上 下
89 / 182
二部 送る村

20 降り注ぐ星達

しおりを挟む
「マスター達が居るということは例の怪物は……」

「いや、倒してきた」

 少し暗めな顔をしていたユウキはそれを聞くと驚いた顔をすると、

「では、マスター達が居れば奴らを倒せる手段があると言うことですか!!」

 迫りながら僕に言ってくる。

「まぁ、落ち着け」

 僕はユウキの肩を持ち少し離す、

「すみませんマスター」

「いや、いいよ」

 僕はそう言うと急いで来たお陰で持ってきていた神器を出す、

「こ、これは……」

「神器と言われている武器だ、これに魔力を注ぐと強力な攻撃ができる」

「では、この武器であの怪物達をやりましょう」

 ユウキの意見には賛同したいが、

「どうしました、難しい顔をして?」

「いや、こんな怪物が大挙している海の中に入っていくというのはな……」

 そう言っていると、

「私が氷を張らせて居る間にユウキ殿が海中に居る怪物達を近づけずにそしてその間にハック殿が魔力を溜めてそれをユウキ殿が上からやるって言うのはどうでしょうか」

 と、先程まで海の中をじっと見ていたタクヤがすぐに作戦を立てると、

「それだ」

 と、僕達はすぐに行動に移した。

 ────

「アイスフロア!!」

 タクヤがそう叫ぶと同時に海は凍てつき始めると揺れていた船が固定されるようにびたっと止まる。

「では、マスター、上空からなるべく近づかせないように怪物達に攻撃を仕掛けてきます」

 そう言うと、ユウキは音も立てずに上空へと飛んだ、

「ふと、思ったんだがユウキが常時持っていれば済むのではなかったのか?」

「ユウキ殿の魔力は著しく少ないですからね、あれの殆どは白い魔物による賜物でしょう」

「そうなのか……」

 納得し上空にいるユウキを見ながら、僕は手に持っている神器に魔力を注ぎ始める。


 数分が立ったところ神器に魔力が溜まりタクヤに合図を出すと上空に氷の柱を立てユウキに知らせると彼女はすぐに降りてきた、

「溜まったのですねマスター」

「ようやくな」

 と、ユウキの手に神器を置く、

「では、やってきます」

 と、もう一度上空へと飛んだ。

 それを、見送ると側にいるタクヤが、

「そういえばハック殿どのくらいソソギコンダんですか?」

 と、聞いてきて、

「満タンだけど」

 僕は即答すると、

「そ、それってつまり最大火力を叩き込むと、怪物が自壊させるほどの攻撃を……」

「……」

 僕とタクヤに変な間ができている間にひたすら頭を回した結論が出た、

「僕達ここにいるの危なくない……」

 そう言った瞬間、ユウキが居る上空に視線を向けたのも遅く。
 そこには無数の光線が海に向かって放たれておりそれが海に入ると同時に高出力のエネルギーがタクヤが張っていた氷をも溶かす。

「僕達ここで死ぬかもしれない」

 と、ただ一言光の雨と音にその声は無情にも人の耳には入ることがなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

剣聖の転生~崖っぷちから俺はひたすらレベルアップしていく件

kakuちゃん
ファンタジー
140万PV越え、 中国を震撼させたダンジョンファンタジーが年内、webtoon(縦スクロールフルカラー漫画)になって日本上陸予定! 「小剣聖」の異名を持つS級天才覚醒者の「剣一」。「大剣聖」の父である剣心とともに第九星殿の結界を守護する任務にあたっていたが、ある日、何者かの手引きにより結界が破壊され、第九星殿は壊滅した。剣一も命を落とした…はずだったが、目を覚ますと、最弱F級の少年に転生していた。亡き父と第九星殿の仇を打つため、剣一は復讐の道を歩んでいく…! ※2023/9/27 小説家になろうとアルファポリスで、すずまるというペンネームで、当該作品のリライト版 『復讐転生~S級天才が最弱F級からひたすらレベルアップしていく件~』を連載しております。

処理中です...