僕の義理兄弟

夜ト

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名も無き護衛

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魚を三枚に下ろしてニンニクとたまねぎとレモンと塩コショウ、カルパッチョにする。
そして、残っていた魚をしょうゆとわさびで浸ける。
そしてそれなりに大きい魚は鱗を取り、串さしし火の近くの地面に串を突き刺す。
頭を切り落としたのをスープにいれる、野菜の皮や要らない部分と一緒に煮込む。
難点はザルがない事だよなぁ。
ざくざくさくさくと進めていく、一方では。

「おい、あれは誰だよ、護衛の身なりだよなぁ」
「俺は情報ないぞ」
「名嘉山様の護衛に聞くか」

真緋琉はしまったという顔をするがもう遅く、名嘉山家の護衛と溪村家の護衛に囲まれていた。
青那家の紋章をどうにか隠したいが見せなければ不審者扱いに成ってしまう。
頭を抱えたい。

「どうしますか」
「どうするもこうするも、ここだけの話にするしかないだろう………幸いな事に」





「……主人との約束で、名嘉山佑美様と溪村丞様に主人の正体をほんの二、三日内密にして欲しい………我々は青那家の護衛だ」
「……証拠は」
「これを」

懐中時計を見せる、息を飲む二人。

「ーっ本物だ」
「つまり、あそこに居る方が青那家のご子息様ですか」
「あぁ、青那家の名前で近付いてくる者と触れあいたくないとの判断から本当の友達になるまでは名前を伏せる事に成っていたんだが………今回のお遊びではそういう訳にはいかなかったのでなぁ」

苦笑いを見せる、名嘉山家は青那家の分家に当たる名門だ。
そして、溪村家は青那家の御用達。

「どうする、佑美様は知らないんだろう」
「どうするもこうするも、青那家の秘密だろ」
「丞様に秘密には出来ません………我々の世界では隠し事はご法度です」

溪村家はご当主を崇めたてる兆候がある為、当主候補の丞には黙秘なんて出来ないのだろう。

「我主人は三日後に必ず言う、それまで黙っていてくれ、今日言ってしまったら……折角な旅が台無しになる」
「それは我主が、黙っていた事を怒ると思っているのか」
「見くびるな、丞様は偉大な方だそんな事ごときで……」




ハッと口をつぐむ、護衛達。
ハシャパシャと水飛沫をあげて魚が跳ねる。

「うわっ、佑美大きいーっね」
「あらかた料理出来たなら、護衛に火の番任せて莉音も読んできてもらうか」

佑美が釣り上げた魚を佑美の執事であり、運転手の土屋光明こうめいが針から魚を取り外す。
丞はキラキラした瞳で土屋をみる。

「佑美様」

パタパタと佑美は護衛の元に行き一人選抜する。

「後、これ取れ立て魚だ」
「いっぱい取れましたね」
「魚なら食中毒もないで食べれるだろう、焼くだけだしって莉音が言ってて」

パタパタと僕は料理を進めていく、一番大きな魚1尾(500g~1000g)に塩500g~1000g
卵白3個、ニンニク4片にローズマリー2本を用意して、魚の鱗と内臓を取り除き、水洗いをしてキッチンペーパーで水気を取ります。
魚のお腹に、ローズマリーと、つぶしたニンニクを入れておく。
ボールで塩と卵白を混ぜる。
混ぜた塩と卵白を、全体を覆うように塗り、目や魚の模様を書く。
オーブンで普通はやるんだけれど、ここは外だしね、アルミをしっかりと3周くらい巻き付けて炭火に50分焼く。
何尾かあるので、同じ方法で調理していく。

「うわっ、何を作っているんですか」
「鯛の塩釜焼きです、まだ出来上がらないんで、こっちを護衛の方々もどうぞ」139/227



名も無き護衛

名もなき護衛の視点。

にっこりと笑う莉音に本人は知らず知らず護衛を骨抜きにしてしまっている。

「……あっ、ありがとうございますごくっ、……うまっ」

塞がっていた口の中に莉音が捌いた魚を放り込む、ぱーっと笑みを浮かべる護衛。
先程の会話をまだ未熟な俺は後ろの方で聞いていたが、まさかあーんして貰うことになるとは、そこでハッとする。
この方は青那家の関係者……。
真っ青に成って身体が震えてくる。

「……どうかしましたか」
「あ……あー、俺っ」
「……ハァーッその反応、真緋琉が何か言いましたか」

コクコクッと頷く。
ハァーッと長いため息に身体がビクックのは当然だろう。
青那家を敵にしたら生きていけないのはこの世界で常識だ、逆に青那家に認められたら一生嫌3世代は暮らせると言われるくらいだ。

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