運命の番はイケメン美形様です

夜ト

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スズハ医師

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「うーにがっ」

げほっげほっとむせる、喉にへばり付くドロッとした感覚に口の中にはかなり苦味と泥臭い。
なんだ、この味は。
ヤバい、ヤバ、い、本気で失神しそうです。

「うっ、う」
「あー、やっぱり気絶するよな」
「あぁ、奏太様は人間の時に薬に慣れているかと思いましたが、やっぱり無理ですよね」

瓶を嫌そうに持ち上げるリルク。
ライムも気の毒そうな顔をする。

「はぁーっ、腕は良いのにあの味はどうにか出来ませんかね」
「無理ですよ、これでも色々と味を和らげようと努力したんですよ、皆省エネモードになり失神しましが」

顔がひきつる、皆スズハの犠牲に成った吸血鬼なのだ。
丈夫だが、吸血鬼にも怪我や病気もある。

「はぁーっ、僕は本気で常に強化結界を張りますよ、アレを飲むくらいなら」
「私も遠慮します、スズハ様の部下達も良く飲めますよね」

スズハを含めた部下達全員が平気であの悪趣味な薬をガブガブ飲むのだ信じられない、しかも皆が皆煎じたりしているせいか身体に香りが染み付いていて、皆基本的に関わりたくない組織歴代No.1だ。

「奏太様に会うときに珍しく香りが漏れないように遮断結界をしていましたね、何でです」
「はい、ハルヒに会わせたいので最初の印象は大切ですし」

そういう気遣いが出来るなら普段もう心がけて欲しいものだ。

「火の愛し子様ですか、起きて居られますか」
「・・・・多分」
「自信が全く感じられませんよ」

ライムがはっとした顔をする。

「あのっ、火の愛し子様に眠気覚ましの薬とかは」
「無理です」

ライムの言葉を遮りきっぱりと断言する。

「一度、会った時に話に成らずに、試した事がありました」

どこか遠い目をして、スズハは頬を撫でる。

「まだ、愛し子と判明していない時に私は大火傷嫌あれは、火炙りと言っても良いですね・・偉い目に合いましたよ」
「あー、御愁傷様です」
「で、会わせてくれますか、噂だとルナ様はお会いしたらしいですね」

リルクとライムは目を反らす。
愛し子に制限なんて無いに等しいが、守らなくなる行為は身の破綻を意味する。
そう、愛し子には必ず運命の番がいる、普段の番ですら、独占欲に嫉妬が激しいのに、運命の番は独占欲は勿論、嫉妬なんて日常茶飯事だし執着なんて言うのは生易しい。

「はぁーっ、調整しますが先ずは、奏太様の体調次第です」
「それは、勿論ですよ私はハルヒの番ですが、奏太様の主医です」

医師は患者が全てだ、それに只でさえ少ない患者なんだ。

「あっ、輸血パックの事でクリス様から話があると思いますらよ」
「輸血パックの事でですか、研究医の方に報告してください」
「何を言っているんですか、研究所長責任者」

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