勇者パーティーに追放されたけど、僕は女神様と魔王を倒しに行きます。

三章 一部 雪国の防衛

20 虚像の神を模倣されし獣

大狼との距離……既に10メートルを切っていた。

「タクヤさん、僕が最初に行きます！！」

　僕はそう言うと先頭を走り大狼の右前足を殴る。
　すると、右前足は間接の通りに曲げられると、その反動を使いもう一度地面に足をつけようとする、

「前に出たはいいがやはり物理攻撃は効かないか……」

　大きさ故に大してダメージは入ったの様子はなく、どう対処もできない右前足に巻き込まれないよう離れると、

　ガウ

　大狼は唸り声を上げながらこちらを見つめてると右前足は僕から離れていった。

「マスター反対の足が来ます！！」

　ユウキのその声が届くと同時に大狼の左前足が目の前に現れる。
　そのまま、迫る左前足が来るタイミング見計らって飛び一度その足に軽く接地し、飛び越えるように避ける、

「あっあぶなかった……」

　冷や冷やな思いでやったものな出来てよかった。
　僕はそのまま二人の元に戻る。

「直接ダメージを与えるのは難しそうですタクヤさん、やはりタクヤさんの方法でやるしかなさそうですね」

「ええ、そのようですね」

「ユウキ、行けるか？」

「行けますマスター」

　会話していると、

　ドッドッドッドッ

　という音が後ろから聞こえ振り向くと大狼がブルブルと震えていた、

「何だ？」

「何だか熱くなって……まさか!?」

「マスター、どうやら熱を自ら作っているようです」

　段々と体感温度の上昇を感じながらも僕達は目を合わせ最初の作戦通り行動し始める、

「ユウキ、頼む！！」

「はい、マスター」

　ユウキは白い魔物を召喚し、僕はそいつの手のひらに乗ると、

「飛ばしてくれ！！」

　と、合図をかけると白い魔物は振りかぶり僕をそのまま大狼の頭上に飛ばした。

「た、高い……」

　下を見ると、ユウキとタクヤは小さく、目の前に居る大狼とは目が真っ直ぐ会うもすぐにその目は上を見上げる。

「ハック殿……よし、今のうちに」

　タクヤはハックと共に大狼の視線が上を向いてる内に大狼の懐に潜ろうと走り出す。

　ガウ

　と、唸り声を上げ、すぐにタクヤに気づいた大狼は口を大きく開け「ガウッ！！」と吠える。
　それに合わせてタクヤは頭上に氷の盾を展開し防御しながら前に進むが。

　ガウッ！！ガウッ！！ガウッ！！

　と、三回連続熱の籠った攻撃、咆哮を放つ。
　タクヤも負けじと何度も氷の盾を展開していると大狼は動きを止める。

「毛が朱く……」

　僕は上から見ていると段々と大狼の毛が朱くなってるのが見えると。

　ガウウゥ

　唸り声を貯めていると朱い毛は下から上へと何やら染まりきると所々固まって逆立ち始めると、

　ガォーーーーン

　と、遠吠えを上げると同時にそこから細い光の線が放たれる。

「!?」

　僕の右横をその光線が通ると物凄い熱を感じる。

「これはさっき、タクヤさんが防いでいた奴かでも……これは」

　目の前に広がるのは数本の熱光線が立っていた。

「ハック殿無事だろうか」

その光景を下から見ているタクヤ。

「だがしかし、このような生き物は父上に聞かされたかの創造上に存在する魔物の事を思い出す」