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序章
5話目 昔からの友人
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[ピンポーン]
玄関のアラーム音? まさか、この夢に出てきた名も無きおっさんがこの家まで押しかけてきたのか!? 俺は恐る恐る玄関の扉を開ける......
「ヘイヘーーイ! 今日はストリートナイト! 久しぶりだね、星彦ほしひこ! 相変わらず厳しそうな顔をしているね!」
そこには猫みたいな動物が描かれている帽子をかぶっていて、髪は少し短めのセミショートヘアーの陽気そうな女の子が、玄関の前で俺の家に付いてるインターホンを鳴らし続けていた。
「お、お前は......誰だ?」
女の子は盛大にズッコケ、半ベソをかきながら話し始めた。
「酷いよ星彦! もしかして僕のこと忘れちゃった? 僕だよ僕々、アリス•リムリック、つまりアリスだよ!」
あーー思い出した。コイツは夢に出てきたオッさんなんかじゃない。古くからの友人アリスじゃないか! あのゴリラ騒動以来会ってなかったよな! ちなみに星彦というのは昔の俺のあだ名だ。このあだ名はある日アリスにそう呼ばれるようになった。
「どうしたの? まだ夜も明けてないのに。とにかく入って」
俺は慌てて家に上がらせる。こんな夜中に起きててよかった。今日俺が不快な夢を見ない代わりに、深い眠りについていたらアリスが来ているのを気付けない可能性もあっただろうから。
「お邪魔しまーーす! あれ? なんか、家がボロボロになってるけど何かあった?」
なんでこんなになってるかって? クソビッチのギガインパクトをモロに食らった。ただそれだけだ!
アリスの問いには結局答えず、俺は早々に話を変えていく。
「そんで、どうしてこんな夜遅くに? しかも最近会ってなかったのに、どうしたの?」
アリスは少しの間考えてる素振りをして、こんな返しが返ってきた。『話相手になってほしい」と。
俺はアリスの目的が分からなかった。でも友人の頼みだし、断る理由も無い。こうして、夜の晩酌会が始まった。とは言ったものの、俺はまだ十七歳だ。十八歳になったら飲めるんだけどな。来年に期待っと。
「ありがとう。こんな夜にいきなり訪問してもさ、僕を受け入れてくれるなんてね。君は昔から心が広かったよね。尊敬するよ」
「当たり前だろ。こんな寒い夜に外に出てるのがおかしいから」
そんなこんなでアリスの1人語りが始まった。いつのまにかアリスのペースに乗せられていたのかな? 俺は酒の代わりに水を飲みながら一応聞いていた。
どうやらアリスは俺達とは別に魔物討伐をする仕事に選ばれたらしい。神官に対する愚痴を、まるで泉がブクブク湧いてくるように喋ってたなぁ。多分アリスも神官さんを通じて聞いたのかな?
そんで、それがどうしたんだろう? 少なくともそんなことでわざわざ夜中に話に来なくていいと思うんだが? そういえばアリスは昔から不思議な子だったなーー。アリスの考えてることが分からないって言うかね。
「それで聞きたいんだけど星彦はどう思う?」
少し昔の思い出を振り返っていると、突然アリスから問いが来たので、適当に相槌を打つ。
「ねぇ! 聞いてる? 星彦は昔からこういう所あるよね。人の話をよく聞かないことさ」
あれ? いつのまにか話が進んでらっしゃる? 酒に完全に酔ってるのと、夜中で眠いのと、昔の思い出巡りをしてたから聞いてなかったわ。そんでコイツの目的はなんだ?
改めてアリスに話を聞いてみると『もういい! この話はやめた! 本来これが目的じゃないし。やっぱり帰るよ。じゃあね』と言われ本来の目的を聞けず仕舞いだった。
明日、両者大事な日になるっていうのにこんなに飲んで大丈夫かな、とか一瞬思ったりしたがそんな心配はすぐに消えていく。
◇◇
小鳥のさざめきを聞いて俺はフラフラと立ち上がった。どうやらその後俺たちは朝方まで飲んでいたようだ。でもアリスと語りあった時の記憶が全く無い。程なくしてアリスが居ないことに気がついた。まるでそこに居なかったかのように。
なんでこんな夜中にここに来たのか? どうして数ヶ月ぐらい会ってなかったアリスが突然会いに来たのか? 謎は深まりを増すだけだ。
これを考えるのは野暮な事なんだろうと、自分の中で勝手に解決して、また何処かで会ったら聞いてみようとの結論に至る。まあ今日は大事な日だ。寝不足は酷いが遅刻しないと誓い、家を駆け出した。
◇◇◇◇◇
次回に続く
玄関のアラーム音? まさか、この夢に出てきた名も無きおっさんがこの家まで押しかけてきたのか!? 俺は恐る恐る玄関の扉を開ける......
「ヘイヘーーイ! 今日はストリートナイト! 久しぶりだね、星彦ほしひこ! 相変わらず厳しそうな顔をしているね!」
そこには猫みたいな動物が描かれている帽子をかぶっていて、髪は少し短めのセミショートヘアーの陽気そうな女の子が、玄関の前で俺の家に付いてるインターホンを鳴らし続けていた。
「お、お前は......誰だ?」
女の子は盛大にズッコケ、半ベソをかきながら話し始めた。
「酷いよ星彦! もしかして僕のこと忘れちゃった? 僕だよ僕々、アリス•リムリック、つまりアリスだよ!」
あーー思い出した。コイツは夢に出てきたオッさんなんかじゃない。古くからの友人アリスじゃないか! あのゴリラ騒動以来会ってなかったよな! ちなみに星彦というのは昔の俺のあだ名だ。このあだ名はある日アリスにそう呼ばれるようになった。
「どうしたの? まだ夜も明けてないのに。とにかく入って」
俺は慌てて家に上がらせる。こんな夜中に起きててよかった。今日俺が不快な夢を見ない代わりに、深い眠りについていたらアリスが来ているのを気付けない可能性もあっただろうから。
「お邪魔しまーーす! あれ? なんか、家がボロボロになってるけど何かあった?」
なんでこんなになってるかって? クソビッチのギガインパクトをモロに食らった。ただそれだけだ!
アリスの問いには結局答えず、俺は早々に話を変えていく。
「そんで、どうしてこんな夜遅くに? しかも最近会ってなかったのに、どうしたの?」
アリスは少しの間考えてる素振りをして、こんな返しが返ってきた。『話相手になってほしい」と。
俺はアリスの目的が分からなかった。でも友人の頼みだし、断る理由も無い。こうして、夜の晩酌会が始まった。とは言ったものの、俺はまだ十七歳だ。十八歳になったら飲めるんだけどな。来年に期待っと。
「ありがとう。こんな夜にいきなり訪問してもさ、僕を受け入れてくれるなんてね。君は昔から心が広かったよね。尊敬するよ」
「当たり前だろ。こんな寒い夜に外に出てるのがおかしいから」
そんなこんなでアリスの1人語りが始まった。いつのまにかアリスのペースに乗せられていたのかな? 俺は酒の代わりに水を飲みながら一応聞いていた。
どうやらアリスは俺達とは別に魔物討伐をする仕事に選ばれたらしい。神官に対する愚痴を、まるで泉がブクブク湧いてくるように喋ってたなぁ。多分アリスも神官さんを通じて聞いたのかな?
そんで、それがどうしたんだろう? 少なくともそんなことでわざわざ夜中に話に来なくていいと思うんだが? そういえばアリスは昔から不思議な子だったなーー。アリスの考えてることが分からないって言うかね。
「それで聞きたいんだけど星彦はどう思う?」
少し昔の思い出を振り返っていると、突然アリスから問いが来たので、適当に相槌を打つ。
「ねぇ! 聞いてる? 星彦は昔からこういう所あるよね。人の話をよく聞かないことさ」
あれ? いつのまにか話が進んでらっしゃる? 酒に完全に酔ってるのと、夜中で眠いのと、昔の思い出巡りをしてたから聞いてなかったわ。そんでコイツの目的はなんだ?
改めてアリスに話を聞いてみると『もういい! この話はやめた! 本来これが目的じゃないし。やっぱり帰るよ。じゃあね』と言われ本来の目的を聞けず仕舞いだった。
明日、両者大事な日になるっていうのにこんなに飲んで大丈夫かな、とか一瞬思ったりしたがそんな心配はすぐに消えていく。
◇◇
小鳥のさざめきを聞いて俺はフラフラと立ち上がった。どうやらその後俺たちは朝方まで飲んでいたようだ。でもアリスと語りあった時の記憶が全く無い。程なくしてアリスが居ないことに気がついた。まるでそこに居なかったかのように。
なんでこんな夜中にここに来たのか? どうして数ヶ月ぐらい会ってなかったアリスが突然会いに来たのか? 謎は深まりを増すだけだ。
これを考えるのは野暮な事なんだろうと、自分の中で勝手に解決して、また何処かで会ったら聞いてみようとの結論に至る。まあ今日は大事な日だ。寝不足は酷いが遅刻しないと誓い、家を駆け出した。
◇◇◇◇◇
次回に続く
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