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第二章〜男の妊娠には問題が多い
仲直りは甘々Hで 1
しおりを挟む俺は篤人に抱きかかえられて家に帰った。
昨日飾り付けしてたHappy Birthdayのガーランドと「今日の主役!」って書いてある襷が何とも寂しく見えた。
「これは⋯⋯俺の為に、準備しててくれたのか?」
「うん⋯遅く、なったけど、37歳、誕生日、おめでとう。」
何とか声は出るようになったが、まだゆっくり話さないとちょっと辛い。
篤人は俺を姫抱っこしたままギュッと抱き寄せてくれた。
「ご飯も、用意してた、んだけど⋯」
「まだ動けないだろうから、お昼は何か頼んで軽く食べようか?夜に隼斗の体が大丈夫そうだったら一緒に作ろう?」
「うん、そうする。ありがと、篤人。」
俺達は笑い合って、そのまま姫抱っこで寝室へと連れて行かれた。
⋯あ、ヤバイ。色々と出しっぱなしだ。
ガチャッーーー
「・・・・」
「⋯あ~その、たまには、こーゆーのもいいかなぁと⋯」
「くっ⋯俺は⋯⋯何て勿体無いことを⋯」
あ、凄い落ち込んでる(笑)
「ふふっ⋯⋯俺は流石に、もう無理だけど⋯あとで篤人に、してあげる。」
あ、復活した(笑)
お楽しみは後に取っておいて、一旦色々を片付けると俺はベッドに寝かされて、俺の誕生日でも何でもないのに好物のお寿司を頼んでくれた。
届けられた高級寿司をベッドに身を起こした状態で篤人に食べさせて貰って、俺は蕩けるマグロにほっぺたを押さえて美味しさを噛み締めた。
「ふっ、隼斗は本当にトロが好きだな。ほら、これも食べていいぞ。」
篤人は目を細めて微笑ましそうに隼斗を見つめる。
そんな篤人の視線を感じて「あぁ、幸せだな」って思った。
寿司を食べたらまた一緒にベッドに横になって眠りについた。
目が覚めると、辺りは薄暗くなっていた。思ってたよりもお互いに疲れてたようで⋯⋯いや、そりゃ疲れてるわな。
ちょっと寝過ごしたみたいだ。
篤人の寝顔を見ていると、眉を寄せて苦しそうな表情で何か呟いていた。俺はそっと口元に耳を寄せて聞いてみる。
「⋯⋯やと⋯⋯す⋯な⋯⋯で⋯」
「っ!?」
もしかして今の言葉は⋯
『隼人、捨てないで⋯』
いくら腹が立ったからって、俺は最低なやり方で篤人を傷付けたんだ。しかも春樹さんまで巻き込んで⋯
未だ苦しそうな表情を浮かべている篤人にギュッと抱き着き、その唇にキスをした。
それから額に、眉間に、こめかみに、頬に、鼻の先に⋯沢山のキスの雨を降らせる。
再び唇を重ねて見上げると、そこには少し驚いたような表情でこちらを見下ろす篤人の瞳と目が合った。
「ふふっ⋯おはよう。」
「あぁ⋯おはよう。」
俺が笑って挨拶すると、篤人も釣られて笑って返事してくれた。
もう篤人を傷付けないから⋯そんな悲しい事二度と言わせないからね。
俺は起き上がってみると、だいぶ体も動かせるようになっていた。うん、これなら大丈夫そうだ。
「篤人、一緒にご飯作ろっか?」
「無理してないか?隼斗は指示してくれればあとは俺がやるから、椅子に座って見ててくれ。」
篤人の過保護が発動してるけど、ここは大人しく言われるがままにしておいた。
篤人の手料理、実は初めてだ。
下拵えは全部俺だけど⋯てか、これ篤人の誕生日祝いだったよな?本人に作らせていいのか?
⋯そんな疑問が湧いたけど、まぁいっか。一緒に楽しもう♪
昨日のうちに殆ど下拵えは終わっていたので、油を温めている間に隣のコンロでピーマンの肉詰めを焼いていく。
篤人に調味料を出してもらい、俺は椅子に座って肉詰めにかけるタレを作っている。
油が温まったら下味をつけた鶏肉を片栗粉にまぶして投入。
「篤人、油はねると火傷しちゃうからそっと、ゆっくりと入れてね。」
「こ、こうか⋯?」
篤人が恐る恐る油に肉を投入する⋯なんか新鮮でめっちゃ可愛い。
俺はニマニマ笑みを浮かべながら、篤人の初めてCookingを眺めていた。
唐揚げも順調にカラッと揚がり、ピーマンの肉詰めもタレをかければ完成だ。
あとはポトフを温め直して冷蔵庫からサラダを出せば、篤人の好物で溢れた料理が揃う。
「全部俺の好物だ。隼斗、ありがとう。それと⋯本当に昨日は悪かった。」
「⋯うん、許すよ。俺も⋯怒ってたとはいえ、篤人を傷付けるようなことして本当にごめん。もう二度とあんな事しない。」
「⋯⋯あれには心臓が凍る思いだった。隼斗が他の奴に奪われるかもしれないと思ったら、頭が真っ白になって⋯気付いたら暴走してしまった⋯」
あの時の光景を思い出したくもない、と頭を振っている篤人を俺はそっと抱き締めた。
「本当にごめんなさい。俺には篤人だけだよ。だから篤人も、他の人に触れさせないで⋯」
「俺も隼斗だけだ。⋯何故膝枕してたのか分からないが、あの女は別の部署に追い払うから。俺に触れていいのは隼斗だけだ。」
互いに見つめ合ってどちらともなく軽くキスをすると、1日遅れの誕生日会をした。
食後のデザートにケーキを出して、そこに37の数字のロウソクを立てた。
「篤人、誕生日おめでとう。これからも宜しくね。」
「ありがとう、隼斗。こんな幸せな誕生日は初めてだ。愛してる。」
「俺も。愛してるよ、篤人。」
ただ、この時篤人は一番大事な事を忘れていた⋯
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