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第1章
異世界に入ってからの初めての戦いはまだ先になりそう
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「美味すぎて昇天しかけたぜ」
まさか天界と同等以上の料理を堪能できるなんて思ってもいなかった。まなかも満足そうだ。諸星達も食べればよかったのに、もったいないことしたなぁ。
そんな事を思っていたらいきなりまなかが、2つの谷間を揺らしながら、ギガインパクトを取り出し、俺の目の前まで急接近した後、こう囁いた。
「ちょっと静かにして星夜。あっちの部屋から人間じゃない何かの気配を感じるの」
「なんだと......人間じゃない気配って何さ。もしかして、最近天界で度々出てきていた魔物か?」
鼻血がでかけた......じゃない! てかおかしいな? あの魔物というのは下界の怨念が具現化して現れる特徴があるはず......
「わかんない。だけど、得体の知れない生物が近くに行くことは確かよ。星夜も身構えといて」
「よし、分かった」
俺は大剣を手に取り、まなかが指差す方向に攻撃の照準を定めた。まなかは意外とこういう所です感のいい所がある。俺達は魔物の戦いでも幾度となく助けられてきたんだ。
「星夜! ふすまが開く! 久しぶりの戦いが始まるよ!」
......ちょっと待てよ? 得体の知れない生物とまなかが言っていたが、それにしても気配が読めなさすぎだし、俺達を狙っているなら相手から闘気を感じ取れるはずだ。だけど、今は全く感じ取れない。おかしいぞ、これはなんだ?
「食らえーー! ファーストイン......」
「......え? いやいや待って!? 何事?」
「くるとくーーん!」
ふすまが開いたら、そこにはくるとくんがいて、その遥か後ろに星歌と何か小さな人みたいなのが肩にちょこんと座っている。星歌が気になるけど、そんなことよりくるとくんの命が危ない!
「パクトーー!」
「プギャッ!?」
「えーー!? いきなりまなかさんが暴走した!? 詠唱が間に合わない!」
「クソーー間に合えーー!」
まなかの攻撃を間一髪で助け出し、俺の家を壊すほどの攻撃力を持つまなかの光線は、星歌の横を突っ切り、そのまま空の向こうに飛んでいった。
「なぁまなか......これからは建物内でこんなのぶっ放すのやめような......」
「え? このインパクトが無いとか弱い女子に成り下がるんだけど......」
うるさい危険すぎるんじゃ! それにこの破壊光線をブッパできるのは2日に3回程度だろ。自重してくれ。
◇◇◇
「つまり、このちっこい生物が精霊だったりするのか」
生命の危機を感じたなどいろいろあったが、精神的に落ち着いた俺は星歌にその珍妙な生物と言ってもいいのか分からん奴の事を詳しく聞いていた。
「君達は僕の存在をなんとも思わないんですか? 今ここに精霊がいるんですよ?」
だってさ、俺達は一応天界出身なんだよね。天界って摩訶不思議な現象が度々起きるし、鳥が喋る所やもん。もうこの程度で今更驚きはしない......いや1人を除いてだがな......
「くるとくんーー! いっつもお疲れ様です!」
「はぁ......先輩、もう慣れてきてるからお気遣いなく」
「なんでまなかっちはこの子を見た途端、泡をブクブク吹いて倒れたのかな? 私も最初は驚いたけど、そこまではなかったよね」
はい、みんなが思っている事を代弁するけど、単純にまなかが精霊を見て倒れました、はい。それで、まなかをくるとくんが介抱している感じ。
「ごめんな、くるとくん。俺がこのパーティーに誘ったばっかりに、こんな器用貧乏な役割ばかりさせてすまないと思ってる」
くるとくんは、諸星と一緒にパーティーメンバーを集めていた時に、俺が誘うことになった内の1人なのである。正直、くるとくんを取れたのは奇跡に近い。あの時の自分よ、グッジョブ!
それにしても、星歌ってやっぱり凄い奴なんだな。魔法使いって使い魔を持ってるイメージがあるし、こういうのにはお手の物ってか? もう少し話を掘り下げてみよう。
「まあ......それで、この名無しの精霊ってどうするんだ? 名無しって何かと不便だろ?」
その問いになるほどねと呟く星歌さんと、頭に?マークが出現しているレベルで全く理解していないような精霊の構図が出来上がる。星歌が何か話そうとした瞬間......
「お前らーー! 大変だぁぁぁ......なんだこのボロボロの部屋にまなかが倒れていて、それをくるとんが介抱しているなぁ......なんかネズミみたいな生物もいるしお前らも大概大変だったんだなぁ......」
ああ......なんか凄く気まずい雰囲気やん。
「えっと......お帰り諸星。それでどうしたんだ?」
「そうだったそうだった。お前らに朗報だ! 丸出芭歌の居場所が分かったぞーー!」
諸星はあの光る機械を取り出し、そう言ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
次回に続く
まさか天界と同等以上の料理を堪能できるなんて思ってもいなかった。まなかも満足そうだ。諸星達も食べればよかったのに、もったいないことしたなぁ。
そんな事を思っていたらいきなりまなかが、2つの谷間を揺らしながら、ギガインパクトを取り出し、俺の目の前まで急接近した後、こう囁いた。
「ちょっと静かにして星夜。あっちの部屋から人間じゃない何かの気配を感じるの」
「なんだと......人間じゃない気配って何さ。もしかして、最近天界で度々出てきていた魔物か?」
鼻血がでかけた......じゃない! てかおかしいな? あの魔物というのは下界の怨念が具現化して現れる特徴があるはず......
「わかんない。だけど、得体の知れない生物が近くに行くことは確かよ。星夜も身構えといて」
「よし、分かった」
俺は大剣を手に取り、まなかが指差す方向に攻撃の照準を定めた。まなかは意外とこういう所です感のいい所がある。俺達は魔物の戦いでも幾度となく助けられてきたんだ。
「星夜! ふすまが開く! 久しぶりの戦いが始まるよ!」
......ちょっと待てよ? 得体の知れない生物とまなかが言っていたが、それにしても気配が読めなさすぎだし、俺達を狙っているなら相手から闘気を感じ取れるはずだ。だけど、今は全く感じ取れない。おかしいぞ、これはなんだ?
「食らえーー! ファーストイン......」
「......え? いやいや待って!? 何事?」
「くるとくーーん!」
ふすまが開いたら、そこにはくるとくんがいて、その遥か後ろに星歌と何か小さな人みたいなのが肩にちょこんと座っている。星歌が気になるけど、そんなことよりくるとくんの命が危ない!
「パクトーー!」
「プギャッ!?」
「えーー!? いきなりまなかさんが暴走した!? 詠唱が間に合わない!」
「クソーー間に合えーー!」
まなかの攻撃を間一髪で助け出し、俺の家を壊すほどの攻撃力を持つまなかの光線は、星歌の横を突っ切り、そのまま空の向こうに飛んでいった。
「なぁまなか......これからは建物内でこんなのぶっ放すのやめような......」
「え? このインパクトが無いとか弱い女子に成り下がるんだけど......」
うるさい危険すぎるんじゃ! それにこの破壊光線をブッパできるのは2日に3回程度だろ。自重してくれ。
◇◇◇
「つまり、このちっこい生物が精霊だったりするのか」
生命の危機を感じたなどいろいろあったが、精神的に落ち着いた俺は星歌にその珍妙な生物と言ってもいいのか分からん奴の事を詳しく聞いていた。
「君達は僕の存在をなんとも思わないんですか? 今ここに精霊がいるんですよ?」
だってさ、俺達は一応天界出身なんだよね。天界って摩訶不思議な現象が度々起きるし、鳥が喋る所やもん。もうこの程度で今更驚きはしない......いや1人を除いてだがな......
「くるとくんーー! いっつもお疲れ様です!」
「はぁ......先輩、もう慣れてきてるからお気遣いなく」
「なんでまなかっちはこの子を見た途端、泡をブクブク吹いて倒れたのかな? 私も最初は驚いたけど、そこまではなかったよね」
はい、みんなが思っている事を代弁するけど、単純にまなかが精霊を見て倒れました、はい。それで、まなかをくるとくんが介抱している感じ。
「ごめんな、くるとくん。俺がこのパーティーに誘ったばっかりに、こんな器用貧乏な役割ばかりさせてすまないと思ってる」
くるとくんは、諸星と一緒にパーティーメンバーを集めていた時に、俺が誘うことになった内の1人なのである。正直、くるとくんを取れたのは奇跡に近い。あの時の自分よ、グッジョブ!
それにしても、星歌ってやっぱり凄い奴なんだな。魔法使いって使い魔を持ってるイメージがあるし、こういうのにはお手の物ってか? もう少し話を掘り下げてみよう。
「まあ......それで、この名無しの精霊ってどうするんだ? 名無しって何かと不便だろ?」
その問いになるほどねと呟く星歌さんと、頭に?マークが出現しているレベルで全く理解していないような精霊の構図が出来上がる。星歌が何か話そうとした瞬間......
「お前らーー! 大変だぁぁぁ......なんだこのボロボロの部屋にまなかが倒れていて、それをくるとんが介抱しているなぁ......なんかネズミみたいな生物もいるしお前らも大概大変だったんだなぁ......」
ああ......なんか凄く気まずい雰囲気やん。
「えっと......お帰り諸星。それでどうしたんだ?」
「そうだったそうだった。お前らに朗報だ! 丸出芭歌の居場所が分かったぞーー!」
諸星はあの光る機械を取り出し、そう言ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
次回に続く
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