絶望を快感に

マー子

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第一章〜レイプは犯罪です

人の温もり

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「⋯ん⋯??」

目が覚めると、俺は少し暗くなった部屋でベッドに寝かされていた。
びしょ濡れだった服はきちんと着替えさせられていて、俺はまだ呆然とする頭で何が起こったのか思い返す。

⋯あ、ヤバイ。これはかなり恥ずいぞ。薬の影響があったとはいえ、かなり乱れてしまったのは何となく憶えている。
思い出しながら顔を赤らめるが、それ以上に⋯

「そういえば、上の階のヤツ⋯縛って放置してた筈だけど⋯?」

部屋に放置してた筈のヤツの姿が見当たらず首を傾げていると、玄関がガチャっと開いて、あの男が入ってきた。

俺が起きた事に気付くと安堵したような表情でベッド側にきて、頭を撫でてきた。

ーーー???ーーー

「具合はどうだ?気分が悪かったりないか?」

「あっ⋯うん、大丈夫⋯。その、迷惑かけて⋯ごめん⋯」


男に優しくされて戸惑いつつも、薬のせいとはいえ散々付き合わせた自覚のある俺は尻すぼみになりながらも謝罪する。

「ん?⋯あぁ、あれはあれで役得だったから気にするな。⋯普段とは違うお前も良かったしな?」

そう言って喉の奥で笑う男に、俺は真っ赤になりながら何とか言い返したいが言葉が見つからない。

(⋯俺もめちゃくちゃ気持ち良かったなんて絶対言いたくない⋯)

俺はグッと堪えると、そう言えばと男に聞いてみる。

「そう言えばここに縛って放置してた男が居たはずなんだけど⋯アンタ見てないか?」

その疑問にさもありなんとばかりに男はあぁと頷くと「あの男はもう二度とここには来ない」「上の部屋も解約して何処かへ行った」とだけ教えてくれた。

⋯え?本当に何したのこの人??

一応被害者である俺の話を聞くこともなく、勝手に上の階のヤツを処分してくれたようだ。
怖くてこれ以上詳しくは聞けなかったが、俺は少しだけホッとした。
でも、もうこのままこのアパートに住み続けるのはちょっと無理そうだ⋯


「あのさ⋯ちょっと前から考えてはいたんだけど、俺引っ越そうと思う⋯。」

「そうか⋯引っ越し先はどこか考えてるのか?」

「まだ詳しくは⋯でもそろそろ更新だから、それまでには決めて引っ越そうと思う。」

流石にこのアパートのセキュリティーの弱さと壁の薄さに、俺は身の危険をヒシヒシと感じた。すると男は少し考えるような素振りを見せ、徐にとんでもない事を提案してきた。


「⋯なら、俺んちに来るか?」

「⋯は?」

いやいや、流石にそれはない⋯だろう?
あれ?でも嫌じゃない⋯?

俺が自分の気持ちに戸惑っていると、男は「とりあえず今日は俺が側にいてやる」と言って俺の頭にポンッと手を乗せた。

カアァーーーッと頬に熱が集まるのが分かる。

何だこの甘い空気ーーー!??

するとそんな空気を壊すように腹の虫が豪快に鳴いた。


「⋯/////そう言えば、飯作ったんだ⋯。アンタも良かったら食べるか?」

「おぉ、さっきからいい匂いがしてたんだ。俺の分も用意してくれてたのか?」

「別にっ⋯多めに作ったから、分けてやってもいいってだけだから。」

「ハハッ⋯じゃ、遠慮なく貰うよ。」

俺は作ったカレーを温め直してる間に、簡単に千切った野菜とトマトを盛り付けてサラダを作った。
買ってきた新しい深めの皿にご飯を盛り、温めたカレーをかけてテーブルに持っていく。
サラダとドレッシングに取皿を用意して、スプーンとフォーク、念の為箸を用意すると、男がそれを受け取ってテーブルに運んでくれた。
飲み物はどうするか聞くと、お茶でいいとの事だった。
男と自分の分のお茶を注いで持っていくと、テーブルには向かい合わせにセットされていた。

俺はお茶を渡すと男の向かいに座り、一緒にいただきますをして食べ始める。
俺は男がカレーを口にするのを見つめながら、内心ドキドキしていた。

男は一口食べると少し瞠目し、続けてパクパクと食べ進めてくれた。

「⋯どお?口に合ってる?」

「モグモグ⋯⋯ん、美味いな。辛さも丁度いい。」

ほっ⋯「よかった。まだ沢山あるから⋯遠慮なく食えよ。」

俺も安心して自分のカレーに手を付ける。サラダも取り分けて渡すと、男はトマトを見て眉をしかめ、俺の皿に入れてきた。

「あっ、おい!⋯⋯もしかして、トマト嫌い?」

「⋯悪いか?」

「ふふふっ⋯⋯意外と可愛いとこあんじゃん⋯」

「(ボソッ)可愛いのはお前の方だろう⋯」

「ん?なんか言った?」

男は「何でもない」と言ってトマト無しのサラダを食べ、カレーのおかわりもした。
俺は久しぶりに人と一緒に食事をして、不覚にもこの男とまた一緒に飯食えたらなぁ⋯なんて思ってしまった。


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