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第七章 決戦
開戦
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城の近くまで進んだ騎士団一行。彼らはオーガたちに見つからないよう、森の中に身をひそめていた。
「……よし、時間だ。まずはあの門を破って、オーガたちをおびき出す。砲撃部隊、構え!」
エドワードの命令で、砲撃部隊が持ってきた二門の大砲を構える。
「撃てぇ!」
号令とともに、大砲が火をふいた。
二門の大砲が交互に発射され、またたく間に門と周りの城壁をこわしていく。すべての砲弾を撃ちつくすころには、城門は跡形もなく消し飛んでいた。
「何だ、今のでけぇ音は!」
「城門の方からだったぞ!」
轟音を聞きつけ、オーガたちも城の中から次々と出てきた。
オーガは身長二メートルを超える巨大な化け物だ。緑色の肌、とがった耳に黄ばんだ鋭い牙を持った、おそろしい姿をしている。
オーガと騎士団。因縁深い二つの勢力が、ここに対峙した。
「城門をこわしたのは、てめぇらだな。許さねぇぞ!」
先頭にいたオーガが、持っていたオノを肩にかついで、どなり声を上げる。
それを皮切りに、外に出てきたオーガたちから怒号が飛び始めた。
「人間ごときが何をしに来た!」
「人間のくせに、いい度胸だ。覚悟はできているだろうな?」
オーガ達が耳ざわりな声で、騎士たちにきたない言葉を浴びせる。
対して騎士団側は、エドワードがよく通る声でこれに応じた。
「我々は、ケセド王国騎士団だ。王国の平和を取りもどすため、お前たちを退治しに来た。討たれる覚悟ができた者からかかってこい!」
「ふざけんな! けちょんけちょんにしてやる!」
「生きて帰れると思うなよ!」
エドワードの言葉に、オーガたちはさらに怒り狂い、さわぎたてる。元々ほとんど持ち合わせていない理性が、怒りで完全に飛んでしまっている。
オーガたちは雄叫びをあげながら、一直線に騎士団へせまった。
「盾隊、応戦! 弓隊も放て!」
エドワードの横で、副隊長のデュランが指示を飛ばす。
同時に大きな盾と槍を持った盾隊が、オーガの突撃を防ぐ。そして、足止めされたオーガたちを弓隊が弓矢で撃ち抜いていった。
訓練通りの流れるように見事な連携だ。
「クソ! 前の連中がやられた!」
「やられたヤツなんて放っておけ。あいつらをたたきつぶすのが先だ!」
オーガたちは撃たれた仲間をふみこえて、次々と騎士団にせまる。
ただ、オーガたちの攻撃にさらされても、騎士たちは冷静だった。それぞれの役目をきっちり果たし、オーガの力まかせの猛攻を防いでいく。
「よし、このままオーガたちを森に引きこむぞ。やつらを城から引き離すのだ!」
エドワードが、オーガたちには聞こえないように、各隊へ指示を伝えていく。
騎士たちはそれに従い、オーガを引きつけながら、ゆっくりと後ろに下がり始めた。
「がははは。さっきまでの威勢はどうした!」
「弱い、弱い。弱すぎるわ!」
騎士団が下がるのを、自分たちが押しているからだと勘違いしたオーガたち。調子に乗った彼らは、策にはまったとも気づかず、まんまと城から引き離されていく。
こうして、騎士団は総司の作戦通りにオーガたちをおびき出したのだった。
* * *
「始まったみたいだ」
崖の上から、城門前の戦いを見ていた総司。
彼は、自分の立てた作戦『逆落とし・改』がうまくいっている手応えを感じた。
(第一段階のおびき出しは成功。あとは、ぼくたちが奇襲と救出を成功させるだけ!)
総司が立てた作戦は、騎士団がオーガをおびき出し、自分たちが手薄になった城に崖の上からもぐりこむというものだ。
源義経の逆落としにならって立てた、この作戦。どうやら、今のところは上手くいっているようだ。あとは、総司たちの働きに作戦の成否がかかっている。
「みんな、準備はいい?」
「おう! いつでもこい!」
騎士団がオーガたちを森へ引きこんだところで、総司はカイたちの方をふり返る。
すると、カイがいたずらをする前の子供のように笑いながら、総司に返事をした。
「よし。じゃあ、行こう!」
「わかった。三人とも、私にしっかりつかまっていろ。舌をかむなよ」
総司のゴーサインに、三人を乗せたアルバスが崖を下りだした。
アルバスは足場となりそうな岩場をとびはねながら崖を駆け下りていく。背中に乗る三人は、ふり落されないように必死にしがみついた。
「な、なんだ!」
「フン!」
城が近くなってくると、アルバスは城の見張り台と思われる塔の上に飛び降りた。
突然空から降ってきたアルバスに、あわてふためく見張りのオーガ。彼は突然空から降ってきたアルバスに踏みつけられ、そのまま気絶してしまった。
「よし、行くぞ!」
カイが剣を抜き、先頭を切って城の中へと入っていく。総司、葵、アルバスもカイに続いて、塔の階段を下りていった。
「それじゃあ、ここで別れよう。予定通り、ぼくとアオイがアイリスさんの救出、カイとアルバスさんがバラムのところに向かう」
階段を下り切ったところで、総司が全員に向かって確認する。
メンバーのふり分けは、あらかじめ決めてある。全員、迷うことなくうなずいた。
「アイリスさんを助けたら、ぼくらもそっちに合流する。騎士団も、きっと来てくれるはずだ。だから、カイたちも無理はしないでね」
「そっちも気をつけろよ。オーガがすべていなくなったわけじゃないからな」
互いに言葉をかけ合う、総司とカイ。彼らはそれぞれの役目を果たすため、城の中に散っていった。
「……よし、時間だ。まずはあの門を破って、オーガたちをおびき出す。砲撃部隊、構え!」
エドワードの命令で、砲撃部隊が持ってきた二門の大砲を構える。
「撃てぇ!」
号令とともに、大砲が火をふいた。
二門の大砲が交互に発射され、またたく間に門と周りの城壁をこわしていく。すべての砲弾を撃ちつくすころには、城門は跡形もなく消し飛んでいた。
「何だ、今のでけぇ音は!」
「城門の方からだったぞ!」
轟音を聞きつけ、オーガたちも城の中から次々と出てきた。
オーガは身長二メートルを超える巨大な化け物だ。緑色の肌、とがった耳に黄ばんだ鋭い牙を持った、おそろしい姿をしている。
オーガと騎士団。因縁深い二つの勢力が、ここに対峙した。
「城門をこわしたのは、てめぇらだな。許さねぇぞ!」
先頭にいたオーガが、持っていたオノを肩にかついで、どなり声を上げる。
それを皮切りに、外に出てきたオーガたちから怒号が飛び始めた。
「人間ごときが何をしに来た!」
「人間のくせに、いい度胸だ。覚悟はできているだろうな?」
オーガ達が耳ざわりな声で、騎士たちにきたない言葉を浴びせる。
対して騎士団側は、エドワードがよく通る声でこれに応じた。
「我々は、ケセド王国騎士団だ。王国の平和を取りもどすため、お前たちを退治しに来た。討たれる覚悟ができた者からかかってこい!」
「ふざけんな! けちょんけちょんにしてやる!」
「生きて帰れると思うなよ!」
エドワードの言葉に、オーガたちはさらに怒り狂い、さわぎたてる。元々ほとんど持ち合わせていない理性が、怒りで完全に飛んでしまっている。
オーガたちは雄叫びをあげながら、一直線に騎士団へせまった。
「盾隊、応戦! 弓隊も放て!」
エドワードの横で、副隊長のデュランが指示を飛ばす。
同時に大きな盾と槍を持った盾隊が、オーガの突撃を防ぐ。そして、足止めされたオーガたちを弓隊が弓矢で撃ち抜いていった。
訓練通りの流れるように見事な連携だ。
「クソ! 前の連中がやられた!」
「やられたヤツなんて放っておけ。あいつらをたたきつぶすのが先だ!」
オーガたちは撃たれた仲間をふみこえて、次々と騎士団にせまる。
ただ、オーガたちの攻撃にさらされても、騎士たちは冷静だった。それぞれの役目をきっちり果たし、オーガの力まかせの猛攻を防いでいく。
「よし、このままオーガたちを森に引きこむぞ。やつらを城から引き離すのだ!」
エドワードが、オーガたちには聞こえないように、各隊へ指示を伝えていく。
騎士たちはそれに従い、オーガを引きつけながら、ゆっくりと後ろに下がり始めた。
「がははは。さっきまでの威勢はどうした!」
「弱い、弱い。弱すぎるわ!」
騎士団が下がるのを、自分たちが押しているからだと勘違いしたオーガたち。調子に乗った彼らは、策にはまったとも気づかず、まんまと城から引き離されていく。
こうして、騎士団は総司の作戦通りにオーガたちをおびき出したのだった。
* * *
「始まったみたいだ」
崖の上から、城門前の戦いを見ていた総司。
彼は、自分の立てた作戦『逆落とし・改』がうまくいっている手応えを感じた。
(第一段階のおびき出しは成功。あとは、ぼくたちが奇襲と救出を成功させるだけ!)
総司が立てた作戦は、騎士団がオーガをおびき出し、自分たちが手薄になった城に崖の上からもぐりこむというものだ。
源義経の逆落としにならって立てた、この作戦。どうやら、今のところは上手くいっているようだ。あとは、総司たちの働きに作戦の成否がかかっている。
「みんな、準備はいい?」
「おう! いつでもこい!」
騎士団がオーガたちを森へ引きこんだところで、総司はカイたちの方をふり返る。
すると、カイがいたずらをする前の子供のように笑いながら、総司に返事をした。
「よし。じゃあ、行こう!」
「わかった。三人とも、私にしっかりつかまっていろ。舌をかむなよ」
総司のゴーサインに、三人を乗せたアルバスが崖を下りだした。
アルバスは足場となりそうな岩場をとびはねながら崖を駆け下りていく。背中に乗る三人は、ふり落されないように必死にしがみついた。
「な、なんだ!」
「フン!」
城が近くなってくると、アルバスは城の見張り台と思われる塔の上に飛び降りた。
突然空から降ってきたアルバスに、あわてふためく見張りのオーガ。彼は突然空から降ってきたアルバスに踏みつけられ、そのまま気絶してしまった。
「よし、行くぞ!」
カイが剣を抜き、先頭を切って城の中へと入っていく。総司、葵、アルバスもカイに続いて、塔の階段を下りていった。
「それじゃあ、ここで別れよう。予定通り、ぼくとアオイがアイリスさんの救出、カイとアルバスさんがバラムのところに向かう」
階段を下り切ったところで、総司が全員に向かって確認する。
メンバーのふり分けは、あらかじめ決めてある。全員、迷うことなくうなずいた。
「アイリスさんを助けたら、ぼくらもそっちに合流する。騎士団も、きっと来てくれるはずだ。だから、カイたちも無理はしないでね」
「そっちも気をつけろよ。オーガがすべていなくなったわけじゃないからな」
互いに言葉をかけ合う、総司とカイ。彼らはそれぞれの役目を果たすため、城の中に散っていった。
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