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第3章 わらび餅とモリヤミ都市到着編
なんなんだよこの子
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俺はダース。この勇者メンバーの一角を最年長として背負っている者だ。
「湊くんだぁ!」
「梓ちゃん! って、なんで梓ちゃんがここにいる?」
馴れ馴れしいなこの嬢ちゃんは!?
『そういえば疾風丸湊と望月さんは知り合いだったな』とハルトは言っていた。
湊によると望月さんはソロプレイヤーだったらしい。異世界人にしては珍しく国の権力庇護下に入らなかったとかなんとか。
ていうか勇者湊!
人の個人情報よく知ってるねっていうか、そんなに話しちゃっていい情報なの?
結局梓さんの個人情報をベラベラ喋る湊を、梓さんが直接止めるまで情報漏洩は続いたのだった。
「なんなんだよこの子!?」
◇
少しばかりこれからの話をして、俺はというと梓さんを個人的に呼び出していた。
「単調直入に聞くがアンタ、もしや王女の嬢ちゃんに用があって入ったんじゃないじゃないだろうな?」
梓さんは頬杖しながらジュースを飲み干した後、いつもの調子でこんなことを言う。
「それはいい考察だね。なんでそんな考えに至ったか教えてほしいな♪」
「ああ、大分不自然でな。今までソロプレイヤーだったのにどうして今更パーティー傘下に入ったのか。その理由は嬢ちゃんの家の財産狙いか? 嬢ちゃんを人質にするつもりか? まあ俺にとってはどうでもいいが」
俺は斧を手に持ち、梓さんにこう忠告しておいた。
「お前が何を企んでるか知らんが、何か良からぬことをしているのは分かる。何か証拠を見つけたらこの斧で一刀両断するからな」
「やけに王女ちゃん達に思い入れがあるね。貴方達はカンマン王国の勇者パーティーでしょ? 梓ちゃんには理解が出来ないから教えてほしいなぁ~」
梓さんの質問には答えず、代わりにこんなことを言っておく。
「嬢ちゃんやハルトは現在無謀な旅をしているが、なんで成り立ってるか分かるか? パレンラトス王国を舐めるなよ?」
「へ~、意外だね。まさか君はカンマン王国を裏切ってスパイをしてるなんてね」
俺は……いや我々はパレンラトス王国の王様代理の命で陰ながらよつば様の護衛を任されている身。無論勇者様は知る由もしないのだが。
ことの発端の原因はカンマン王国のスパイをしてた際に勇者湊に誘われたのがケチの付け所だった。
そもそも俺はパレンラトス王国の人間。
カンマン王国に恩義など一切無い。
「おっと嬢ちゃん、この会話は内密にな。誰かに話したとしても揉み消す手筈になってるからな」
「そりゃあね。ご丁寧に隣に座ってる人も……そういう人らしいしね。フフ……上手くやらせてもらうわ」
梓さんは席から立ち上がりこう言った。
「ただ、貴方達も気を抜かないことね。私以外にも脅威は沢山居るわ。例えば……自らが世界の中心と歌っている自称天才の凶暴な仲間とか、国王の暗殺部隊とか……ね?」
奢ってもらってありがとねと言った後、梓さんは去っていった。
ハルト……また面倒なことになりそうだぞ……
「湊くんだぁ!」
「梓ちゃん! って、なんで梓ちゃんがここにいる?」
馴れ馴れしいなこの嬢ちゃんは!?
『そういえば疾風丸湊と望月さんは知り合いだったな』とハルトは言っていた。
湊によると望月さんはソロプレイヤーだったらしい。異世界人にしては珍しく国の権力庇護下に入らなかったとかなんとか。
ていうか勇者湊!
人の個人情報よく知ってるねっていうか、そんなに話しちゃっていい情報なの?
結局梓さんの個人情報をベラベラ喋る湊を、梓さんが直接止めるまで情報漏洩は続いたのだった。
「なんなんだよこの子!?」
◇
少しばかりこれからの話をして、俺はというと梓さんを個人的に呼び出していた。
「単調直入に聞くがアンタ、もしや王女の嬢ちゃんに用があって入ったんじゃないじゃないだろうな?」
梓さんは頬杖しながらジュースを飲み干した後、いつもの調子でこんなことを言う。
「それはいい考察だね。なんでそんな考えに至ったか教えてほしいな♪」
「ああ、大分不自然でな。今までソロプレイヤーだったのにどうして今更パーティー傘下に入ったのか。その理由は嬢ちゃんの家の財産狙いか? 嬢ちゃんを人質にするつもりか? まあ俺にとってはどうでもいいが」
俺は斧を手に持ち、梓さんにこう忠告しておいた。
「お前が何を企んでるか知らんが、何か良からぬことをしているのは分かる。何か証拠を見つけたらこの斧で一刀両断するからな」
「やけに王女ちゃん達に思い入れがあるね。貴方達はカンマン王国の勇者パーティーでしょ? 梓ちゃんには理解が出来ないから教えてほしいなぁ~」
梓さんの質問には答えず、代わりにこんなことを言っておく。
「嬢ちゃんやハルトは現在無謀な旅をしているが、なんで成り立ってるか分かるか? パレンラトス王国を舐めるなよ?」
「へ~、意外だね。まさか君はカンマン王国を裏切ってスパイをしてるなんてね」
俺は……いや我々はパレンラトス王国の王様代理の命で陰ながらよつば様の護衛を任されている身。無論勇者様は知る由もしないのだが。
ことの発端の原因はカンマン王国のスパイをしてた際に勇者湊に誘われたのがケチの付け所だった。
そもそも俺はパレンラトス王国の人間。
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「おっと嬢ちゃん、この会話は内密にな。誰かに話したとしても揉み消す手筈になってるからな」
「そりゃあね。ご丁寧に隣に座ってる人も……そういう人らしいしね。フフ……上手くやらせてもらうわ」
梓さんは席から立ち上がりこう言った。
「ただ、貴方達も気を抜かないことね。私以外にも脅威は沢山居るわ。例えば……自らが世界の中心と歌っている自称天才の凶暴な仲間とか、国王の暗殺部隊とか……ね?」
奢ってもらってありがとねと言った後、梓さんは去っていった。
ハルト……また面倒なことになりそうだぞ……
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