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記憶
しおりを挟む「兎に角、双子はまだ幼いどうにかして連れて帰って貰わないと困るんだ………」
「………大丈夫だと思いますよ、雄太さんなら」
「確かになぁ、兄さんには敵意剥き出しだろうし」
ふーと吐息をつく、雄太さんと共に車は移動する。
「………お前父親の事覚えているか」
「ーっ、知ってますよ」
そう、知っているはずなんだ。
母から沢山たくさん教えて貰ったから、だから大丈夫だ。
「………そうかぁ」
「到着しました」
車から下りてマンションに入っていく。
寝ている双子を抱き上げようとする雄太さんを井上さん木村さんと平野さんが止めて、木村さんと平野さんが双子を抱き上げる。
井上さんは双子の荷物を纏めている。
「莉音さんゆっくりと休んで下さい」
「はい、気を付けて帰って下さい」
ふーっと息を吐く。
ゆっくりと椅子に座り小説を書いていく。
今日は寝れそうにない。
父の事は何となく、本当に何となくしか分からない。
「………ふーっ」
俺の記憶は幼い頃は曖昧だ。
曖昧過ぎて、朧気過ぎて実感が湧かない。
「ねっ、いつ思い出せるんだ俺の頭」
「………こんな感じかなぁ」
「………そろそろ飯食べろよ、莉音」
カチャリと俺の目の前には湯気がたっている、参鶏湯がある。
「………来てるの」
「来てるぜ、で今缶詰食らってる」
ふふふと笑う、数ヶ月貯まった作業があるからなぁ。
サボっていた分働いて貰わないとね。
「………新しいバイトの面接があるけどどうする」
「んーっ、又増やすの」
首を傾ける、確かに最近6人共忙しいからね。
遊馬に目を向けて、遊馬が真剣な顔付きをしているのに気付く。
「何かあった」
「………藍井が高校都内の外れにいくらしい、それも寮生活」
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「幹さんは知っているの」
「幹さんかぁ、一応俺達はサークルで売ってるたから個人契約はしていないんだよ、お前と俺は契約してるけど」
あーっと契約を思い出す。
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「土日のみの通いでもありだろうって話したんだけどな」
確かに、通いでも問題ない。
問題ないんだけど、別々に仕上げをしているスタイルな為各家でも作業出来る。
「寮なら作業も簡単なのしか出来ないな」
「そう、藍井を手放すかそのまま通いでやるか………どうする」
「藍井君を手放すのは痛すぎる…俺達の意見と食い違うとか俺達と仕事をするのが嫌になったとかじゃないんなら続けて欲しい」
ガタッとドアの外で音がする。
遊馬はガチャッとドアを開けると藍井君が慌てた様な行動をして、真っ赤になりあわてふためく。
「………藍井君中入って」
僕の部屋は小説も書く為一人作業出来る様に成っている。
机以外にも小さなガラステーブルがあり、電気を当ててトレース台にも出来るが今はコップを三つ並べてケ〇トで沸かす。
「ブルーベリー茶か白桃茶かダージリンか珈琲かお茶どれがいい」
遊馬は迷わずブルーベリーを選ぶ、藍井君は白桃を選ぶ。
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