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第1章 旅路
1-12 今思うこと
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「まあ簡単にまとめてみると今現在パレンラトス王国とカンマン王国はものすごく仲が悪い。なんなら王家や国民までも犬猿の仲だ」
「そ、そうなんですね。でも国民レベルまでカンマン王国を嫌ってるとか俺は聞いたことがないんですけど」
この質問にダースは国民にとってはものすごくどうでもいいんだろうなと答えてくれた。
湊が言うには今パレンラトス王国とカルマン王国は一旦休戦中らしい。戦争とは言っても戦場で両者睨み合いをしているだけで埒が開かないからこんな形に終わったようだ。
「お前らはこれからこの街を、この国を離れ旅に出るんだろ? これだけは忠告しておく。カルマン王国の兵士がうろうろしてるかも知れないから細心の注意を払って行け。どっち側にも言える事だが、兵士は何をするか分からんからな」
ついでにこれから俺達が向かうモリヤミという場所も簡潔に話してくれた。あっこれはまた長くなるやつだ。
湊の仲間達はやれやれとため息をつきながらいつものことと、割り切ってる雰囲気だ。この長話を彼らは彼らなりに適応しているらしい。
モリヤミはいわば無政府無国家。多種多様な生物が村を成し群れを作っているようで、今覇権を争っている両国に比べても相当平和な場所らしい。弱い魔物や強い魔物、さらに魔王四天王、とてもデカいドラゴンもいるという噂がある。
ドラゴン自体は珍しくはないんだけど、普段見かけるやつよりも相当なデカさのようだ。ついでに言語も話したという記録も残されているという。
「モリヤミは小さな村がいっぱい存在してる。もちろん首都も存在していて案外重要拠点なんだ」
あの街には世界中の荷物が流通しているらしい。いやこの知識はどうでもいいや。
「ありがとう、なんか世界情勢がわかった気がする。ちょっと賢くなった気分だよ」
なんだかんだあったけどいろんな情勢がわかって良かったなと。そして勇気を持って大男の湊に会ってよかった。また疾風丸一味に会う時はモリヤミに着いた時かなぁ。
その後俺はまた会おうと約束を交わし、湊は次は仲間達を連れて会ってこいよと言って祝福してくれた。湊の仲間達にもいろいろ挨拶を交わし、ついにお開きになろうとしていたのだが......
「そういえばお前今ならお仲間さん居ないし1人で帰れるだろ? 1人で気ままに生きたいはずなら俺様はそうする」
「え?」
ちょっと盲点をつかれた感じだ。なんでもう解散する流れだったのにわざわざ俺にこの話を振った?
「いやすまん。なんで故郷に帰りたいくせに行動が伴わないのか気になってしまった。なんなら仲間募集し始めるし」
湊は一度気になったらとことん追求するタイプだとこの交流でなんとなくわかっている。なら話すしか道はないようだ。
そうだなぁ。俺が突然パーティーほっぽりだして無言で帰ったりでもしたら後でみんなに鉄拳制裁喰らうだろうし、それに......
「そうですね。だけど、俺はこの生活は案外悪くないんじゃないかなと思いはじめたんです」
たしかに最初はめんどくさいやら面倒事に巻き込まれたくないやら、正直1人でなんでもできると思ってた節があって、でもみんながいなかったら俺はここに居ないだろうし。今となってはどっちが良かったのかわからない。
だけど今はなんだかんだ楽しいというかこの生活もいいんじゃないかなと思いはじめてしまった。
「旅を辞める機会を失ってしまったのもあるし、まだ俺の中で心残りがあるとかせめて魔王四天王を倒して終わりたいとか、楽しくなってきた以外でもいろんな理由が見つかるんですよね。ただ俺は惰性で旅をしている。だけど目的が無い生活も案外いいのかなって」
もちろんよつばをこのまま旅させる気はさらさら無いし、一国の王女をこのままさせたらダメでしょ。そして倒せるチャンスが来たら魔王も倒しておきたい。これが俺の薄っぺらい流儀だ。
「どうしよう......帰りたい」
ヤバイな。こっちだって早く終わらせたいのに俺のほうが長く話しすぎてしまっている。ごめんねそこの俯いている緑髪の人!
「実を言うともう1人で旅するなんて考えられない。だってアイツらがいるから以上!」
ダースさんが目柱を押さえている。待ってくれ、今そんなに深い話をしたか? ああもうグダグダだよ~。
そんなこんなで完全に解散するタイミングを逃してしまった俺だったのだのだが、さっきからあのポスターを見ていた茶髪ショートのお姉さんが俺が座ってる椅子の隣に座っていきなり話しかけてきのだ。てかこれは......
「お前がこの依頼の主か。お前達の噂や姿形諸々予習してきたが、やっぱり適任だな。ちょっと私に付き合え。紹介したいやつがいるんだ」
あれ? これってもしかして告白......てことは......モテ期来たぁぁぁぁ! この人はついてこいと言っているからますます信憑性が高そうだ! とりあえず湊さんに別れの一言でも言って今すぐにでもこの場を離れよう! そしてこのチャンスを逃してなるものか!
◇
この時ダースは思った。それ多分期待しない方がいいで。言動的にこの人はただの善意で声をかけてるんだなと本能で察知している。
この時湊は思った。このお姉さんもタイプだなと。
この時エレンはまるで皆に見せつけるかの如く湊にイチャイチャしまくっていた。
この時リーズは舌打ちしていた。
◇
「湊さん! いろいろ情報ありがとうございました! 次はあの中立の大地モリヤミという場所で会いましょう! ではさようなら!」
この人達粒揃いだけどなんだかんだ仲良さそうだ。羨ましいな......
「おう! 達者でなぁ」
◇◇◇◇◇
次回に続く
「そ、そうなんですね。でも国民レベルまでカンマン王国を嫌ってるとか俺は聞いたことがないんですけど」
この質問にダースは国民にとってはものすごくどうでもいいんだろうなと答えてくれた。
湊が言うには今パレンラトス王国とカルマン王国は一旦休戦中らしい。戦争とは言っても戦場で両者睨み合いをしているだけで埒が開かないからこんな形に終わったようだ。
「お前らはこれからこの街を、この国を離れ旅に出るんだろ? これだけは忠告しておく。カルマン王国の兵士がうろうろしてるかも知れないから細心の注意を払って行け。どっち側にも言える事だが、兵士は何をするか分からんからな」
ついでにこれから俺達が向かうモリヤミという場所も簡潔に話してくれた。あっこれはまた長くなるやつだ。
湊の仲間達はやれやれとため息をつきながらいつものことと、割り切ってる雰囲気だ。この長話を彼らは彼らなりに適応しているらしい。
モリヤミはいわば無政府無国家。多種多様な生物が村を成し群れを作っているようで、今覇権を争っている両国に比べても相当平和な場所らしい。弱い魔物や強い魔物、さらに魔王四天王、とてもデカいドラゴンもいるという噂がある。
ドラゴン自体は珍しくはないんだけど、普段見かけるやつよりも相当なデカさのようだ。ついでに言語も話したという記録も残されているという。
「モリヤミは小さな村がいっぱい存在してる。もちろん首都も存在していて案外重要拠点なんだ」
あの街には世界中の荷物が流通しているらしい。いやこの知識はどうでもいいや。
「ありがとう、なんか世界情勢がわかった気がする。ちょっと賢くなった気分だよ」
なんだかんだあったけどいろんな情勢がわかって良かったなと。そして勇気を持って大男の湊に会ってよかった。また疾風丸一味に会う時はモリヤミに着いた時かなぁ。
その後俺はまた会おうと約束を交わし、湊は次は仲間達を連れて会ってこいよと言って祝福してくれた。湊の仲間達にもいろいろ挨拶を交わし、ついにお開きになろうとしていたのだが......
「そういえばお前今ならお仲間さん居ないし1人で帰れるだろ? 1人で気ままに生きたいはずなら俺様はそうする」
「え?」
ちょっと盲点をつかれた感じだ。なんでもう解散する流れだったのにわざわざ俺にこの話を振った?
「いやすまん。なんで故郷に帰りたいくせに行動が伴わないのか気になってしまった。なんなら仲間募集し始めるし」
湊は一度気になったらとことん追求するタイプだとこの交流でなんとなくわかっている。なら話すしか道はないようだ。
そうだなぁ。俺が突然パーティーほっぽりだして無言で帰ったりでもしたら後でみんなに鉄拳制裁喰らうだろうし、それに......
「そうですね。だけど、俺はこの生活は案外悪くないんじゃないかなと思いはじめたんです」
たしかに最初はめんどくさいやら面倒事に巻き込まれたくないやら、正直1人でなんでもできると思ってた節があって、でもみんながいなかったら俺はここに居ないだろうし。今となってはどっちが良かったのかわからない。
だけど今はなんだかんだ楽しいというかこの生活もいいんじゃないかなと思いはじめてしまった。
「旅を辞める機会を失ってしまったのもあるし、まだ俺の中で心残りがあるとかせめて魔王四天王を倒して終わりたいとか、楽しくなってきた以外でもいろんな理由が見つかるんですよね。ただ俺は惰性で旅をしている。だけど目的が無い生活も案外いいのかなって」
もちろんよつばをこのまま旅させる気はさらさら無いし、一国の王女をこのままさせたらダメでしょ。そして倒せるチャンスが来たら魔王も倒しておきたい。これが俺の薄っぺらい流儀だ。
「どうしよう......帰りたい」
ヤバイな。こっちだって早く終わらせたいのに俺のほうが長く話しすぎてしまっている。ごめんねそこの俯いている緑髪の人!
「実を言うともう1人で旅するなんて考えられない。だってアイツらがいるから以上!」
ダースさんが目柱を押さえている。待ってくれ、今そんなに深い話をしたか? ああもうグダグダだよ~。
そんなこんなで完全に解散するタイミングを逃してしまった俺だったのだのだが、さっきからあのポスターを見ていた茶髪ショートのお姉さんが俺が座ってる椅子の隣に座っていきなり話しかけてきのだ。てかこれは......
「お前がこの依頼の主か。お前達の噂や姿形諸々予習してきたが、やっぱり適任だな。ちょっと私に付き合え。紹介したいやつがいるんだ」
あれ? これってもしかして告白......てことは......モテ期来たぁぁぁぁ! この人はついてこいと言っているからますます信憑性が高そうだ! とりあえず湊さんに別れの一言でも言って今すぐにでもこの場を離れよう! そしてこのチャンスを逃してなるものか!
◇
この時ダースは思った。それ多分期待しない方がいいで。言動的にこの人はただの善意で声をかけてるんだなと本能で察知している。
この時湊は思った。このお姉さんもタイプだなと。
この時エレンはまるで皆に見せつけるかの如く湊にイチャイチャしまくっていた。
この時リーズは舌打ちしていた。
◇
「湊さん! いろいろ情報ありがとうございました! 次はあの中立の大地モリヤミという場所で会いましょう! ではさようなら!」
この人達粒揃いだけどなんだかんだ仲良さそうだ。羨ましいな......
「おう! 達者でなぁ」
◇◇◇◇◇
次回に続く
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