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005☆クロレンス公爵邸—ギルバート—前編
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私……んー、面倒だな。だって公式の場でも無いしね。僕の将来仕える主は何でも出来る完全無欠の完璧王太子殿下と呼ばれている。
ただ、何でも出来すぎるからなのか何にも興味が無い。そんな無趣味を極めた王太子殿下は公務も無く純粋な一人の時間に何をやっているかって?たまに考え事をしているのか日当たりの良い窓際であの死んだ目でどこか遠くを見ている?否、ぼーっとしているように見えるから、あれさ、すっごく怖いんだよね。今回は異国から取り寄せたなんか小難しい書物を読んでいるみたいだね。そんな殿下を……おいおい、どこの隠居爺なんだ?と僕は小さい頃から常々思っているんだ。てか、殿下ってば何が楽しくて生きてんだろ。
勿論必要な公務なら遠出だってするし、人間とだって接するし、話だってするから何の問題も無いんだけどね。
でもさ、やっぱりこの人何が楽しくて生きてるのかな?って思っちゃうんだよね。
あの張り付いた微笑みで固定された顔ですらモテるから凄いとは思うけど、もちろん何にも心が乱されないし動かされないしその上異性に興味が無いから宝の持ち腐れってヤツだ。ほんと、もったいないよ。
あっ、殿下程じゃないけど外面に騙されるのか家柄に惹かれるのか僕もモテるよ。たださ、それをやっかまれても興味もないどうでも良い存在と、どうして意味もなく交わろうと思えるのか謎なんだけど。
……ちなみに偶に噂になるけど殿下は同性にも興味は無い。あったらマジで怖いけど。それに関しては殿下のお相手と噂されている僕が一番の被害者ってヤツだよね。
てか、そんな噂どっからくるんだろって思って調べると、ほんと根も葉もなさすぎな淑女の皆様方——ほんと巫山戯んな——の所からだったり、王妃殿下と僕の母上からの強制から始まった僕とウィルの愛称呼びからだったり、側近枠への妬み嫉みだったり、まぁ、呆れたよ。勿論邪魔なのは然るべき手段を用いて排除しておく。
そんな中、あの王太子殿下が第二王子であるアルフレッド殿下の婚約者候補(ほぼほぼ確定)であるアリシア・クロレンス嬢に並々ならぬ関心を寄せたのだ。
あ・の・ウィルが、だよ!!!!!
『アリシア・クロレンス嬢ともう一度会って話がしたい』
大事件である。
だってさ、だって、あのウィルがだよ~。
それと共に王宮には激震が走った。
うん。……何を隠そう王太子殿下の幼女趣味疑惑が持ち上がったのだ。
何故なら——勝手に名前呼んじゃうけど——アリシアはね、なんと御年五歳。……そう、五歳だよ?!
両陛下に至ってはこれを逃したら王太子殿下が異性に興味なんて持たないだろうと全力でアリシア・クロレンス嬢を囲い込む為に外堀を埋め始めた。
この先、クロレンス公爵との戦いが見物だよね~。
『なに、十年後には二十五歳と十五歳だから大丈夫だ……許容範囲だ!政略結婚ならそこいら中にゴロゴロある!!!』
宰相である僕の父上までそんな事を言い出す始末。王太子殿下がお相手じゃ第二王子殿下の時よりクロレンス公爵が許さないと思うんだけどな~、というのが——みんな言わずもがな分かってるだろうけど——僕の正直な感想だったり。
クラウス殿はね、なんでこの人が宰相しないの?ってくらい切れ者なんだ。どうやらエリシア様との時間が少なくなるから嫌とかって断ったらしい……本気か……
隣国グレスティターナで我が国の王妃殿下がまだ王女ソフィア様だった頃、ソフィア様他多数が溺愛されていて鉄壁に守られていた妖精姫と名高いクラウン公爵令嬢エリシア様と——どんな手を使ったのか怖くて想像もしたくないけど——相思相愛となり、見事かっ攫ってきた強者なんだよね。そのエリシア様とそっくりなアリシアを簡単に嫁に出すとは思えないんだよ。
あの悪魔の様なクラウス殿がエリシア夫人とアリシアには激甘って笑え……ゔぅ、なんか寒気が。
実際はその会いたい理由が違ったワケだけど……
色々とバレない様にアリシアから情報を得るとか、う~ん。教会とか敵に回したくないよね。
てか、これって厄介な案件ってヤツ?
でもさ、目の前のウィルのこの反応ってまさかのまさかで初恋ってヤツじゃないの?とか思うんだ。主が幼女趣味か……男色よりは良いかな。うん。
あとさ、実はウィルってば独占欲が強いっぽい。アリシアは凄く逃げたそうだけど逃げられないんだろうな……可哀想だけど面白いから僕的にはオッケーかな。
『…………ねぇ、シアは教会に行きたいの?』
ウィルの見たこともないというより初めて見る満面の笑顔——その辺のご令嬢なら気絶しそうな麗しさだけど僕にとっては鳥肌立ちそうなくらい不気味だったよ——で繰り出された口撃はアリーに最大級のダメージを与えた。顔が青ざめ見る見るうちに血の気が引いていく。
教会は未来視を持つものを信仰という名の大義名分を振りかざし教会へと招く。実際にその召喚は半強制的で一度入ると外へ出る事がかなわないから軟禁や監禁と言っても過言ではない。それを免れられるのは継承権を持つ王族くらいだ。アリーがアルフレッド殿下にレナーンス地方の事をこっそり伝えたのはそれが理由だろう。ふふ、詰めが甘かったけど賢いね、アリー。
『ダメっ!教会にバレたらお父様とお母様を助けられないもの。ナタリーやエマの家族だって助けたい!私だって死にたくない……死にたくないのっ!』
あちゃ~、殿下ってばアリーを泣かせちゃったよ。これ絶対クラウス殿に殺られる案件だよ。……って、ちょっ、ウィル!なんで嬉しそうなのこの人ってば。
ヤバっ、つーかその顔ヤバいから。絶対余所でしないでよ?
微笑みながら目尻をちょっと染めてアリーをガン見してるよ。
えっ、あれなの?幼女趣味な上に嗜虐趣味とか持ってんの?
涙をはらはらと零すアリシア嬢は幼女だけど妖精の様でそれはそれは可憐だけどさ。うわ~、ちょっとどん引きだわ。
ただ、何でも出来すぎるからなのか何にも興味が無い。そんな無趣味を極めた王太子殿下は公務も無く純粋な一人の時間に何をやっているかって?たまに考え事をしているのか日当たりの良い窓際であの死んだ目でどこか遠くを見ている?否、ぼーっとしているように見えるから、あれさ、すっごく怖いんだよね。今回は異国から取り寄せたなんか小難しい書物を読んでいるみたいだね。そんな殿下を……おいおい、どこの隠居爺なんだ?と僕は小さい頃から常々思っているんだ。てか、殿下ってば何が楽しくて生きてんだろ。
勿論必要な公務なら遠出だってするし、人間とだって接するし、話だってするから何の問題も無いんだけどね。
でもさ、やっぱりこの人何が楽しくて生きてるのかな?って思っちゃうんだよね。
あの張り付いた微笑みで固定された顔ですらモテるから凄いとは思うけど、もちろん何にも心が乱されないし動かされないしその上異性に興味が無いから宝の持ち腐れってヤツだ。ほんと、もったいないよ。
あっ、殿下程じゃないけど外面に騙されるのか家柄に惹かれるのか僕もモテるよ。たださ、それをやっかまれても興味もないどうでも良い存在と、どうして意味もなく交わろうと思えるのか謎なんだけど。
……ちなみに偶に噂になるけど殿下は同性にも興味は無い。あったらマジで怖いけど。それに関しては殿下のお相手と噂されている僕が一番の被害者ってヤツだよね。
てか、そんな噂どっからくるんだろって思って調べると、ほんと根も葉もなさすぎな淑女の皆様方——ほんと巫山戯んな——の所からだったり、王妃殿下と僕の母上からの強制から始まった僕とウィルの愛称呼びからだったり、側近枠への妬み嫉みだったり、まぁ、呆れたよ。勿論邪魔なのは然るべき手段を用いて排除しておく。
そんな中、あの王太子殿下が第二王子であるアルフレッド殿下の婚約者候補(ほぼほぼ確定)であるアリシア・クロレンス嬢に並々ならぬ関心を寄せたのだ。
あ・の・ウィルが、だよ!!!!!
『アリシア・クロレンス嬢ともう一度会って話がしたい』
大事件である。
だってさ、だって、あのウィルがだよ~。
それと共に王宮には激震が走った。
うん。……何を隠そう王太子殿下の幼女趣味疑惑が持ち上がったのだ。
何故なら——勝手に名前呼んじゃうけど——アリシアはね、なんと御年五歳。……そう、五歳だよ?!
両陛下に至ってはこれを逃したら王太子殿下が異性に興味なんて持たないだろうと全力でアリシア・クロレンス嬢を囲い込む為に外堀を埋め始めた。
この先、クロレンス公爵との戦いが見物だよね~。
『なに、十年後には二十五歳と十五歳だから大丈夫だ……許容範囲だ!政略結婚ならそこいら中にゴロゴロある!!!』
宰相である僕の父上までそんな事を言い出す始末。王太子殿下がお相手じゃ第二王子殿下の時よりクロレンス公爵が許さないと思うんだけどな~、というのが——みんな言わずもがな分かってるだろうけど——僕の正直な感想だったり。
クラウス殿はね、なんでこの人が宰相しないの?ってくらい切れ者なんだ。どうやらエリシア様との時間が少なくなるから嫌とかって断ったらしい……本気か……
隣国グレスティターナで我が国の王妃殿下がまだ王女ソフィア様だった頃、ソフィア様他多数が溺愛されていて鉄壁に守られていた妖精姫と名高いクラウン公爵令嬢エリシア様と——どんな手を使ったのか怖くて想像もしたくないけど——相思相愛となり、見事かっ攫ってきた強者なんだよね。そのエリシア様とそっくりなアリシアを簡単に嫁に出すとは思えないんだよ。
あの悪魔の様なクラウス殿がエリシア夫人とアリシアには激甘って笑え……ゔぅ、なんか寒気が。
実際はその会いたい理由が違ったワケだけど……
色々とバレない様にアリシアから情報を得るとか、う~ん。教会とか敵に回したくないよね。
てか、これって厄介な案件ってヤツ?
でもさ、目の前のウィルのこの反応ってまさかのまさかで初恋ってヤツじゃないの?とか思うんだ。主が幼女趣味か……男色よりは良いかな。うん。
あとさ、実はウィルってば独占欲が強いっぽい。アリシアは凄く逃げたそうだけど逃げられないんだろうな……可哀想だけど面白いから僕的にはオッケーかな。
『…………ねぇ、シアは教会に行きたいの?』
ウィルの見たこともないというより初めて見る満面の笑顔——その辺のご令嬢なら気絶しそうな麗しさだけど僕にとっては鳥肌立ちそうなくらい不気味だったよ——で繰り出された口撃はアリーに最大級のダメージを与えた。顔が青ざめ見る見るうちに血の気が引いていく。
教会は未来視を持つものを信仰という名の大義名分を振りかざし教会へと招く。実際にその召喚は半強制的で一度入ると外へ出る事がかなわないから軟禁や監禁と言っても過言ではない。それを免れられるのは継承権を持つ王族くらいだ。アリーがアルフレッド殿下にレナーンス地方の事をこっそり伝えたのはそれが理由だろう。ふふ、詰めが甘かったけど賢いね、アリー。
『ダメっ!教会にバレたらお父様とお母様を助けられないもの。ナタリーやエマの家族だって助けたい!私だって死にたくない……死にたくないのっ!』
あちゃ~、殿下ってばアリーを泣かせちゃったよ。これ絶対クラウス殿に殺られる案件だよ。……って、ちょっ、ウィル!なんで嬉しそうなのこの人ってば。
ヤバっ、つーかその顔ヤバいから。絶対余所でしないでよ?
微笑みながら目尻をちょっと染めてアリーをガン見してるよ。
えっ、あれなの?幼女趣味な上に嗜虐趣味とか持ってんの?
涙をはらはらと零すアリシア嬢は幼女だけど妖精の様でそれはそれは可憐だけどさ。うわ~、ちょっとどん引きだわ。
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