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又、別の婚約破棄(本編と全く関係ない)1話完結

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「キャーッこれであんな奴追い出せたわ、はぁーっ同じ両親なのになんでアイツばかりなんだ、アイツばかり聖女として崇められて王子の婚約者だなんて許せないわ、でもこれで私はお姫様になるキャハハハッ」

ふーふんと部屋のクローゼットを開けて、お気に入りの服を眺める。

「王族になるのに、何故神殿に行かないとならないの聖女なのに」
「・・・お嬢様神殿に行かれるのは正午と仰っておりましたよね、そろそろ時間に成ります」

ふふふっ、と鼻歌を止めていい気分に成っていたのに邪魔したメイドに棚にあった花瓶を投げ付ける。

「きゃーっ」
「五月蝿いわねそんなこと分かっているわ、私は聖女なのよ特別なの、分かる貴方みたいなタダの平民がお目にかかる事がない存在なのよ、それに後しばらくすれば私は王妃になるのだからふふふっ」

そう、思っていた。
姉に勝てて優越感に満足していたのに、いざ聖女になれば冷たいお水に頭の先から足の先まで浸かり、聖なる水で浄めなければならないなんて聞いていない。
薄暗い洞窟の中に滴り落ちる冷たい水は広い空間にパチャパチャと跳ね返る音しかしない。
何人かいる聖女候補は私を泉から出さないように押さえつけている。

「ーっ離しなさいよーっ私は王妃になるのよ」
「はぁーっレイナ聖女様はお堪えに成りましたわ、貴方はレイナ様から立場を取ったのだからしっかりと勤めなさい」

一方王宮では。

「宜しいので、レイナ嬢を国外追放なさって」
「前聖女が言っていただろう、あの家の娘なら誰でもいい数年間王子の婚約者であり、聖女の地位をあげ聖女に心穏やかに過ごさせその見返りとして生贄にするだけだだ」
「しかし、今までの聖女様は生贄てはありませんよ」
「あーそうか知らないか、数年に一度生贄が指定される前の聖女はその時期ではなかった」

王は息を吐き、パタンと書籍を閉じる。
もう生贄の名前が変更されている、本人が生贄になると誓言したのだから当然だろう。

「レイナ嬢使命から解放され穏やかに末永く生きて幸せに成りなさい」

王になり一人の幼い子供の命達を奪いこの国は維持されている事を知り親になればなる程心が痛む、だがあの娘なら悪影響を与える邪悪な存在だ生贄に成りたいならレイナ嬢の変わりに犠牲になればいい。
生贄は貴族の中から出たり、王族の中から出たりする、産まれた時期が悪いのだから、諦めていたがアレは双子だ産まれた時期は同じ。

そして月日が過ぎ。

「キャーッ、聞いてない聞いてないーっ生贄なんて贅沢をしたかったのに、生贄なら聖女になんかならなかったー」
「なんで、なんで聖女なんだぞ私の婚約者なんだ」

王子は呆然とぶつぶつ呟く。

「王子、王子の婚約者は聖女様ではありませんよ、聖女様は神殿の者聖女は聖なる乙女ではくては聖女の資格はありません、王子と結婚したなら聖女ではなくなる、王子と婚約は結びますがずっと王子の婚約者の立場以外には成りません」
「なっ」

聖女は聖なる乙女ではくては聖女の資格が無くなり、聖女ではなくなる。
神殿に居る者達は皆、性行為は御法度だ。
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