主人公達へ

マシュマロン

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ワールドパンデミック編

二章 クリエイティブその1

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廃墟を出て、徒歩40分くらい歩くと広々とした荒野に出た。
あまりにも殺風景な場所で、どこまで見渡しても石ころが転がっているだけの退屈な風景だ。

「科学者は特にいないかな……」

前後左右見渡して確認をする。この近くには人1人の気配すら感じない。

「ここはハズレか……」

場所を変えようと足を踏み出した瞬間、それは起きた。

カラン。石ころが落ちる音がした。

「やあ君、こんな所でなにをしているんだい?」

後ろからねっとりとした声が耳に響き、慌てて振り返ると、さっきまでいなかったはずの20代後半ぐらいの男が、自分の服のポケットに手を入れながらニッコリと微笑んでいた。

「いや~無くし物をしてまして、探しているんですよ」

「へぇ、そうなんですか。では、私も手伝ってあげましょう」

「なら、お言葉に甘えさせて頂きます」

ペコっと頭を下げて、無くし物探しを手伝ってもらう。無論、無くし物などないのだが。

それにしても、こいつ、どこから現れた。さっきまで誰の気配もしなかったんだぞ?辺りも見回した。

このおっさん、きっと何かあるはずだ。警戒は怠らないようにしておこ……。

カラン。
またこの音だ。一体なんだ……?

音と同時に振り返ると、さっきまでそこにいたはずの男が、姿を消していた。

「一体、どこに!」
そう発言した刹那、背中に打撃による強烈な痛みが、電気のように走る。

「がぁ!」

今の感覚から、恐らく蹴りか。ならば、

普通の人間は蹴られたのなら、踏ん張ろうとするだろう。だが、明留はあえて踏ん張ることをしない。代わりに……。

うつ伏せになるところで手を付き、足を回転させ相手の膝に蹴りを決める。

「ぐっ、」
男から籠った声が漏れる。膝を狙ったため、今度は逆に男の体制が崩れる。
膝カックンと同じ原理だ。

すかさず立ち上がり、相手の懐に潜り込もうとすると、男は何かをこちらに向かって投げてきた。

「……!」
ギリギリのところでかわす。投げられたものを目で追うと、それはただのその辺に転がっている石ころだ。

「何故……な!」

「一手、おくれたなぁ!」

男の右ストレートが顎に向かって飛んでくる。
それをかわせるほど、反射神経は良くない。

鈍い音と共に顎にストレートが炸裂する。
脳が揺れているせいか、視界まで歪んでいる。

あれ?

さっきまで目の前にいたはずの男は2、3m離れた背後に一瞬で移動していた。

どういうことだ……?やつは一体……。

その答えは、実に簡単すぎる問題だ。その答えは……。

「お前、能力者か……」

「ん?ということは、君も能力者ということだね明留君」

「……何故俺の名前を知っている?」

「私は科学者ですからね、誰が生き残る資格を持っていたのかなんて、当然知っているとも」

カガクシャ……。その言葉は、明留の心の何かにチクリと刺さった。よく分からないが不快だ。不快だが、それ以上に幸福だ。何故だろうか。

みんなを殺された怒りか?それとも、情報を掴めるかもしれないという喜びか?
まあ、どっちもだろう。それに、そんな事はどうでもいい。やることは決まっているのだから。

「科学者、お前には聞きたいことが沢山ある。洗いざらい吐いてもらおうか」

「ふ、それは私を倒すことが出来たらの話ですけどね」

男は不適な笑みを浮かべ、いかにも余裕がある素振りを見せてくる。

「さて、ついてきてもらいますよ、結城 明留!」

その言葉を発すると同時に距離を詰めてくる男に対し、明留は地面に手を触れる。

「クリエイティブ!」

地面から赤と黒の閃光が走り、辺り全てを覆い隠した。
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