星の子星夜と異世界チート能力者

まちゃかり

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第1章

バス攻防戦(くるとくん必死の抵抗の巻)

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くると視点


       ◇◇◇◇◇◇


 僕は強さでしか存在を発揮できない悲しい生命体。だから僕は天界の大会に参加して実績を積んでいった。だけど何かが欠けていたんだ。それを見つけるためにあの人の旅に付き合おうと思ったんだ。その人の名前はあの頃イキリ散らしていた僕の顔に泥をかけた人......

「暗黒舞踏奏々!」
「あれは......くるとくんの奥の手......舞いながら自身の身体的な能力を全て解放する。これされると俺如きでは全然歯が立たないレベルになる。頼んだぞ最強の力でアイツをねじ伏せてくれ!」

 旅は有意義な時間を与えてくれたな。楽しかったよ......

「なっ、動きがまるで別人みたいに!?」

 やっぱり硬いな。僕の11連撃エアスラッシュを悠々と受けきっている。なら重い一撃で叩き切るのみ。

 片剣を口に咥えつつ、奴の身体を一刀両断にするための最適解を考える。この間にも緑の奴が近づいて来る。そう来るのなら、ギリギリまで奴を引きつけて切りにいく。

 全力の一撃は刃が奴の腕に直撃。

「何かしたか? 逆に刃こぼれしてますが、大丈夫かい?」

 渾身の一撃で傷一つ付けれないとは......面白くなってきたな。こんなに心が高揚しだしたのは初めての経験だ。絶対的な相手を前にして僕は楽しんでいるのかな?

 奴の攻勢を右に左に避けながら考えることじゃないな。今は現状打破の糸口を見つけよう。これは......どうだ。

「音速刺突!」

 遠くにいたのも関係したのか、間一髪で避けられてしまった。だけどこれなら奴の装甲を貫けるかもしれない。

 とりあえず間合いを取って出方を伺ってみる。隙ができたらもう一回やろう。

 すると急に時間がゆっくりに見えた。緑の奴の腕が急激に伸びてきて......

「調子に乗るなよ......私の魚雷粉砕を食らいなさい!」

「くると危ない!」
「......!?」

 あの緑の奴に右腕をもってかれた。目にも見えない手刀の一撃で手首を......目測を誤った。まさか奴の腕が伸びてくるとは。

 いやまだ両足と左腕が残ってるし、僕は元々二刀流。片腕が無くなった所で隊長の足手まといにはならない。それに今ここで役に立てないと戦士の面目丸潰れだ。

「エアスラッシュ(裏)!」
「ハッハッハ! まるで効きませんね! 人体解体ショーの始まりだ!」

 空気をも切り裂く長期持続の斬撃だけど、やはり無効化されてしまう。

 さっきよりも回転を加えて放った一撃なのに......あのキメラ小僧は避ける素振りもしなかった。もっと強烈な一発を叩き出さないと傷すらつけられない。でもどうすれば......

「あらゆる事象よ、世界を滅ぼす力を......」

 副隊長の家破壊の女から相当なパワーを感じる。これが当たればあの緑虫を貫けるかも。ならやる事は一つしかないだろう。

「隊長! 今から僕はあの虫やろうの足止めをします! 隊長はそのサポートをしてください!」
「お前......はっ!? まなかっち......分かった。お前は奴の背後に回って、機会があれば動きを止めてくれ。俺様はアイツの気を引くから。頼んだぞ」

 任されたけど僕は血を流しすぎた。これじゃ僕の命は今日で尽きてしまうかもしれない。でも僕の命はみんなを守るために、戦うためにある。それをあの人に教えてもらったから、僕は最後まで戦い抜く!

「おい、そこのお前! 傷が酷いぞ。こっちに来い。止血してやるから」
「貴方は謎のヒーロー」

 そうだ。この人にも協力してもらおう。流石に片腕失っていては、自分1人であの虫けらを止めることは困難だから。てなわけで話を持ちかけてみた。


      ◇◇◇◇◇◇◇


「なるほどな。あの女に賭けようってのか。だがそれしか方法はないだろうな。けど、そうこうしているうちにあの女が暴発しそうなぐらい力を溜めているのだが? さっさと動きを止めないとまずいだろ」

 ほうほう。もってあと5分か。これ以上溜めると身体が爆発するだろう。

「そうですね......早くしないと。幸いな事に隊長が隙を作ってくれてます。虫太郎の背後にせまって羽交い締めしましょう」

 だが、客観的に見てもこの身体じゃ厳しいものがある。するとやけに顔面蒼白なヒーローがガタガタな身体で立ち上がり、そしてこう言った。

「俺がやろう!」
「え? 何を?」
「足止めに決まってるだろ!」
「え? 足ガタガタボーイが?」
「なんだそのあだ名は!? さては俺を舐めているな? よーし、行くぞ!」

 そう言って飛び出していった。僕は僕で作戦をあの女(名前忘れた)に伝えないと思い、僕も別方向に飛び出した。

 いざ近づいてみると凄い迫力だ。僕は女に作戦を伝えると、本人は無言で頷いていた。多分これで意思疎通は大丈夫でしょう。

 それではこの戦いをサクッと終わらせようか!

◇◇◇◇◇◇◇◇
終の巻に続く
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