星の子星夜と異世界チート能力者

まちゃかり

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第1章

案外早く終わりそう......?

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 ヤッベ......観光気分になっていてすっかり忘れていたよ。だってこの日本に危険人物がいるなんて想像もつかないもん。

「僕には聞かされていないから教えてほしい。ターゲットは誰なの?」

 くるとくん......君はもう少し休め。わざわざパラダイスに来たってのに、こんな働き詰めじゃ身体が壊れちゃうよ。そうくるとくんに助言しようとしたが、諸星が一歩早く反応。まるでその言葉を待っていたかのようにこう言い放った。

「全身筋肉だけで出来ていそうな化け物神官が少し前に言ってた気がするが、まあいいだろう。ほれ、これが手配書」

 どれどれ......なんか写真からしてアホそうな奴だな。名前は......丸出芭歌。丸出......芭歌......読めねぇ。

「くるとくん! ヘルプ!」
「まるでバカかな?」

 もしかして俺ってバカにされとる? いやバカだと自分で自覚はしているが。

「はいはい。俺はバカですよ。それでいいからコイツの名前を教えてくれ」
「いや、まるでバカがコイツの名前だと思う」

 ......ん? まるでバカが本名? そんなわけないだろう。なんで生涯共に過ごすような関係である名前にわざわざこんな名前にする? しないよね?

「星夜......まるでバカなんだよ。コイツがターゲットの丸出まるで芭歌バカだ」
「なんでだよ!?」

 諸星の指摘に思わずツッコミを入れる俺の図。いや普通そんな反応するでしょ。何をトチ狂ったらこんな名前を自分の名前として使えるんだ? もしかして俺がおかしいんか? なぁ?

「やっぱり世界ってのは凄く広い所なんだろうね。もっと世界を巡っていけばもっと珍しい名前に出会える気がするの」

 星歌さん......? みんな違和感感じてなさそうだし......てことは多分、俺の常識がおかしいんだな。うん。

「そんでこの丸出芭歌という人の詳細だが、コイツの能力は『他人の幸運を吸い取って全て自分の幸運にする』略して幸吸い(こうすい)! ついでに奴は空を自由自在に飛べるらしい」

 そういや、さっき読んだ本に似たような能力があったな。なんだったっけ......? あっ......まさか!?

「まさかコイツってみんなの幸運だけでなく、俺達の寿命も吸い取ってくるのか?」

 諸星が『ちょっと何言ってるかわからない』と言っているような顔をして、すぐにばっさりと否定する。くるとくんも星歌もに同調し、まなかは多分この話自体を聞いていない。星歌は苦笑いしている。あれ? なんか俺、空気ぶち壊す事をやっちまいました?

 諸星は何かを察したかのように話の続きを話をはじめた。

「ゴホン、それで......この丸出芭歌という人物はあまり脅威にはならないらしい。確かに見た目からしてコイツは、天界に乗り込んで暴れ回ったり、神に近い存在になりそうに無いもんな」

 諸星の意見に星歌が続く。

「そうよ。そもそもこの写真の人が危険人物だったら、直ぐにこの日本がチート能力という力で、滅亡に追い込まれているかもだし」

 なるほどねーー。楽な相手なのか。なら、さっさと終わらせて日本で買った物を持ち帰ろう。そういや前に神官さんが、強くないって言ってたな。

 一応コイツが天界の魔物発生の因果に関係しているのかなと思ってみたものの、何もあの異世界人が原因かと言われれば何も言えないわけで。

「よし、コイツの能力はよーく分かった! それで、この芭歌の居る場所は?」

 諸星は少し落ち着けと言ったあと、諸星は俺に近づいて、そのあと微かに光っている変な機械を見せてきた。諸星によると、これはターゲットが半径5キロメートル以内に居ると、機械が光るという品物。名前はターゲットミエール......らしい。1キロ、100メートルになるにつれ、強く光るようになるらしいのだ。ちなみに正確な位置は掴めない模様。

「前もって神官からコイツを5つ分渡されていたが、正直この探知機は精度が良くないのよ。だから何が言いたいかと言うと、正直俺様も何処に居るのかはよく分からん。どうせお前の事だし、さっさと終わらせてこの後日本旅行を楽しもうとしてるんだろうが、それはほぼほぼ無理だと割り切るんだな」

 え? 俺の計画が全て漏洩していた事にまず驚いてはいるが、それを知った上で旅行は無理だと言うんか? 諸星は話を続けている。

「一応言っとくけどここに来た理由はあの異世界人の件だろ? 俺達は旅行に来たわけではない。パーティーメンバーだってそう思ってるはずだ!」
「え? そうなの? ていうかウォォォォ! 凄く美味しそうな料理が並んでる! いただきまーーす!」

 少なくともまなかは旅行気分だろうな......? というかくるとくんと星歌は何処いった? 諸星はというと、なんか呆れ気味のような顔をして、ダンマリしてしまう。俺はこれはいろいろまずいと思い、少し提案してみた。

「諸星。異世界人の相手は楽しい旅行をしながらでも十分こなせるだろ? まぁ今回が初めての任務なんだけども......。時間は少ないかもだから、休み気分で行こう......? そうだ! ついさっき、諸星が好きそうな女の人が歩いていたよ」

 無理矢理話をまとめた感があるが、諸星は女にはめっぽう弱い。さっさと宿を出て街に行ってしまった。隊長がこんな扱いになってるけど、これでよかったのだろうか......?

 そういや日本は日本でもここは何処なんだろう? 俺が街に行った時、いろんな看板がビルに貼ってあった気がする。

「あれ? 星夜ーー! みんな何処行ったの? こんなに料理出されているのに勿体ないムシャムシャ......」

 まなかは美味しそうな料理を美味しそうに食べている。ちょうど腹が減ったし食べましょうかね。

 こうして俺含む2人は、美味しい料理を堪能した。

◇◇◇◇◇◇◇◇
次回に続く
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