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拐われた

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「ゴホンッ、昔むかーしあるところに」

僕はあぐらをかき龍助くんを抱っこして本を読み聞かせる。

「きゃきゃ」

龍助くんは大はしゃぎだ、小さな龍は居ないから龍助くんの声で普段は閑古鳥が鳴く店でも今は龍人達が珍しさからかなり人々が店内に入ってくる。

「ーっいいのか、まだ神殿から出れないだろう」
「父である、私が居ますから」
「あー龍藍様の子供か」
「はい、入ったんですから飲み物か本買って下さいよ」

龍藍様は次々くる、お客様を捌いていく。
龍藍様が王弟と知っていない龍はいない、龍の王族は獣人国の王族と同じで龍神様の子孫だからだ。
だから、僕が龍我様の番なんだろう。
龍神の血を引いている龍我様なら僕と繋がっても平気だから。

「あぁ」
「げっ、そりゃないよ」
「うげっ、龍藍様ケチ」
「うるさいですね、本でも読みなさい、それに飲み物ならありますよ」
「あー俺飲み物で」
「俺も」

ざわざわしてきた一階で、龍助くんより大きい子供が僕と龍助くんの近くにある本棚からひょっこりと顔を出して、僕達の様子を伺っている。
大人が周りに居ない事から、この子供は20歳くらいにはなっているのかなぁ。

「おいで、僕はサクヤ、この子は助くんだよ」

龍助くんの名前は龍という名前は王族のみが付ける事が許された名前だ。
龍と言う字を言わなければ王族とは分からないだろう。
大人になれば王族は金色か、銀色か赤色か青色の龍が産まれるが。
金色と銀色は王族のみに表れるる色とされている、赤色、青色は王族ではない親の方に似た者とされるらしい。
龍藍様は金色だ、龍我様は金色の綺麗な黄金だ。

龍助くんはまだ子供だから、色はどんな龍に混じる様に龍藍様が調整しているれしい。

「しゅけ」
「うん、君は」
「ぼく、かける」

かけるくんはもじもじしながら話してくれた。

「ふふふっ、かけるくんはママかパパは」
「んっ」
「ーっ、サクヤーっ離れろ」
「えっ」

僕は龍藍様の叫び声に龍助くんを抱えていた手に力が入り抱きしめて立ち上がる。

「ーっしまった」
「あれはなんだ」
「子供が、子供が拐われたぞ」
「神殿に連絡をしろーっ」

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