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第2章
丸出芭歌という人物
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神官はまるで言葉を選んでいるかのように、少々時間が過ぎてやっと話しだした。転生者を選ぶ係に選ばれていた神官は、あの第三次転生会議で勇敢でそこそこ強いという理由で丸出芭歌を選んだらしい。
ちょい待て、転生会議とかやってたのになんであんな化け物達を異世界に放ったの? 例えば、かの天界隈で有名な内の1人である『冷城ユウキ』噂で聞いた話によると仲間を人間と思ってないとか、何処かでハーレム築いているとか。聞いてみただけでも黒い。ついでにこいつは能力の変わりに魔剣を持っているらしい。
余計な事を考えてしまった。多分出会う事のない人物なんだし、今は丸出芭歌じゃないか。
「それで魔獣に潰された後に天界に転送されていったわけだ。奴の事は鮮明に覚えておる。最近異世界転生ブームがいろんな世界で起きていたのに、奴は比較的安全な日本を選んだんだからな」
いや多分、アイツは安全思考......だったのかな? 丸出芭歌の思考回路がわからない。神官の話は続く。
「しかも奴は旧名まで捨てた。きっと人生を再スタートしたかったのだろうな。これに関しては一定の理解はある。問題は選んだ名前じゃ。丸出芭歌とかふざけてるじゃろ?」
ああ......神官さんもそう思います? やっぱりすんなりと受け入れていたアイツらがおかしかったんだ。
「珍妙な行動に目を瞑れば奴は真面目で正義の心の持ち主じゃったなぁ......そういやお前さんには丸出芭歌に対しての任務を与えて、ここにいるという事は遂行したはず......丸出芭歌は死んだのに今更どうしたのじゃ?」
この発言の後、神官の雰囲気が変わった気がした......この話はタブーだったのか? それだったらベラベラ喋りすぎじゃね?
「アハハ......ありがとうございました。すみませんね急に押しかけてね......」
神官さんの目が怖い......初対面から感じてる事なんだけど、この人案外疑い深いなぁ......意外と野心家なんじゃないかと思ったり。そう思いながらも俺は逃げるように神殿を去った。
「後で神官さんが言っていた話を諸星に伝えとかないと......神様に謁見出来るかもとか、近い内にまた異世界に行くかもしれないとか......」
それよりも俺は丸出芭歌の話が頭から離れない。そもそも芭歌は望んで異世界に行ったのだろうか? 芭歌の故郷、ラックスフォードって確か異世界四天王がいる場所。コイツらは天界に乗り込んでくる可能性の高い奴ららしい。
「芭歌......お前はバカ強い奴らがいる世界にいたんだな」
ありがとよ......この世にはもっと強い奴らがいることを教えてくれた。お前はどんな奴だったのかは今もよくわからない。だけど強い意志の持ち主だったことはわかる。いつかお前の住んでいた世界に行きたいな。
これから俺達にはいろんな試練が待ってるだろう。もうクヨクヨしてられんよな! 俺はそんなキャラじゃないはず。俺は芭歌の分まで生きて頑張る。
その前に鳥達が留守番している俺のマイホームに帰りますか!
◇◇◇◇◇
次回に続く
ちょい待て、転生会議とかやってたのになんであんな化け物達を異世界に放ったの? 例えば、かの天界隈で有名な内の1人である『冷城ユウキ』噂で聞いた話によると仲間を人間と思ってないとか、何処かでハーレム築いているとか。聞いてみただけでも黒い。ついでにこいつは能力の変わりに魔剣を持っているらしい。
余計な事を考えてしまった。多分出会う事のない人物なんだし、今は丸出芭歌じゃないか。
「それで魔獣に潰された後に天界に転送されていったわけだ。奴の事は鮮明に覚えておる。最近異世界転生ブームがいろんな世界で起きていたのに、奴は比較的安全な日本を選んだんだからな」
いや多分、アイツは安全思考......だったのかな? 丸出芭歌の思考回路がわからない。神官の話は続く。
「しかも奴は旧名まで捨てた。きっと人生を再スタートしたかったのだろうな。これに関しては一定の理解はある。問題は選んだ名前じゃ。丸出芭歌とかふざけてるじゃろ?」
ああ......神官さんもそう思います? やっぱりすんなりと受け入れていたアイツらがおかしかったんだ。
「珍妙な行動に目を瞑れば奴は真面目で正義の心の持ち主じゃったなぁ......そういやお前さんには丸出芭歌に対しての任務を与えて、ここにいるという事は遂行したはず......丸出芭歌は死んだのに今更どうしたのじゃ?」
この発言の後、神官の雰囲気が変わった気がした......この話はタブーだったのか? それだったらベラベラ喋りすぎじゃね?
「アハハ......ありがとうございました。すみませんね急に押しかけてね......」
神官さんの目が怖い......初対面から感じてる事なんだけど、この人案外疑い深いなぁ......意外と野心家なんじゃないかと思ったり。そう思いながらも俺は逃げるように神殿を去った。
「後で神官さんが言っていた話を諸星に伝えとかないと......神様に謁見出来るかもとか、近い内にまた異世界に行くかもしれないとか......」
それよりも俺は丸出芭歌の話が頭から離れない。そもそも芭歌は望んで異世界に行ったのだろうか? 芭歌の故郷、ラックスフォードって確か異世界四天王がいる場所。コイツらは天界に乗り込んでくる可能性の高い奴ららしい。
「芭歌......お前はバカ強い奴らがいる世界にいたんだな」
ありがとよ......この世にはもっと強い奴らがいることを教えてくれた。お前はどんな奴だったのかは今もよくわからない。だけど強い意志の持ち主だったことはわかる。いつかお前の住んでいた世界に行きたいな。
これから俺達にはいろんな試練が待ってるだろう。もうクヨクヨしてられんよな! 俺はそんなキャラじゃないはず。俺は芭歌の分まで生きて頑張る。
その前に鳥達が留守番している俺のマイホームに帰りますか!
◇◇◇◇◇
次回に続く
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