69 / 77
最終話 ~冬~ え? 神様方が地獄分館を取り潰そうとしている? ウフフ……。ならば私が、彼らに身の程というものを教えてあげるとしましょう。
勝ちに行きましょう。
しおりを挟む
「さて、最後の依頼は……ふむふむ。あらすじだけ覚えている本を読みたいので探してほしい、ですか」
これは、ド直球なレファレンスが来ましたね。
多分この依頼が、伊邪那美様から私への試練ということなのでしょう。
(私の力を試すための課題……。いいでしょう。この依頼、私が華麗に解いて差し上げます)
依頼者が覚えていたあらすじを一読して頭へ叩き込み、準備完了。
(さあ、それでは私も行きましょうか)
――と、その時です。
「……いい加減にしたまえ!」
「わ~!」
「きゃ~!」
「ほわ~!」
子鬼三兄弟が、ポンポンポーンと私の足元へ飛んできました。
彼らが飛んできた方を見れば、久延毘古氏がオリンピックの短距離選手並みのダッシュで大会議室から去っていきます。あれはちょっと、追いつけそうにありませんね。
(ううむ……。腐っても商議員のボス猿。やはり最後まで足止めしておくことは不可能でしたか)
心の中で、一人唸ります。
まあ、白仙さんチームと閻魔様チームはすでに探索を開始していますし、私もすぐに出発です。加えて、久延毘古氏以外の商議員共は子鬼さん方ががっちり遊んでくれています。
勝利への道筋を立てる時間を十分に稼げたという意味では、上出来といったところでしょう。
(さて、それではまともに勝負するとしましょうかね)
あのムッツリ商議員長に一番屈辱的なダメージを与えるにはどうすればいいか。
そんなのは当然、彼お得意のレファレンスで完勝するのが一番です。
つまり、ここからは下手な妨害工作に時間を割くよりもさっさと依頼をクリアし、勝利確定してしまう方が得策でしょう。
その上で、息を切らして依頼をこなしてきたあのクサレ商議員長を涼しい顔と拍手で迎え、「久延毘古様、無駄な努力ご苦労様です♪」と心の底から労ってやるのです。
(ああ……。私に笑顔で出迎えられ、色んな意味で涙する久延毘古氏の表情……。――ふむ。ものすごく見ものですよ、これ!)
思わず恍惚とした表情になってしまいます。
ヤバ過ぎますね、涙しながら這いつくばる久延毘古氏。私、その映像を見るだけで、毎日お茶碗三杯はいけそうです。
今から撮影機材を借りて、フルハイビジョンで録画する準備をした方がいいかもしれません。
(――って、おっといけない。撮影機材の前に、まずはレファレンスですね)
逸る気持ちを抑え付け、まずは目の前の依頼に集中します。これが終わらないことには、勝利が確定しませんからね。さっさと片付けて、ビデオカメラやら何やらを借りてくることにしましょう。
さあ、甘美な未来に向かってレッツゴーです!
「とまとさん、ちーずさん、ばじるさん、足止めご苦労様でした。ですが、休んでいる時間はありませんよ。三人とも、まだまだ元気ですか?」
「「「いえ~い!」」」
ぴょこりと立ち上がった三兄弟が、可愛らしくVサインをしてくれます。この子達、見かけに似合わず体力無尽蔵ですからね。まだまだ元気いっぱいです。
「良いお返事です。それじゃあ私達も本を探しに行きますよ」
「「「お~!」」」
もはや遠足ムードの子鬼三兄弟を引き連れ、私も遅ればせながら、いまだに阿鼻叫喚の大会議室を後にするのでした。
これは、ド直球なレファレンスが来ましたね。
多分この依頼が、伊邪那美様から私への試練ということなのでしょう。
(私の力を試すための課題……。いいでしょう。この依頼、私が華麗に解いて差し上げます)
依頼者が覚えていたあらすじを一読して頭へ叩き込み、準備完了。
(さあ、それでは私も行きましょうか)
――と、その時です。
「……いい加減にしたまえ!」
「わ~!」
「きゃ~!」
「ほわ~!」
子鬼三兄弟が、ポンポンポーンと私の足元へ飛んできました。
彼らが飛んできた方を見れば、久延毘古氏がオリンピックの短距離選手並みのダッシュで大会議室から去っていきます。あれはちょっと、追いつけそうにありませんね。
(ううむ……。腐っても商議員のボス猿。やはり最後まで足止めしておくことは不可能でしたか)
心の中で、一人唸ります。
まあ、白仙さんチームと閻魔様チームはすでに探索を開始していますし、私もすぐに出発です。加えて、久延毘古氏以外の商議員共は子鬼さん方ががっちり遊んでくれています。
勝利への道筋を立てる時間を十分に稼げたという意味では、上出来といったところでしょう。
(さて、それではまともに勝負するとしましょうかね)
あのムッツリ商議員長に一番屈辱的なダメージを与えるにはどうすればいいか。
そんなのは当然、彼お得意のレファレンスで完勝するのが一番です。
つまり、ここからは下手な妨害工作に時間を割くよりもさっさと依頼をクリアし、勝利確定してしまう方が得策でしょう。
その上で、息を切らして依頼をこなしてきたあのクサレ商議員長を涼しい顔と拍手で迎え、「久延毘古様、無駄な努力ご苦労様です♪」と心の底から労ってやるのです。
(ああ……。私に笑顔で出迎えられ、色んな意味で涙する久延毘古氏の表情……。――ふむ。ものすごく見ものですよ、これ!)
思わず恍惚とした表情になってしまいます。
ヤバ過ぎますね、涙しながら這いつくばる久延毘古氏。私、その映像を見るだけで、毎日お茶碗三杯はいけそうです。
今から撮影機材を借りて、フルハイビジョンで録画する準備をした方がいいかもしれません。
(――って、おっといけない。撮影機材の前に、まずはレファレンスですね)
逸る気持ちを抑え付け、まずは目の前の依頼に集中します。これが終わらないことには、勝利が確定しませんからね。さっさと片付けて、ビデオカメラやら何やらを借りてくることにしましょう。
さあ、甘美な未来に向かってレッツゴーです!
「とまとさん、ちーずさん、ばじるさん、足止めご苦労様でした。ですが、休んでいる時間はありませんよ。三人とも、まだまだ元気ですか?」
「「「いえ~い!」」」
ぴょこりと立ち上がった三兄弟が、可愛らしくVサインをしてくれます。この子達、見かけに似合わず体力無尽蔵ですからね。まだまだ元気いっぱいです。
「良いお返事です。それじゃあ私達も本を探しに行きますよ」
「「「お~!」」」
もはや遠足ムードの子鬼三兄弟を引き連れ、私も遅ればせながら、いまだに阿鼻叫喚の大会議室を後にするのでした。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選
上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。
一人用の短い恋愛系中心。
【利用規約】
・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。
・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。
・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる