21 / 29
第1章
18話 バス攻防戦(終の巻)
しおりを挟む
星夜視点
まなかはまだ大技を溜めている。もしもこの一撃を外してしまったら、すでに2発放っているまなかは魔力切れの影響によってその場で倒れてしまうだろう。つまり実質この1発しかチャンスは無い。確実に当てるには奴を拘束しなきゃいけない。
ああ......こんな大事な時に動けなくなっているのがもどかしい。回復魔法のおかげでなんとか立ち上がれるようには一応できるようにはなってるけども......
「すみません。僕達の力じゃこれが限界です......」
「うん。助かったよありがとう」
回復魔法は有能ではない。そもそも使用している側にも大きな負担がかかるし、肉体欠損や大きな傷を治せるような高度な魔法は熟練者である魔法使いしか使えない。星歌はまだ2番目の地位にいる。流石に精霊がいても使いこなすのは無理だろう。
しかし困った。この身体じゃ足手まといになってしまうだろう。どうやって役に立とう......
「ウォォォォ! やっと掴んだぞ!」
「なっ!? お前は誰だ!? まだ潜んでましたか! 離せ!」
「え!? 謎のヒーロー......」
奴の視界をかいくぐって名も知らぬヒーローが奴にしがみついて羽交い締めにする。だがアナライザは得意の手刀で抵抗して拘束を解こうと必死だ! 俺も早くいかないと......クソ! 身体が言う事を聞かない! 諸星は倒れ、くるとくんは片腕を失っている。ヒーローもどこまで持つかわからない。俺の身体よ動け! ここで動かなくちゃいつ動く!
俺は木から降りるのを失敗して、全身に衝撃が走った。するとボロボロになっている大剣が視界に映り、そして覚悟を決めた。
「タイフーングレートソード! ついでに風の魔法ウィンド! 投げ飛ばし!」
大剣をアナライザの頭めがけて投げ飛ばした。それが魔物の眼に見事命中! 俺は初めて奴に傷を与える事に成功したのだ! 当の魔物は傷を押さえながらもがき苦しがっている。
「頼む! 成功してくれ!」
だが、突如アナライザは最後の抵抗と言わんばかりの大暴れをし始めた。必死に拘束しているヒーローの身体中は真っ赤に染まり、くるとくんも右目が潰された。
「貴様らは生きて帰さん! 全員骨だけにしてやる! その手を離しなさい!」
「もうちょっと......」
「そんなに死にたいようだな......なっ!? なんだこの練り上げられた魔力は!?」
きた......この瞬間を待っていた。まなかの破壊力を見せてやれ!
「フフフ......詠唱に時間がかかりすぎちゃった。仲間を巻き込まないように範囲をできる限り絞っていたの。これが私の実力、今日最後のそして最高の1発だーー!『ジェノサイド•フルメタリウム•インパクト!』」
虹色の極太光線がアナライザーの腹部分をあっという間に貫通した。アナライザは膝をつき、そのあと青っぽい血を吐いて倒れる。奴にはもう立ち上がるだけの力は残ってないはず。みんなは無事か!?
程なくして星歌もフラフラしながら駆け寄ってきた。こうして見るとギリギリの戦いだったんだなぁ......諸星も重病だ。特に両足の骨が折れているのは痛々しい。それよりもっと酷い怪我をしているのがいた。くるとと謎のヒーローだ。
幸いな事にくるとくんは命に別状は無かった。右目が潰れても、右腕が千切れてもなお、くるとくんはアナライザの足止めを成功させ、その後の決定的な一撃をアシストしてくれた。早く回復をしてやりたい。くるとくんは細々な声で喋る。
「この身体じゃ流石にもう戦えないよ。僕は大人しく引退して指導者側に入る。それよりもアイツを治療してください。僕よりも酷い怪我なんです」
目を向けてみると、ヒーローは出血が誰よりも酷かった。生きているのも奇跡なぐらい。
「なぁ......最後に話を聞いてくれないか? 俺の人生は波乱万丈だった。異世界転移とかいうのも経験したしなぁ......」
異世界転移......ターゲットミエールが入った袋を見てみると、そこには眩しいくらいに光っているターゲットミエールがあった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
次回に続く
まなかはまだ大技を溜めている。もしもこの一撃を外してしまったら、すでに2発放っているまなかは魔力切れの影響によってその場で倒れてしまうだろう。つまり実質この1発しかチャンスは無い。確実に当てるには奴を拘束しなきゃいけない。
ああ......こんな大事な時に動けなくなっているのがもどかしい。回復魔法のおかげでなんとか立ち上がれるようには一応できるようにはなってるけども......
「すみません。僕達の力じゃこれが限界です......」
「うん。助かったよありがとう」
回復魔法は有能ではない。そもそも使用している側にも大きな負担がかかるし、肉体欠損や大きな傷を治せるような高度な魔法は熟練者である魔法使いしか使えない。星歌はまだ2番目の地位にいる。流石に精霊がいても使いこなすのは無理だろう。
しかし困った。この身体じゃ足手まといになってしまうだろう。どうやって役に立とう......
「ウォォォォ! やっと掴んだぞ!」
「なっ!? お前は誰だ!? まだ潜んでましたか! 離せ!」
「え!? 謎のヒーロー......」
奴の視界をかいくぐって名も知らぬヒーローが奴にしがみついて羽交い締めにする。だがアナライザは得意の手刀で抵抗して拘束を解こうと必死だ! 俺も早くいかないと......クソ! 身体が言う事を聞かない! 諸星は倒れ、くるとくんは片腕を失っている。ヒーローもどこまで持つかわからない。俺の身体よ動け! ここで動かなくちゃいつ動く!
俺は木から降りるのを失敗して、全身に衝撃が走った。するとボロボロになっている大剣が視界に映り、そして覚悟を決めた。
「タイフーングレートソード! ついでに風の魔法ウィンド! 投げ飛ばし!」
大剣をアナライザの頭めがけて投げ飛ばした。それが魔物の眼に見事命中! 俺は初めて奴に傷を与える事に成功したのだ! 当の魔物は傷を押さえながらもがき苦しがっている。
「頼む! 成功してくれ!」
だが、突如アナライザは最後の抵抗と言わんばかりの大暴れをし始めた。必死に拘束しているヒーローの身体中は真っ赤に染まり、くるとくんも右目が潰された。
「貴様らは生きて帰さん! 全員骨だけにしてやる! その手を離しなさい!」
「もうちょっと......」
「そんなに死にたいようだな......なっ!? なんだこの練り上げられた魔力は!?」
きた......この瞬間を待っていた。まなかの破壊力を見せてやれ!
「フフフ......詠唱に時間がかかりすぎちゃった。仲間を巻き込まないように範囲をできる限り絞っていたの。これが私の実力、今日最後のそして最高の1発だーー!『ジェノサイド•フルメタリウム•インパクト!』」
虹色の極太光線がアナライザーの腹部分をあっという間に貫通した。アナライザは膝をつき、そのあと青っぽい血を吐いて倒れる。奴にはもう立ち上がるだけの力は残ってないはず。みんなは無事か!?
程なくして星歌もフラフラしながら駆け寄ってきた。こうして見るとギリギリの戦いだったんだなぁ......諸星も重病だ。特に両足の骨が折れているのは痛々しい。それよりもっと酷い怪我をしているのがいた。くるとと謎のヒーローだ。
幸いな事にくるとくんは命に別状は無かった。右目が潰れても、右腕が千切れてもなお、くるとくんはアナライザの足止めを成功させ、その後の決定的な一撃をアシストしてくれた。早く回復をしてやりたい。くるとくんは細々な声で喋る。
「この身体じゃ流石にもう戦えないよ。僕は大人しく引退して指導者側に入る。それよりもアイツを治療してください。僕よりも酷い怪我なんです」
目を向けてみると、ヒーローは出血が誰よりも酷かった。生きているのも奇跡なぐらい。
「なぁ......最後に話を聞いてくれないか? 俺の人生は波乱万丈だった。異世界転移とかいうのも経験したしなぁ......」
異世界転移......ターゲットミエールが入った袋を見てみると、そこには眩しいくらいに光っているターゲットミエールがあった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
次回に続く
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる