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最終話 ~冬~ え? 神様方が地獄分館を取り潰そうとしている? ウフフ……。ならば私が、彼らに身の程というものを教えてあげるとしましょう。
正攻法なら、これですよね。
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「では皆さん、他にアイデアはありませんか」
「正攻法って言うなら、やっぱり署名活動辺りがベターじゃないか?」
「はい、タカシさん。真っ当過ぎてこれっぽっちも面白くない、質実剛健なアイデアをありがとうございます。ものすごくつまらないです」
「てめえが『正攻法で』って言ったんだろうが! バカにしてんのか、コラァ!」
タカシさんは不良をやめても、相変わらずのツッコミキャラですね。
「別にバカにしてはいないですよ。署名活動なら、私も真っ先に考えたアイデアです。ただ、おかげでまったくインパクトがなかったですね。いっその事、聖良布夢さんくらいノリの良い回答なら会話が弾むのですが……」
「ちくしょう……。正しいことを言ったはずなのに……。オレは正しいことを言ったはずなのに……」
「安心しなさい、タカシ君。君は間違っていない、間違っていないから……」
袖で涙を拭うタカシさんを、閻魔様が優しく慰めます。
何でしょう。すごくホモホモしいですね。
しかも、ゴリラと元不良のカップリングって、めちゃくちゃ気色悪いです。
「そうは言いますが宏美さん、正攻法でということでしたら、私も署名活動もしくはデモ活動くらいしかないと思いますよ。昨日の商議員会の話を聞く限り、もはや宏美さん一人で状況を覆せないのは明白ですし、数に訴えることも必要かと」
「署名活動とか、地味な上に面倒くさいのであまり気乗りはしないのですが……」
変態モードから有能執事モードに戻った兼定さんも、署名活動に一票ですか。 基本的に超優秀なこのドMがこうまで言うということは、やはりそれしかないですかね。
はあ……。だるいなぁ……。
「しょめ~、しょめ~!」
「いっぱいあつめる~!」
「おなまえたくさ~ん」
「署名活動とは、誠に素晴らしいアイデアですね。ここは一つ、みんなで力を合わせてたくさん署名を集めましょう!」
やる気一杯の子鬼三兄弟を愛でていると、こちらまでやる気が出てきますね。もう署名活動の一つや二つ、どんと来いという感じです。
何やらタカシさんが「態度違い過ぎだろ!」とか叫んでいますが、一体何のことでしょうか? キレやすい若者、怖い。
「そうと決まれば、善は急げです。次の商議員会は二月の十日。期間は実質四週間ほどしかありません。ここは役割分担をして、効率良く署名を集めましょう」
そう言って、私は会議用に持ってきたホワイトボードに、それぞれが受け持つ担当区域を書き記していきました。
「ではまず、聖良布夢さんとタカシさん。お二人は、地獄の一般人方面に声を掛けてくださいな。学校とかで一気に票数を稼いでもらえると嬉しいです。不良時代に築いたコネなんかも総動員して頑張ってください」
「ウッス! オレ、姐さんのために頑張るッス!」
「何だかんだ言ってここは居心地いいからな。できる範囲で手伝ってやるよ」
早速仕事に取り掛かってくれるつもりなのか、二人が席を立ちます。
これまでの経験上、この二人はなかなか良い仕事をしてくれますからね。成果に期待するとしましょう。
「では次、閻魔様と兼定さんです。お二人は今すぐあの寒い方の地獄――ええと、八寒地獄でしたっけ? あちらへ向かってください。八寒地獄中の獄卒から署名をもらってくるのが、あなた方の仕事です。――あ、全員の署名をもらうまで、戻ってきてはいけませんよ。凍え死んでも署名をもらってきてください」
「あ~、宏美君」
自分の割り振りを聞いた閻魔様が、遠慮がちに手を上げました。この忙しい時に、一体何でしょう。
くだらない用件だったら顔の形を男前に変形させてあげますよ、閻魔様♪
「正攻法って言うなら、やっぱり署名活動辺りがベターじゃないか?」
「はい、タカシさん。真っ当過ぎてこれっぽっちも面白くない、質実剛健なアイデアをありがとうございます。ものすごくつまらないです」
「てめえが『正攻法で』って言ったんだろうが! バカにしてんのか、コラァ!」
タカシさんは不良をやめても、相変わらずのツッコミキャラですね。
「別にバカにしてはいないですよ。署名活動なら、私も真っ先に考えたアイデアです。ただ、おかげでまったくインパクトがなかったですね。いっその事、聖良布夢さんくらいノリの良い回答なら会話が弾むのですが……」
「ちくしょう……。正しいことを言ったはずなのに……。オレは正しいことを言ったはずなのに……」
「安心しなさい、タカシ君。君は間違っていない、間違っていないから……」
袖で涙を拭うタカシさんを、閻魔様が優しく慰めます。
何でしょう。すごくホモホモしいですね。
しかも、ゴリラと元不良のカップリングって、めちゃくちゃ気色悪いです。
「そうは言いますが宏美さん、正攻法でということでしたら、私も署名活動もしくはデモ活動くらいしかないと思いますよ。昨日の商議員会の話を聞く限り、もはや宏美さん一人で状況を覆せないのは明白ですし、数に訴えることも必要かと」
「署名活動とか、地味な上に面倒くさいのであまり気乗りはしないのですが……」
変態モードから有能執事モードに戻った兼定さんも、署名活動に一票ですか。 基本的に超優秀なこのドMがこうまで言うということは、やはりそれしかないですかね。
はあ……。だるいなぁ……。
「しょめ~、しょめ~!」
「いっぱいあつめる~!」
「おなまえたくさ~ん」
「署名活動とは、誠に素晴らしいアイデアですね。ここは一つ、みんなで力を合わせてたくさん署名を集めましょう!」
やる気一杯の子鬼三兄弟を愛でていると、こちらまでやる気が出てきますね。もう署名活動の一つや二つ、どんと来いという感じです。
何やらタカシさんが「態度違い過ぎだろ!」とか叫んでいますが、一体何のことでしょうか? キレやすい若者、怖い。
「そうと決まれば、善は急げです。次の商議員会は二月の十日。期間は実質四週間ほどしかありません。ここは役割分担をして、効率良く署名を集めましょう」
そう言って、私は会議用に持ってきたホワイトボードに、それぞれが受け持つ担当区域を書き記していきました。
「ではまず、聖良布夢さんとタカシさん。お二人は、地獄の一般人方面に声を掛けてくださいな。学校とかで一気に票数を稼いでもらえると嬉しいです。不良時代に築いたコネなんかも総動員して頑張ってください」
「ウッス! オレ、姐さんのために頑張るッス!」
「何だかんだ言ってここは居心地いいからな。できる範囲で手伝ってやるよ」
早速仕事に取り掛かってくれるつもりなのか、二人が席を立ちます。
これまでの経験上、この二人はなかなか良い仕事をしてくれますからね。成果に期待するとしましょう。
「では次、閻魔様と兼定さんです。お二人は今すぐあの寒い方の地獄――ええと、八寒地獄でしたっけ? あちらへ向かってください。八寒地獄中の獄卒から署名をもらってくるのが、あなた方の仕事です。――あ、全員の署名をもらうまで、戻ってきてはいけませんよ。凍え死んでも署名をもらってきてください」
「あ~、宏美君」
自分の割り振りを聞いた閻魔様が、遠慮がちに手を上げました。この忙しい時に、一体何でしょう。
くだらない用件だったら顔の形を男前に変形させてあげますよ、閻魔様♪
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