チビジャリが!」
レストランの前で、喧嘩の第3ラウンドを始める俺とセシリア。
ただ、今回は勇者がすかさず止めに入ってきた。
「はいはい、二人とも。ケンカはそれくらいにしてくれ。せっかくの楽しい食事なんだからね」
俺とセシリアの額を押さえ、「どうどう、どうどう」と馬でもなだめるように言う勇者。
つか、なんだこれ!
勇者に抑えられた瞬間から、俺もセシリアも体を動かせなくなったんだが!
「ヨシマサよ、こいつ魔法使っておるぞ。わらわたちも魔法で対抗するのじゃ」
そう言って、俺の頭の上に異次元収納空間の出口を開き、『サルでもわかる! レメゲドン』を落としてくるセシリア。
ちなみにこいつ、勇者成分を摂取し過ぎたせいかトラウマを克服しちまったらしい。勇者嫌いであることに変わりはないが、異様に勇者を怖がったり気絶したりすることはなくなった。
言い換えれば、弱点が一つなくなっちまったわけだ。勇者め、余計なことをしやがって……。
――とそんなことは今、どうでもいい。
おい、セシリアよ。動けない俺の頭に本を角から落としてきたのは、明らかに悪意あってのことだよな? そうだよな?
てめえ、勇者の魔法にかこつけて、俺にダメージ与えに来やがったな!
「偶然じゃ、偶然。悪気があったわけではないわい。相変わらず小さいことのこだわる男じゃのう。ぷくく……!」
その悪意に満ちた笑いは明らかに故意だろうが!
まったく、胸はないくせにいい度胸だ、クソ邪神。
このたんこぶの恨み。勇者の前に、てめえへ魔法をぶち込んでやる!
「だから、ケンカはやめなさいって!」
「けぺっ!」
「こけっ!」
え? 何?
俺たち、今何された?
体動かないどころか、急に体の力が抜けちゃったんだけど?
立っていることすらできなくなっちゃったんだけど!?
「うん。二人とも、大人しくなったね。それじゃあ、楽しい食事にレッツゴー!」
「おいコラ勇者! 『レッツゴー!』じゃねえよ! てめえ、俺たちに何をした!」
「おい勇者! 貴様、わらわを荷物のように担ぎおって! 無礼者め! もうちょっと丁重に扱わんか!!」
「それは仕方ないよ。もう片手は、ヨシマサを担ぐのに使っているんだから。無礼で申し訳ないけど、席に着くまで二人とも我慢してくれ」
「「我慢できるかーっ!」」
二人揃ってギャースギャースと喚くが、体が動かないのでそれ以上の抵抗はできず仕舞い。
こうして俺たちは、正しくお荷物扱いでレストランに入店したのだった。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???

異世界でのんびり暮らしたい!?
日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

女神の代わりに異世界漫遊 ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~
大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。
麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。
使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。
厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒!
忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪
13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください!
最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^
※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!
(なかなかお返事書けなくてごめんなさい)
※小説家になろう様にも投稿しています

チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる