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神子達

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「海里様お久しぶりなの」
「くっ、サクヤ様こそ前より更に神々しくなってうっ」

海里様は少しだけ変な人だ、何故なら僕と会うと鼻血を出してぶっ倒れるのが通常で最近ようやく慣れて来てくれたから気絶し倒れる事は減ったほんの少しだけだが。

「海の神子様、またですか」
「ふふふっ神官長様、海里は毎度の事放って置きなさい」

神官長は海里の鼻血が嫌なのか治癒の魔法を掛ける、神殿では血は余り宜しくないから直ぐに治癒をするのだ。

「サクヤ様お久しぶりですね」
「はい、月様」

ペコリッと頭を下げる僕に月様はにこやかに笑う。月様は名前の通り月の神子様だ。
前回のお茶会には体調不良で月様はいらっしゃなかったから、久しぶりなんだよ。

「月様は体調は平気なのですかなの」
「ふふふっサクヤ様大丈夫ですよ、まだまだ私の寿命は尽きませんから」

月様は古代の龍だ、何億と生きる龍だ。
まだ月様的にはまだまだ古代の龍にしては若い方だとおおらかに笑う。

「ふふふっ」
「冬司様お久しぶりですお元気そうで何よりですなの」
「はぁーっ、僕は引退したいんだよサクヤ」

ぐだりっと項垂れる冬司様は冬の神子様だ、冬司様は夏がもっぱら苦手で夏は引きこもりがちだ。季節の神子は何故だか自分の季節以外の気候が合わない、特に冬司様は歴代きっての夏が苦手で必ず体調を崩す。

「もう夏は懲り懲りなんだ」
「僕は冬は嫌いですけれど、神殿の外より中にいた方が断然寒さをしのげますよ」

夏の神子の夏樹がケーキを無心で食べていたがようやく少しだけ満足したのか、食べる手を止めて話しに参加してくれた。

「はぁーっ分かってないなぁ、僕の里は岩場で住居は洞窟なんだ、洞窟は年がら年中冷たい」
「神子は引退は無いからね」

神子が引退する時は新しい神子が産まれ育ち神子の引き継ぎが終わったら引退する事が出来るが、基本的に龍は力が衰える事はなく、亡くなるまで神子をするのだ。

「それに多額のお金貰えるしね」
「だが、自由がない」
「冬眠すればいい」

数年に一度か、何千年に一度龍は冬眠する、冬眠する事により更に長い寿命を手にする。
そして、月様はもうそろそろ冬眠に入るのだろう。
最近の月様は終始眠そうだ。

「冬眠は少し違くないか」
「冬眠すれば浮遊して遠くまで遊びに行ける」
「えーっ、美味しい物食べれないじゃない」

浮遊は魂だけがして肉体は神殿にて硬く守りの結界が張られていて手を出せない様になっている、龍は安全面の為に冬眠のさいは神殿に行く事が決められている。

かなり前に産まれたばかりの赤ちゃんを残し出産で体力が無くなり、龍の気が弱りそのまま冬眠した龍が居た。
その龍が長き目覚めから覚めた日赤ちゃんは自分の手元に存在しなかった、だが気だけは赤ちゃん龍と少しだけ繋がっていた為に赤ちゃんの居場所が分かり。
赤ちゃん龍は人に捕まり奴隷になっていた事をいち早く知り、母龍はその人間の国を消し炭にしたが、余りにも弱っていた赤ちゃん龍と万全ではない母龍は神殿に保護されたが未だに傷が治らずに神殿の奥に眠っている。

「魂だけの存在ですからね、冬眠した龍は」
「柚子は冬眠の時期が短いけれど、目覚めも短いな」

星の神子の柚子は一年冬眠し、一年目覚めてまた一年冬眠してを繰り返している龍により冬眠の時期や冬眠期間は全く異なる。

「すみません迷惑掛けて」
「神子が居なくても神官達がいる」
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