僕の義理兄弟

りおちゃんおっきして

「ちゅごいねっ」
「ねっ」

雄太と賢太の二人は顔を真っ赤にして、テレビを消す。

「あっお兄様ーっ」
「アイツをお起こしに来たんだろう」

雄太が躓きそうになる、と言うより転びそうに成るが持ち前の運動神経で持ち直す。

「うわっおっととっ」
「どうした」

賢太が雄太の大きな声にビクッく、柚那はケラケラ笑いだす、どうやら目撃者は柚那らしい。

「にーたんかえいーっ」
「んっ」
「げっ」

雄太が躓きそうになった物体を振り向く、むっくりとしているその固まりは、俺達が探している者だ。

「ーっ」
「りおちゃん」

莉那と賢那が莉音に抱きつく、本当にいつ仲良くなったか賢太と雄太は知らない。

「おきて、りおちゃん」
「おきておきて」

ゆさゆさと双子は莉音を揺さぶる。





「んっうーんん」
「おはよ」
「おはよう」

莉那と賢那が抱き付きながらいう、俺は双子を支えながら、辺りを見渡す。

「……」
「お前、部屋に引きこもりってあり得ねー」

雄太は不貞腐れた様にいい放つ、そりゃ誰でも怒るだろう、この部屋は汚い。
汚いというか紙で部屋が埋もれている。

「掃除する前に飯食べに降りてこいよ」

賢太は双子を抱き上げて部屋から出ていく。

学園に着くまで、イヤホンで曲を聞く。

この道を選んでひたすら突っ走ったよ
でも、苦しいの
これを越えた向こうには新たな未知が待っている
そう、苦しいの

泣きそうになるが勇気を貰えるそんな曲を朝は聞きたくなる。
元気な曲でテンションをあげたい時もあるが、今回はこれを聞く。

「おはよう」
「あっ、おはようーっ」

溪村丞と名嘉山佑美がバカリッと抱きついてくる、校門まで車で送り迎えは当たり前のこの学園で一緒になり確率は低い。

「莉音アマス聞いてるの」
「勿論……そういう丞もアマス聞いてる」

そう丞の耳元にはイヤホンが掛けられている。

「勿論だよ、アマスのライブに備えないと」
「だよね、今回は新曲ありそうだしなにより10年記念だしね」

僕と丞はアマスの話で盛り上がる、こういう時は佑美は僕達の会話に入ってこないんだけれど、僕の目の前では佑美が読んでいる雑誌に目が行っとしまう。





「み、見るよ」

声優としてはサンプルは出ないが、作者としてサンプルが届くんだよね。
どんな地獄なんだろうね、羞恥心だらけのプレーだよねある意味。

「あっ、アマスが歌っているんだよね主題歌」
「OPはアマス、EDは森川展男役の賢太先輩に
森川勝平役の雄太先輩が歌っているんだよね」

長男の青那賢太さんは芸名が若林來夢そして次男の青那雄太さんは芸名が若林檸檬、この学園の在校生や卒業生はみな知っているから先輩と言うみたい。
まだ雄太さんは在学中だしね。

「楽しみだよね」
「うん、うん早く発売して欲しいね」

ダンロードもいいけれど、やっぱりＣＤで聞きたいよね。
僕はＣＤ派だなぁ、なんかやっぱり違うんだよねＣＤとスマホの中にあるのは。
そう思わない、人の温もりとか感じられないんだよね、重みがないからかなぁ。
特に小説や漫画、書籍は紙で見たいんだ、紙を一枚一枚ペラペラッと捲る音や印刷の刷れ具合とか何より本の香りとか好きなんだよね。