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最終話 ~冬~ え? 神様方が地獄分館を取り潰そうとしている? ウフフ……。ならば私が、彼らに身の程というものを教えてあげるとしましょう。

署名を集めに行きます。

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「どうかしましたか、閻魔様」

「悪いんだけど、儂は八寒地獄に行っていられないかな。一月は行事も多いから、結構忙しいんだよね」

「……………………。――チッ! ダメ分館長の分際で、いけしゃあしゃあと……」

 無駄に蓄えたその贅肉を、防寒具として存分に活用させてあげようというのに……。
 それを断るとは何様ですかね、このプロセスチャーシュー。こんな状況に陥った原因の一端が自分にあると、本当にわかっているのでしょうか。

「……いや、君の言いたいこともわからんではないのだが、ほら、一月って死者も多いしね。それに地獄の機能が滞ると、それはそれで商議員に付け入る隙を与えるようなものであるわけで……」

 あれこれと言い訳をする閻魔様。
 むう~……。エテ公の話に乗るわけではありませんが、商議員に新たな口実を与えるのも確かに癪なことです。それだけは断固として避けなければなりません。久延毘古くえびこ氏が勝ち誇る顔なんて見たくありませんしね。

 仕方ありません。時間がないことを考えれば、ここで閻魔様に無理を言うよりも、別の担当を割り振る方が賢明でしょう。

「わかりました。では、閻魔様は仕事をしながら地獄裁判所と事務局の署名を集めてください。いくら忙しくとも、それくらいはできますよね?」

「ああ、わかった。儂も分館長だからね。それくらいは喜んで引き受けよう」

「――その代わり、一人でも取り漏らしたら体中の毛という毛を一本一本抜いていく刑の処しますからね。心して取り掛かってください」

「オー、イエス。儂、超頑張ります……」

 私の目配せで子鬼さん達が両手に毛抜きを構えます。それを見て取り、閻魔様が逃げ腰になりながら返事をしました。
 よしよし。とりあえずこれで、地獄裁判所と事務局は大丈夫でしょう。

「というわけで兼定さん、八寒地獄には一人で行ってください。頼りにしていますよ」

「承知いたしました。それでは防寒具を用意して――」

「あれ? 何でまだここにいるのですか? あなたの変態的不死身性は八寒地獄の寒さくらいでどうこうできるものでもないのでしょう。さっさとこのノートを持って出発しなさい。はい、ハリーアップ!」

「イエス、行ってきます!」

 恍惚の表情をした兼定さんが、文字通り音速を突破して地獄分館から飛び出していきました。

 ……ふむ。ちょっとエサを与え過ぎたかもしれません。
 あの勢いのまま八寒地獄へ突っ込んで、あちらの獄卒達を吹き飛ばさなければよいですが……。票田が減っては困りますしね。

 まあ、あれも仕事はちゃんとするタイプですから、とりあえず放っておきましょう。

「さてと! とまとさん、ちーずさん、ばじるさん、私達も行きますよ。私達の担当は八大地獄と天国方面です!」

「「「は~い!」」」

 愛すべき部下三人を引き連れ、私も地獄分館を後にしようとします。
 そしたら閻魔様が、私達を引き止めました。

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