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第二話 ~夏~ 地獄にも研修はあるようです。――え? 行き先は、天国?
名保護司、再びです
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その声が聞こえてきたのは旧館の四階、第二閲覧室の入り口に差し掛かった時でした。
「――ですから、他の利用者さんもいらっしゃいますので、もう少しお静かにお願いしますと……」
「ああ? オレら、普通に本読んでただけだぜ。なあ?」
「そうそう。せっかくいい気分で読書を楽しんでいたのにな~」
「あ~あ、白けちまったな~」
「てか、お前、何様よ? オレら、お客様だぜ。何いちゃもん付けてくれちゃってんの?」
「あんま調子こいてると、温厚なオレらも怒っちゃうよ?」
怯えた女性の声と威嚇するような男性の声×5。何やら不穏な雰囲気の漂う会話ですね。きな臭い臭いがプンプンします。
と言いますか、この男共の頭悪い感じの会話……。発している人は違いますが、どことなくデジャヴを感じますね……。
具体的に言うと、何だか一月半くらい前、同じような会話を間近で聞いた気がします。
いやはや、まさか天国までやって来て、またこのような光景を見ることになるとは思いませんでしたよ。
(名探偵が事件に行きあうように、名保護司兼名司書である私は、この手の事態に行きあう運命なのでしょうかね……)
なんてことを考えながら閲覧室の中を覗くと、案の定です。柄の悪い鬼五人(十中八九、地獄の学生か何かでしょうね)が、本館の職員さんを取り囲んでいました。
だぼっとした服をだらしなく着こなし、髪を明るい金色に染めた鬼達。
もう、これでもかという程わかりやすくチンピラですね。
大方、天国まで来たはいいけれど、行くところがなくて天国本館へ流れ着いたのでしょう。ここならタダで涼めますしね。
「いえ……。私はただ、少しお願いをさせていただいただけで……」
大柄のチンピラ鬼五人に囲まれ、職員さん(若い女性)は涙目です。お可哀想に……。
同じか弱い女性として、お気持ちはよくわかりますよ。こんなチンピラどもに囲まれたら、恐怖のあまり身がすくんでしまいますよね。ええ、私も非力な女性ですから、よくわかります。
――さてと……♪
「……いけませんね。皆さん、申し訳ありませんが、少しお待ちください」
私達受講生に交じって閲覧室の中の様子を窺っていた石上さんが、すぐさま閲覧室に踏み入ろうとしました。
――ですが、残念。一足遅かったですね。
なぜなら……。
「ジャーマンスープレックス」
「「「はい!」」」
「ぐえっ!」
一足早く閲覧室に踏み込んだ私と子鬼さん達(あとついでに、なぜかまだいる兼定さん)が、すでに肉体言語による説教を始めていたからです。
今回の不良さん達は、すでに手を出しているみたいですからね。有罪、即指導開始です。
フフフ……。研修でたまったストレスの憂さ晴らし――あ、違いました。久しぶりの不良少年達の利用者教育兼更生請負、つまりは私の領分ですよ。腕が鳴りますね。
「――ですから、他の利用者さんもいらっしゃいますので、もう少しお静かにお願いしますと……」
「ああ? オレら、普通に本読んでただけだぜ。なあ?」
「そうそう。せっかくいい気分で読書を楽しんでいたのにな~」
「あ~あ、白けちまったな~」
「てか、お前、何様よ? オレら、お客様だぜ。何いちゃもん付けてくれちゃってんの?」
「あんま調子こいてると、温厚なオレらも怒っちゃうよ?」
怯えた女性の声と威嚇するような男性の声×5。何やら不穏な雰囲気の漂う会話ですね。きな臭い臭いがプンプンします。
と言いますか、この男共の頭悪い感じの会話……。発している人は違いますが、どことなくデジャヴを感じますね……。
具体的に言うと、何だか一月半くらい前、同じような会話を間近で聞いた気がします。
いやはや、まさか天国までやって来て、またこのような光景を見ることになるとは思いませんでしたよ。
(名探偵が事件に行きあうように、名保護司兼名司書である私は、この手の事態に行きあう運命なのでしょうかね……)
なんてことを考えながら閲覧室の中を覗くと、案の定です。柄の悪い鬼五人(十中八九、地獄の学生か何かでしょうね)が、本館の職員さんを取り囲んでいました。
だぼっとした服をだらしなく着こなし、髪を明るい金色に染めた鬼達。
もう、これでもかという程わかりやすくチンピラですね。
大方、天国まで来たはいいけれど、行くところがなくて天国本館へ流れ着いたのでしょう。ここならタダで涼めますしね。
「いえ……。私はただ、少しお願いをさせていただいただけで……」
大柄のチンピラ鬼五人に囲まれ、職員さん(若い女性)は涙目です。お可哀想に……。
同じか弱い女性として、お気持ちはよくわかりますよ。こんなチンピラどもに囲まれたら、恐怖のあまり身がすくんでしまいますよね。ええ、私も非力な女性ですから、よくわかります。
――さてと……♪
「……いけませんね。皆さん、申し訳ありませんが、少しお待ちください」
私達受講生に交じって閲覧室の中の様子を窺っていた石上さんが、すぐさま閲覧室に踏み入ろうとしました。
――ですが、残念。一足遅かったですね。
なぜなら……。
「ジャーマンスープレックス」
「「「はい!」」」
「ぐえっ!」
一足早く閲覧室に踏み込んだ私と子鬼さん達(あとついでに、なぜかまだいる兼定さん)が、すでに肉体言語による説教を始めていたからです。
今回の不良さん達は、すでに手を出しているみたいですからね。有罪、即指導開始です。
フフフ……。研修でたまったストレスの憂さ晴らし――あ、違いました。久しぶりの不良少年達の利用者教育兼更生請負、つまりは私の領分ですよ。腕が鳴りますね。
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