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お前のトイレは大通りなのか
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「今月の給料、なんか先月よりも少なくないですか」
ザザが入社して1ヶ月、行政改革ギルドは設備投資をしまくって、非常に快適な空間(現代日本における極めて一般的な水準)に変わっていた。
カイリキはすっかり変わった部屋の様子に一つ頷く。
僅かに1つ、部屋の中央にポツリと輝いていた薄暗い照明は、複数個のランタンによって執務室内全体を明るく灯している。ザザのライトの魔法によって中長期のメンテナンスも可能となったため、後数年は明るさが保たれることになる。設置工事に多少時間と予算が必要になったが、それでも余りあるリターンだと思う。メガネをくいくいしながら目を細めるマカオの姿を見ることは当分ないだろう。
机や椅子も新調され、カビとホコリのにおいで満ちていた執務室は、プラズ・マクラスタ材による脱臭効果によって清々しい木の香りがするようになった。1ヶ月前は多少カビ臭さが残っていたが、今では全く気にならない。特に気に入っていたのがお嬢だ。特有の香り高さは、田舎出身のお嬢の心を掴んで離さないらしい。ろくに休憩も取らずに机にかじりつくため、ザザに「法律で8時間勤務する人は間に1時間の休憩を挟まないとダメだって決まってるんですよ!!」と叱られる始末だ。どっちが先輩なのやら。
脱臭と言えば、当執務室に換気装置が取り付けられた。『適度な換気は大事です。室内のしーおーつー濃度を下げて、相対的におーつー濃度を上げるだけで、作業効率がぐっと上がるんですから』とはザザの弁。話はよく分からなかったが、確かに作業中の息苦しさは減ったように思う。換気をすると頭も適度にリフレッシュされ、業務の進みも早くなった。
「カイリキさん、今月の給料、少なくなりましたよね?」
机の上に堆く積み上げられていた書類は姿を消し、一部の機密書類はカギ付の棚に厳重に保管されている。その他の書類は、ファイリングをした上で机の上または中に保管されたり、使用頻度の低いものは処分したり、今後不必要に印刷しないようデータ化したりした。書類は今後平積みは禁止となり、基本的には縦置きとなった。
ザザ曰く「書類を平積みして下の方にある書類を探す行為って、ホントに無駄なんですよ。あの探してる姿を、俺はドラ〇もん状態って呼んでます。『なんかないか!なんかないか!』って言ってるやつですね。あれやってるやつを見るだけでトイレのチリ紙にしたくなります」とのこと。なんとか状態はともかく、言いたいことは伝わった。棚を買って整理したのは大正解だったように思う。
棚に置いてあるファイルは種類ごとにソートされ、図書館のように区分分けされている。オカマは器用で強いというのが万国共通の認識なので、マカオにインデックスを付けてもらい、探したい書類がすぐに見付かるような工夫をした。
ソートと言えば、執務室のレイアウトも変更した。プリンタや書棚、会議スペース等の位置を見直し、動線を作って業務の能率を上げるのが目的だ。これについては、正直あまり効果が出ているという実感がない。ザザに聞いても「そんなもんですよ。逆に、何も感じないなら違和感なく動けてるってことです」らしいので、1年くらい経ったら効果を実感するのかもしれない。
「あれ、俺無視されてます?カイリキさーん」
そして最後にこのパソコンだ。まさかここまで変わるとは思わなかった。こんなことなら、お嬢が配属された時にさっさと買っておけば良かった。まず、パソコンの起動速度が全然違う。これまで、朝会社に来て真っ先にパソコンを立ち上げ、その間に掃除やら書類仕事をし、数分の起動時間を待ってからパソコン作業に取り組んでいた。ところがだ。この新型は10秒で起動まで完了する。仮に今までのパソコンの起動時間が5分だとすると、年間230日働くとすれば5×230で1150分、20時間近く業務時間をパソコンに奪われていたことになる。
当然ながらそれだけではない。MordやWxcelは勿論、OutaCADもぬるぬる動く。動作が重くなって画面が固まった間に、他の書類仕事をする必要もない。完全に集中して図面作成や書類作成に取り組むことができるのだ。
なるほど、確かにこれはザザがカス呼ばわりしていたのも頷ける。これに比べたら、以前使っていたパソコンはゴミだ。カスだ。産業廃棄物だ。だが、それを良しとしていた俺も産業廃棄物だ。
「そうだ!!!!俺は産業廃棄物なんだああああああああ!!!!!」
「えええええええ!!?」
ザザが入社して1ヶ月、行政改革ギルドは設備投資をしまくって、非常に快適な空間(現代日本における極めて一般的な水準)に変わっていた。
カイリキはすっかり変わった部屋の様子に一つ頷く。
僅かに1つ、部屋の中央にポツリと輝いていた薄暗い照明は、複数個のランタンによって執務室内全体を明るく灯している。ザザのライトの魔法によって中長期のメンテナンスも可能となったため、後数年は明るさが保たれることになる。設置工事に多少時間と予算が必要になったが、それでも余りあるリターンだと思う。メガネをくいくいしながら目を細めるマカオの姿を見ることは当分ないだろう。
机や椅子も新調され、カビとホコリのにおいで満ちていた執務室は、プラズ・マクラスタ材による脱臭効果によって清々しい木の香りがするようになった。1ヶ月前は多少カビ臭さが残っていたが、今では全く気にならない。特に気に入っていたのがお嬢だ。特有の香り高さは、田舎出身のお嬢の心を掴んで離さないらしい。ろくに休憩も取らずに机にかじりつくため、ザザに「法律で8時間勤務する人は間に1時間の休憩を挟まないとダメだって決まってるんですよ!!」と叱られる始末だ。どっちが先輩なのやら。
脱臭と言えば、当執務室に換気装置が取り付けられた。『適度な換気は大事です。室内のしーおーつー濃度を下げて、相対的におーつー濃度を上げるだけで、作業効率がぐっと上がるんですから』とはザザの弁。話はよく分からなかったが、確かに作業中の息苦しさは減ったように思う。換気をすると頭も適度にリフレッシュされ、業務の進みも早くなった。
「カイリキさん、今月の給料、少なくなりましたよね?」
机の上に堆く積み上げられていた書類は姿を消し、一部の機密書類はカギ付の棚に厳重に保管されている。その他の書類は、ファイリングをした上で机の上または中に保管されたり、使用頻度の低いものは処分したり、今後不必要に印刷しないようデータ化したりした。書類は今後平積みは禁止となり、基本的には縦置きとなった。
ザザ曰く「書類を平積みして下の方にある書類を探す行為って、ホントに無駄なんですよ。あの探してる姿を、俺はドラ〇もん状態って呼んでます。『なんかないか!なんかないか!』って言ってるやつですね。あれやってるやつを見るだけでトイレのチリ紙にしたくなります」とのこと。なんとか状態はともかく、言いたいことは伝わった。棚を買って整理したのは大正解だったように思う。
棚に置いてあるファイルは種類ごとにソートされ、図書館のように区分分けされている。オカマは器用で強いというのが万国共通の認識なので、マカオにインデックスを付けてもらい、探したい書類がすぐに見付かるような工夫をした。
ソートと言えば、執務室のレイアウトも変更した。プリンタや書棚、会議スペース等の位置を見直し、動線を作って業務の能率を上げるのが目的だ。これについては、正直あまり効果が出ているという実感がない。ザザに聞いても「そんなもんですよ。逆に、何も感じないなら違和感なく動けてるってことです」らしいので、1年くらい経ったら効果を実感するのかもしれない。
「あれ、俺無視されてます?カイリキさーん」
そして最後にこのパソコンだ。まさかここまで変わるとは思わなかった。こんなことなら、お嬢が配属された時にさっさと買っておけば良かった。まず、パソコンの起動速度が全然違う。これまで、朝会社に来て真っ先にパソコンを立ち上げ、その間に掃除やら書類仕事をし、数分の起動時間を待ってからパソコン作業に取り組んでいた。ところがだ。この新型は10秒で起動まで完了する。仮に今までのパソコンの起動時間が5分だとすると、年間230日働くとすれば5×230で1150分、20時間近く業務時間をパソコンに奪われていたことになる。
当然ながらそれだけではない。MordやWxcelは勿論、OutaCADもぬるぬる動く。動作が重くなって画面が固まった間に、他の書類仕事をする必要もない。完全に集中して図面作成や書類作成に取り組むことができるのだ。
なるほど、確かにこれはザザがカス呼ばわりしていたのも頷ける。これに比べたら、以前使っていたパソコンはゴミだ。カスだ。産業廃棄物だ。だが、それを良しとしていた俺も産業廃棄物だ。
「そうだ!!!!俺は産業廃棄物なんだああああああああ!!!!!」
「えええええええ!!?」
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