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それはまるでICカード
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ギルドの建物に戻るとさっきのお姉さんの所に再度並ぶ。どうやら昼を過ぎたばかりのこの時間はそこまで混んでないようだ。……依頼が張り出される朝イチとかはやっぱり混んでいるのか?あとは依頼帰りの夕方とか?明日は朝イチに来てみたいな、とかうきうきしてしまう。
「常設依頼のルミエ草は10本が1束で500ガルドですが状態がかなり良いので600ガルドとなります。19束で11400ガルド。
マナグラスは5本が1束で800ガルドですが根もきちんとついていて状態が良いので900ガルドとなります。23束で20700ガルド。
スライムの魔石は1個100ガルドで2800ガルド。
一角兎の角は300ガルド、皮は400ガルド、肉は300ガルド、魔石は100ガルド、すべて12匹分で13200ガルド。
ゴブリン討伐4匹で4000ガルド、魔石が4個で400ガルド。
そしてボア1頭分の皮と肉は各5000ガルド、魔石は300ガルド。
以上、62800ガルドで小金貨6枚銀貨2枚小銀貨8枚です」
ひと息ですらすらと金額を述べるお姉さん。ここまでノンブレス、すげぇ。
あの森の奥の方はあまり人が入らないみたいで薬草が群生していたから三分の一くらい残して採取しまくったんだけど結構な金額になるんだな。さっきセイが掲示板に貼ってある常設依頼はルミエ草は10本単位、マナグラスは5本単位って教えてくれたから、半端な分はインベントリに寝かせておく事にして、きり良く出すことが出来た。それにしても半日もかからず一人三万ちょいか。
「……常設依頼って割が良かったんだな」
「イリヤ様、普通は違いますからね」
ぽそりと呟くとセイが呆れたように横でため息をついた。そういえば、なりたての冒険者だったら薬草採取だって森の入口付近でしか出来ないし、スライムやゴブリンにあたふたするもんだよな。
「こちらが報酬です。常設依頼三件以上の達成となりFランクからEランクへのランクアップとなりますのでギルドカードを出して下さい」
鉄のプレートを渡すと銅のプレートになって返ってきた。これでようやく新人冒険者。
スタート地点に立ったというところか。
「他に何かございますか?」
「宿の紹介と家を借りたいのですが」
「宿は紹介できますが、借家はギルドカードに保証金を預けていただかないと紹介できない事になっています。家賃はそこから引き落としになりますので」
いつ死ぬか分からない冒険者に家を貸し出す場合は敷金みたいなものをギルドカードに預けておかないとダメなのか。でも自動引き落としとか案外便利なんだな。
「これで良いですか?」
なんだかそこはかとなく機嫌が悪いセイがじゃらりと出したのは白金貨十枚。セイが書いてくれた金貨の価格表を思い出そうとするも小金貨1万円と金貨10万円あたりまでしか思い出せないというか覚えていない。白金貨って一枚いくらだっけ?100万くらいだっけか?
「じゃ、俺も」
セイに習え右で──実際には左にいたけど──じゃらりと腰に下げている革のポーチから白金貨を十枚取り出した。エタブレのガルは総金額で表示されているからどうなるのかと思っていたら、白金貨を十枚と思い浮かべればその貨幣が取り出せるみたいだ。便利だな。てか普通にガル=ガルドで良い事が驚き。お金持ちじゃん、俺。
「お、お待ち下さい」
トレイに白金貨とギルドカードをのせてお姉さんが扉の向こうに消えた。
「イリヤ様はどんな家が良いですか?」
「寝る部屋と工房が設置できれば何でも」
「エタブレと違いダイブアウトすれば良いという話では無いので使用人も必要でしょうし、何日かは宿になりますが何か希望は?」
「特には……あっ、でも風呂は欲しいかな」
生活魔法である浄化魔法は使えるみたいだけど、どうせならお湯に浸かりたい。セイの言うとおりダイブアウトすれば良いってわけじゃないから生活拠点をどうするとか考えないといけない。
そんな会話をしながら待っているとギルドカードの更新をしたお姉さんが戻って来た。
しかし……お金を入れておけばギルド提携の店ならかざして魔力をながせばキャッシュレスで買い物できるとか、ギルドカードってICカードみたいだな。
「常設依頼のルミエ草は10本が1束で500ガルドですが状態がかなり良いので600ガルドとなります。19束で11400ガルド。
マナグラスは5本が1束で800ガルドですが根もきちんとついていて状態が良いので900ガルドとなります。23束で20700ガルド。
スライムの魔石は1個100ガルドで2800ガルド。
一角兎の角は300ガルド、皮は400ガルド、肉は300ガルド、魔石は100ガルド、すべて12匹分で13200ガルド。
ゴブリン討伐4匹で4000ガルド、魔石が4個で400ガルド。
そしてボア1頭分の皮と肉は各5000ガルド、魔石は300ガルド。
以上、62800ガルドで小金貨6枚銀貨2枚小銀貨8枚です」
ひと息ですらすらと金額を述べるお姉さん。ここまでノンブレス、すげぇ。
あの森の奥の方はあまり人が入らないみたいで薬草が群生していたから三分の一くらい残して採取しまくったんだけど結構な金額になるんだな。さっきセイが掲示板に貼ってある常設依頼はルミエ草は10本単位、マナグラスは5本単位って教えてくれたから、半端な分はインベントリに寝かせておく事にして、きり良く出すことが出来た。それにしても半日もかからず一人三万ちょいか。
「……常設依頼って割が良かったんだな」
「イリヤ様、普通は違いますからね」
ぽそりと呟くとセイが呆れたように横でため息をついた。そういえば、なりたての冒険者だったら薬草採取だって森の入口付近でしか出来ないし、スライムやゴブリンにあたふたするもんだよな。
「こちらが報酬です。常設依頼三件以上の達成となりFランクからEランクへのランクアップとなりますのでギルドカードを出して下さい」
鉄のプレートを渡すと銅のプレートになって返ってきた。これでようやく新人冒険者。
スタート地点に立ったというところか。
「他に何かございますか?」
「宿の紹介と家を借りたいのですが」
「宿は紹介できますが、借家はギルドカードに保証金を預けていただかないと紹介できない事になっています。家賃はそこから引き落としになりますので」
いつ死ぬか分からない冒険者に家を貸し出す場合は敷金みたいなものをギルドカードに預けておかないとダメなのか。でも自動引き落としとか案外便利なんだな。
「これで良いですか?」
なんだかそこはかとなく機嫌が悪いセイがじゃらりと出したのは白金貨十枚。セイが書いてくれた金貨の価格表を思い出そうとするも小金貨1万円と金貨10万円あたりまでしか思い出せないというか覚えていない。白金貨って一枚いくらだっけ?100万くらいだっけか?
「じゃ、俺も」
セイに習え右で──実際には左にいたけど──じゃらりと腰に下げている革のポーチから白金貨を十枚取り出した。エタブレのガルは総金額で表示されているからどうなるのかと思っていたら、白金貨を十枚と思い浮かべればその貨幣が取り出せるみたいだ。便利だな。てか普通にガル=ガルドで良い事が驚き。お金持ちじゃん、俺。
「お、お待ち下さい」
トレイに白金貨とギルドカードをのせてお姉さんが扉の向こうに消えた。
「イリヤ様はどんな家が良いですか?」
「寝る部屋と工房が設置できれば何でも」
「エタブレと違いダイブアウトすれば良いという話では無いので使用人も必要でしょうし、何日かは宿になりますが何か希望は?」
「特には……あっ、でも風呂は欲しいかな」
生活魔法である浄化魔法は使えるみたいだけど、どうせならお湯に浸かりたい。セイの言うとおりダイブアウトすれば良いってわけじゃないから生活拠点をどうするとか考えないといけない。
そんな会話をしながら待っているとギルドカードの更新をしたお姉さんが戻って来た。
しかし……お金を入れておけばギルド提携の店ならかざして魔力をながせばキャッシュレスで買い物できるとか、ギルドカードってICカードみたいだな。
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