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王都の様子

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王都ではまつりが開催されていた。

勇者が選ばれたことを祝うための祭りだ。その祭りは勇者が選ばれた日から返事の手紙が届いた次の日まで続けられる。

勇者になることを断られることが無いので祭りが途中で終わったことは無い。

「今度の勇者様の返事の手紙はいつ届くかしら」

「きっともうすぐだよ。じゃないと国王の出した期限に間に合わなくなってしまう」

「勇者様ってどんな人なの?」

「きっと今度も素晴らしい人よ。魔王を倒してこの世界を救ってくれるような」

城下町の住民たちは祭りを楽しみながら口々に勇者についての話を絶え間なくしている。

かつての勇者はこんな人だった。あの時の勇者は素晴らしかった。

歴代の勇者の話も持ち出し、今度はどんな素晴らしいお人だろうと考えを巡らせる。

そんな時に王城から速報が入った。

「おい!勇者様から返事が届いたらしいぞ!」

いち早く速報の内容を目にした青年がそう叫んだ。

城下町はより一層騒がしくなった。

「返事は?返事はどうだったって?もちろんなるんだよな?」

「ええと…。なる!勇者になるって!」

その言葉を聞いてワアっと歓声が上がった。

勇者が決まったことは国中に瞬く間に広まり、各地で規模の大小に差はあるが祭りが開かれ、勇者誕生が祝われた。




「国王様、勇者が決まったことが国民に広まりました」

豪奢な部屋で国王にそう伝えた初老の執事に国王は机の上で手を組み「そうか」と一言呟いた。

そうして立ち上がり机の後ろ側にある大きな窓に近づいて城下でお祭り騒ぎをしている国民を見下ろした。

「此度の勇者は今までの勇者たちとは違うといいのだが」
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