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序章
7話目 最初の異世界へ [中] 諸星隊長は救えない
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注 諸星視点
◇◇◇◇◇◇
おかしいなぁ。コイツは多少暴れる時はあるけど、基本的に暴れないし、まとめ役で真面目な奴なんだけどなぁ。酒の匂いがするほど飲んでるって、昨日なんかあったのか?
はっ! もしかして俺が居ない間に、夜のナイトパーティーを開催したのか!? だとしたら星夜がぶっ倒れるまで酒を飲んでいるのにも説明がつく。そうだったのか......許さんぞーー! この古くからの幼なじみである諸星様を差し置いて夜の行いをするとはぁぁぁ!
「隊長。どうしたんですか? こんなに顔を赤くして? もしかして隊長も風邪なんですか?」
うるせえ! ボンボンのお坊ちゃんには関係ない話なの! 余計なお世話じゃい!
「隊長。なんで星夜さんがこんなに潰れるまで酒を飲んでいたのでしょうか?」
ウォォォ! 女の子に話しかけられた......いや、歌ちゃーーんに話かけられたんだ。やべ、話聞いてなかった......
俺は慌てて歌うたちゃんの話を聞いたが、俺の中でほとんど結論が出ているのを聞いてきているだけだった。だが、それをそのまま歌ちゃんに伝えるわけにはいかないだろう。だって、星夜が昨日夜の営みをやってる疑惑だぞ。それを伝えてどうするんだ? もう適当に話を返すか。
「......そうだ! 多分星夜はこのパーティーについて悩んでたんだよきっとね......」
「私達の事を......」
なんで歌ちゃんも顔が赤くなったの? まさか!? いやないか......星夜に限ってな......
そんな事を話しながら星夜を別室に運び、雑に置いていく。あと、星夜には状況確認できるように置き手紙も横に置いといた。後で目が覚めたらいろいろ問いただしてやるからな、覚悟しろよ!
そんなわけで星夜を部屋に置いていき、神官がいる場所に戻ってみると、まるでハリセンボンのように頬と胸を膨らましているまなかちゃんと、鼻から水風船が出来ながらスヤスヤと寝ている神官がいた。
そういえば大事な話をしている途中だったな。星夜の暴走なのですっかり忘れてたわ。
って? ンンッ!? なんか寝息を立てて寝ている神官がまるでゴツいデーモンみたいな身体になってる!? 俺の記憶が確かだったら、少なくともこんな魔物みたいな身体をしてなかったはずだが.......いや待てよ。確か初めて会った時、神官は分厚い鎧を着ていたから、初見では分からなかっただけで元々は筋肉ゴリラだったのか? やばい、どうでもいいことで頭が混乱してきた。誰も興味ないだろ。神官の身体なんて......。
「おい......せ、星歌さんよ。神官に何かした? 例えば筋肉バカになれる魔法とかさ?」
神官をこんな化け物にできる奴は、この空間の中で歌ちゃんしかいない。
「なんの話でしょうか......?」
歌ちゃんはまるでとぼけているように呟く。なんか頭の上に?マークがついてるな。多分歌ちゃんの魔法でこうなっては無いのか?
「おーー悪いのーー。ワシが喋る機会を全て名前に星がつく人に奪われて、おまけに無視されたのでな。すっかり寝てしまったわーー」
あっ、全身筋肉の鎧を着ている神官が大きな欠伸をしながらムックリと起きた。俺だって毎日訓練を欠かさずやってるけど、こんな筋肉になったことが無い。誰が見ても明らかに異常だよな。
「ねぇ、みんな。私ってここに存在してるのかな。さっきから反応が全くないんだけど」
おっと!? このパーティーの隊長のくせにまなかの存在をすっかり忘れていた。ていうか相変わらず触りたくなるような胸をしやがって最高かよ!
「おう。ちょっと胸を......」
「セクハラ警察だ!」
くるとお坊ちゃん、双剣を振り回して妨害してくるんじゃねぇ! 今から俺は大人の階段を一歩進むんだ! セクハラ上等!
「おーーい! お主ら本題忘れてないか?」
「ちょいちょい!? 諸星、マジで何をする気だったの!?」
まなかちゃんは顔を赤らめながら、鼻血が出るほどの強烈な蹴りを俺の顔面に蹴り上げる。オフッ......ありがとうございます! くると坊ちゃんは衝撃の余波をモロに受けたのか腰を思いっきり抜かし、歌ちゃんはただただ困惑してウロウロとしていたね。グチャグチャだ。
「人の話を聞かんかバカ共が! お主ら仲良しか!」
どでかい罵声を聞き振り返ってみると、まるでこの天界で筋肉無双してそうな神官が、鬼神のようなオーラを漂わせながらもの凄い形相で怒っていたーー!? ヤバイ、ある意味酔っ払いの星夜よりも怖いぞ!
そんな事をしていたら一向に話が進まないと、俺は頭を冷静にした後にそう思い、慌てて(星夜除く)みんなを神官のもとに集め、しばらく様子を伺っていると、神官の方から話が始まった。
「あのなぁ......お主らは何しにここにきたんじゃ? 集めたのはワシだけども......大事な日の前日に酒飲んで倒れるやら、そもそもここに来るまでが長いやら、この女おなごは男達を誘惑するような胸をしやがってまったく」
こんな長くなりそうな神官主催のお小言大会が開幕してしまった。できれば神官が言おうとしていたその異世界の本題に入ってくれたら嬉しかったんだがな。ぐぬぬ、これが自業自得ってやつか......
「嫌だーー! ここに来て叱られるなんて聞いてないわよ! ふざけるのも大概にしてよーー!」
トラウマが呼び起こされたのかは知らないが、まなかが無謀にも神官に特攻を仕掛けていき、そして玉砕していった。軽く一捻りされたのは衝撃的だったな。
そんなわけで地獄の始まりは、割と唐突に始まったのであった。
◇◇◇◇◇
次回に続く
◇◇◇◇◇◇
おかしいなぁ。コイツは多少暴れる時はあるけど、基本的に暴れないし、まとめ役で真面目な奴なんだけどなぁ。酒の匂いがするほど飲んでるって、昨日なんかあったのか?
はっ! もしかして俺が居ない間に、夜のナイトパーティーを開催したのか!? だとしたら星夜がぶっ倒れるまで酒を飲んでいるのにも説明がつく。そうだったのか......許さんぞーー! この古くからの幼なじみである諸星様を差し置いて夜の行いをするとはぁぁぁ!
「隊長。どうしたんですか? こんなに顔を赤くして? もしかして隊長も風邪なんですか?」
うるせえ! ボンボンのお坊ちゃんには関係ない話なの! 余計なお世話じゃい!
「隊長。なんで星夜さんがこんなに潰れるまで酒を飲んでいたのでしょうか?」
ウォォォ! 女の子に話しかけられた......いや、歌ちゃーーんに話かけられたんだ。やべ、話聞いてなかった......
俺は慌てて歌うたちゃんの話を聞いたが、俺の中でほとんど結論が出ているのを聞いてきているだけだった。だが、それをそのまま歌ちゃんに伝えるわけにはいかないだろう。だって、星夜が昨日夜の営みをやってる疑惑だぞ。それを伝えてどうするんだ? もう適当に話を返すか。
「......そうだ! 多分星夜はこのパーティーについて悩んでたんだよきっとね......」
「私達の事を......」
なんで歌ちゃんも顔が赤くなったの? まさか!? いやないか......星夜に限ってな......
そんな事を話しながら星夜を別室に運び、雑に置いていく。あと、星夜には状況確認できるように置き手紙も横に置いといた。後で目が覚めたらいろいろ問いただしてやるからな、覚悟しろよ!
そんなわけで星夜を部屋に置いていき、神官がいる場所に戻ってみると、まるでハリセンボンのように頬と胸を膨らましているまなかちゃんと、鼻から水風船が出来ながらスヤスヤと寝ている神官がいた。
そういえば大事な話をしている途中だったな。星夜の暴走なのですっかり忘れてたわ。
って? ンンッ!? なんか寝息を立てて寝ている神官がまるでゴツいデーモンみたいな身体になってる!? 俺の記憶が確かだったら、少なくともこんな魔物みたいな身体をしてなかったはずだが.......いや待てよ。確か初めて会った時、神官は分厚い鎧を着ていたから、初見では分からなかっただけで元々は筋肉ゴリラだったのか? やばい、どうでもいいことで頭が混乱してきた。誰も興味ないだろ。神官の身体なんて......。
「おい......せ、星歌さんよ。神官に何かした? 例えば筋肉バカになれる魔法とかさ?」
神官をこんな化け物にできる奴は、この空間の中で歌ちゃんしかいない。
「なんの話でしょうか......?」
歌ちゃんはまるでとぼけているように呟く。なんか頭の上に?マークがついてるな。多分歌ちゃんの魔法でこうなっては無いのか?
「おーー悪いのーー。ワシが喋る機会を全て名前に星がつく人に奪われて、おまけに無視されたのでな。すっかり寝てしまったわーー」
あっ、全身筋肉の鎧を着ている神官が大きな欠伸をしながらムックリと起きた。俺だって毎日訓練を欠かさずやってるけど、こんな筋肉になったことが無い。誰が見ても明らかに異常だよな。
「ねぇ、みんな。私ってここに存在してるのかな。さっきから反応が全くないんだけど」
おっと!? このパーティーの隊長のくせにまなかの存在をすっかり忘れていた。ていうか相変わらず触りたくなるような胸をしやがって最高かよ!
「おう。ちょっと胸を......」
「セクハラ警察だ!」
くるとお坊ちゃん、双剣を振り回して妨害してくるんじゃねぇ! 今から俺は大人の階段を一歩進むんだ! セクハラ上等!
「おーーい! お主ら本題忘れてないか?」
「ちょいちょい!? 諸星、マジで何をする気だったの!?」
まなかちゃんは顔を赤らめながら、鼻血が出るほどの強烈な蹴りを俺の顔面に蹴り上げる。オフッ......ありがとうございます! くると坊ちゃんは衝撃の余波をモロに受けたのか腰を思いっきり抜かし、歌ちゃんはただただ困惑してウロウロとしていたね。グチャグチャだ。
「人の話を聞かんかバカ共が! お主ら仲良しか!」
どでかい罵声を聞き振り返ってみると、まるでこの天界で筋肉無双してそうな神官が、鬼神のようなオーラを漂わせながらもの凄い形相で怒っていたーー!? ヤバイ、ある意味酔っ払いの星夜よりも怖いぞ!
そんな事をしていたら一向に話が進まないと、俺は頭を冷静にした後にそう思い、慌てて(星夜除く)みんなを神官のもとに集め、しばらく様子を伺っていると、神官の方から話が始まった。
「あのなぁ......お主らは何しにここにきたんじゃ? 集めたのはワシだけども......大事な日の前日に酒飲んで倒れるやら、そもそもここに来るまでが長いやら、この女おなごは男達を誘惑するような胸をしやがってまったく」
こんな長くなりそうな神官主催のお小言大会が開幕してしまった。できれば神官が言おうとしていたその異世界の本題に入ってくれたら嬉しかったんだがな。ぐぬぬ、これが自業自得ってやつか......
「嫌だーー! ここに来て叱られるなんて聞いてないわよ! ふざけるのも大概にしてよーー!」
トラウマが呼び起こされたのかは知らないが、まなかが無謀にも神官に特攻を仕掛けていき、そして玉砕していった。軽く一捻りされたのは衝撃的だったな。
そんなわけで地獄の始まりは、割と唐突に始まったのであった。
◇◇◇◇◇
次回に続く
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