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登録、冒険者ギルド

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「登録をしたいのですが」

「はい、一人銀貨一枚となります。こちらをご記入下さい」

 周囲からの視線なんてなのんそのでセイがまっすぐに受付に行くと声を掛け、登録料銀貨二枚を受付のお姉さんに渡す。
 登録料は一人千円なのか……あとでセイに銀貨渡さなくちゃな。


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  名前 セイ
  職業 闘拳士
  魔法 可 (火・土 回復)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 すらすらと書き込むセイに対して俺は……読めるのに書けないという窮地に立たされていた。パッシブな言語理解は理解出来るだけで書く方には適応されないらしい。ナンテコッタ。

「イリヤ様、こちら私が記入しても?」

「……頼む」

 俺がこちらの文字を書けない事に気づいたセイが俺の申し込み書みたいなものも書き込んでいく。もう完全におまかせしかない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  名前 イリヤ
  職業 剣士
  魔法 可 (火・水・風・土 回復)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 おい、おい。なんか俺職業剣士なのに魔法もたくさん使える事になってるよ。いや、実際もっと使えるけどさ。だって本業魔術師なわけだし。
 書き終わった申し込み書を持ったお姉さんは二つの鉱石みたいなものを持ってくる。なんで鉱石みたいなものなんて曖昧かって?

▷▷▷ソールフラグメントの希石きせき
   冒険者ギルド本部にある神魔水晶から生成された
   珍しい石
   魔力や魔素により形質変化するが秘匿情報につき
   詳しいことはわかっていない

「ではFランクからとなりますのでこちらに魔力認証させて下さい」

 魔力認証はほんの少し魔力を通す事らしい。セイが先にやっているのを涼しい顔して眺めている風でめっちゃ観察した。指先に魔力を集中させてほんの少しだけ……あっ、これ回復させたり付与みたいなカンジか。

「虚偽は無いようですね。再発行には小金貨一枚から実費がかかりますので気をつけて下さい」

 どうやら魔力を通すと該当する部分は一瞬光り、それ以外は記載自体が消えてしまうという仕組みらしい。そして今はただの鉄のプレートだ。摩訶不思議。

 魔力を通すと名前とランク、それに職業を表示でき、使える魔法はプレートに表示するかしないか決められ、申請したものしか記載されないけど消えてしまうから多く書く人も、もちろんパーティーを組んだりする時の強みになるから自分の技能を少なく書く人もいないらしい。
 あはは、俺なんてさっぱり書いてねぇぞ。
 なんかスゴイなこの謎鉱石から変化した鉄のプレート。
 しかも再発行は一万円から時価……プレートの価値によるとか。怖っ!神銀ミスリルとかになるとめちゃくちゃ高そうだ……無くさないようにこれはインベントリにしまおう。

 冒険者ランクはFランクからはじまり、三回の依頼を達成するとEランクで実質Eランクが最低ランクみたいだ。
 Dランクは討伐依頼を含む依頼を何件か達成すればなれるらしい。
 また、Cランクにあがるには試験があり、盗賊などの討伐もしくは護衛依頼ができる事が必須とか。
 もちろんBランクやAランクへの昇格には依頼の達成頻度はもとよりギルドの推薦が必要でこれまた試験があるらしい。
 試験めんど……それに高ランクになれば指名依頼とか不可避な緊急招集みたいなのもあるとか。低ランクでも良いかな。

 Fランクは鉄プレート、EランクとDランクは銅プレート、Cランクは銀プレート、Bランクは金プレート、Aランクは白金プレート、Sランクは神銀プレートと、ソールフラグメントの希石きせきはランクによってプレートの金属が変わるんだとか。ふむふむ。そしてプレートを作ると倒した魔物が記載されるらしい……やっぱり摩訶不思議。

「常設依頼の報告をしたいのでイリヤ様をリーダーにパーティー申請したいのですが。良いですよね?イリヤ様」

「うん、セイに任せるよ」

 まかせっぱなしで申し訳ないが、変に口を出すとよろしくないだろう。
 だって俺、お城であんまり勉強してこなかったんだよ。文字は読めるし話せるし問題ないと思ってたのに、セイなんて読めるけど書けないって気付いてちゃんと習得してるからスゴイ。……後で習おう。










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