僕の義理兄弟

平野、木村

「あー」

賢那ちゃんと莉那ちゃんは絵本に夢中だ、資料の為に沢山絵本もあるし、賢那ちゃんと莉那ちゃんの好きなワンニャンタシリーズもあるからね。
そういえば何を渡したんだろう。

「あーごめん莉音」
「……っ」

遊馬の首を締め付けたくなるとはこの事だと思うよ。
遊馬が双子ちゃんに渡したのは一枚の原稿用紙のネームだったらしい。
ネームと言ってもこのシリーズ初めての塗り絵の為に作った新作だ。
そう10年には子供にだって読書欲を刺激したいだが、子供には読書というよりは絵を見て楽しむのが一般的かなぁと思い、塗り絵にしてみたんだよね。

「……すまん」
「……まぁいいよ……あの出かさは子供に塗り潰す為のモノだから」

小さく手本として僕が塗り潰した紙ではない為まだマシだ。
色を入れていたら爆発していたよ、色を入れるって一番嫌いな作業だからね。

「良かったーっ」
「で、なんで見てたの」

そう、絵本は僕が描いているから遊馬が原稿を持っていたのが疑問なんだよね。

「あー、今絵本の二次創作が流行っているからどうせなら、莉音のにしねーって話が出てて」




「あー……でもそこまで有名な作品ではないし、それより幹さんから明後日までに構成出してだって」
「あ……一応構成は馨さんと一緒に考えてあるストーリーもそれなりに、後で確認して明後日までに直して幹さんに渡して」
「分かった、泰生って今日来る」

遊馬と音無馨さんそして僕が構成やシナリオは考えているストーリーも僕達は三人と他の三人に見せて納得したら幹さんに渡すのが基本だ。
遊馬と馨さんはシナリオを考えるプロだしね、僕はそれをお話にしたりする。
遊馬と馨さんと僕の三人でやる事により、確実に一歩先の話になるから、毎回読者をハラハラにしてやりたいんだよね。

「来ると思うぜ、LI〇Eでは来るって言ってたし」
「失礼します、莉音様居ますか」

コンコンッと控えめなノック音と共に平野さんと木村さんがやってくる。

「莉音様今宜しいでしょか」
「うん、大丈夫です……あっ此方」
「神宮遊馬です、元莉音の学校の同級生で一緒に仕事もしています」

ペコリと遊馬が頭を下げるが、二人はキョトンとしいる。
だよね、木村さんはなんとなく気づいているみたいな感じがするが、詳しくは知らないはずだし、平野さんは僕も余り親しくないからなぁ。
引っ越しの時は二人ともお手伝いしてくれたが、膨大な漫画や小説とか机を運んだりね。
机が何故に６個もあるし、布団も当然６人分あるし、棚一面には本だらけだから当然疑問は生まれているが、スルーしてくれていて有り難い
重要なトレースボックスは自分で配置したが、コピー機とかパソコンとかは設置して貰ったしね。

「……私は執事の木村と申します」
「私も執事の平野です、えっと……仕事って」