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始まりの勇者編

10 戦士交代

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 美希は氷上に叩きつけられ鬼から数メートル滑って離れた。

 彼女はそのままピクリと動かなかった。

 赤鬼は自分の拳を見ていた。彼女を殴ったときに氷の厚い壁に阻まれ手応えが無かった、しかし動かなくなった姿を見て首を傾げるも美希の方にゆっくりと歩みよる。

 赤鬼は美希の顔を覗き込んだ、反応は無く彼女の頬を突っつき始めた。

 しかし、それでも応答が無いので、赤鬼はそのまま彼女の手を持ち上げた。
 
 美希は両手を赤鬼に握られ吊るされるように持ち上げらた、赤鬼は揺すったりするも反応が無い。

 すると、赤鬼は口元の口角を上げた、子供がアリを潰すかのように赤鬼は自分の右手を大きく引いて思いっきり右ストレートをしようとした。

ドスッ!

 氷上にドス黒い血が滴り落ち広がっていた、その血を辿ると赤黒い皮膚の手の甲に矢が刺さっていた。

「一彩!美希を!」

「はいっ!」

 泉の左側にある陸から飛び美希の前に出て赤鬼を剣で弾き飛ばしたのは一彩だった、そしてトウカも生きていたのだ。

 トウカは赤鬼に蹴り飛ばされたあと運良く一彩を置いて来たところに戻された。

 トウカは直ぐに美希の所に戻ろうとしたところ意外と善戦したので今の内に火力を出せる一彩を起こすため泉に浸けていた。

「み、美希は大丈夫ですかトウカさん……」

「息をしている大丈夫のようだね」

 それを聞いた一彩は胸を撫で下ろした。
 
「まさか、目を覚ましたら美希が水の中からで出てきたと思ったら吹っ飛ばはれた時は焦りましたよ」

 トウカはそれを聞き半笑いしていた。
 
「トウカさんここは俺がやります美希を安全な所に」

 殊勝な事を言うと、トウカは『意識の無い人間をここに置いておけない』と思い、トウカは一彩の言うことに頷き美希を背負う。

 その姿を赤鬼が目を動かしながら見ると一瞬でトウカに詰めた。

 しかし、それを許さなかったのは一彩だった、

『このパワー、因子化したオーガより強い』

 そう感じるが、一彩は負けじと赤鬼を押し返した。

 赤鬼は氷上を滑るように後退させられると、目の前にいる人間を強き者と認識した。

「さっきもだったが、魔物も笑うんだな」

 一彩がそう言っている間にトウカは急いで美希を安全な場所に移動し始めた。

「トウカさんに聞いていたがここだと魔力を回復させながら戦えるらしいな、ならば、俺の意思に応えろ」

 そう言うと、一彩の持っていた剣が変形すると彼の戦いやすい武器『一本の刀』へと変わった。

「さて、赤鬼さん今度は俺と勝負だ!」

 そう言うと、赤鬼が一彩に向かって右腕振り下ろすように一彩を頭上から殴ろうとした。

  一彩はそれを、体を数センチだけ動き、手を上に掲げ刀を下に向け刃を赤鬼に向けて受け流した。

 その一連の動きにより、赤鬼の腕に大きな刀傷ができると、そこから致死量レベルの血が流れていた。 
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