59 / 65
最終章 それぞれの道
006 求婚
しおりを挟む
あれから一週間が過ぎた。アリスの捜索は国をあげて行われているが、一向に見つかっていない。
王都から一番近い国境の門兵が、数日前に全員眠らされていたという件が報告され、国を出たのかもしれないと言われていた。
リックは実家に帰り翌日にはすぐ戻ってきた。
アリスは見つかっていないし、実家にいた方が安全なのではないかと説得したが、リックは絶対に守護竜の花嫁の儀式を見たいらしく、ブランジェさん家に居座っている。しばらくヒスイに弟子入りをすると言って朝から晩までべったりくっついている。
そんなある日、ブランジェさん家に初めて見る客が訪れた。
店内に現れたローブを目深に被ったその人物に、一番に反応を示したのはヒスイだった。
「金色のマッシュルーム……」
「ヒスイ殿。それってあれですよね! シェリクス領の名産品の。急にどうしたんですか!?」
「リック君には言ってませんでしたが。それ、アレのことなんですよ」
ヒスイはローブの人物に、部屋に害虫が現れた時のような殺意を向ける。そのただならぬ様子にリックは警戒しつつローブの客へと近づいて行った。
「いらっしゃいませ~。何かお探しですか……。あっ、お前」
「君は、あの時の……。ルーシャはここにいるんだね。良かった。ようやく見つけた」
テオドアはホッと安堵しローブを脱いだ。
リックは何事かと眉間にシワを寄せ追い返してやろうとシュヴァルツの名を口にしようとした。
「シュ──」
「あら。ルーシャさんのお知り合い? 今、裏庭にいるわよ」
ミールが裏口を指差すと、テオドアは顔を綻ばせて飛び出していった。他の客もいるので、ヒスイは苛立ちを隠しつつ、その後を追った。
ルーシャがシーツを取り込んでいた時、裏口が開いた。誰かと思い振り向くと、光の反射が眩しく、ルーシャは顔を手で覆い目を細めた。
「ルーシャ!? ずっと君を探していたんだ!」
「はい? て、テオドア様?」
「ようやく会えた。……君を迎えに来たんだ」
テオドアはルーシャを抱きしめると、耳元でそう囁やいた。
「は、離してください。苦しいです」
「す、すまない。嬉しくて、感情が抑えられなくて……。ルーシャ。私と結婚しておくれ」
「えっ?」
テオドアは腰のバッグから小さな箱を取り出し、ルーシャに見せた。それは見覚えのある婚約指輪だった。
「これを受け取って欲しい。父上も説得した。守護竜の花嫁として責務を果たし戻ってきた君なら、シェリクス家に迎え入れてもいいと言ってくださった」
「私は……」
実際に儀式は終わっていないし、いきなり結婚とは何事かと、ルーシャは指輪を見つめ困惑した。急な展開にルーシャの思考は全くついていけない。
呆然とするルーシャに、テオドアは微笑みかけた。
「クラウディアから聞いている。目を合わせない私など嫌いだと」
「あ……」
まさか本人に伝えているとは思わず、気まずい声が漏れた。視線を感じて、そっと指輪からテオドアの顔へと目を向けると、青い瞳はルーシャだけを見つめていた。
「ずっと……。ずっと君が好きだったんだ。初めはレイスの妹として君と出会った。他の女性達と違って、君は私をただのテオドアとして見てくれた。その純粋な視線に私は堪えられなくて、君を直視することができなかった」
「?」
まるで恋でもしているかのようなテオドアの甘く微睡んだ瞳に、ルーシャは益々困惑した。テオドアの前にはルーシャしかいないのに、この言葉が自分に向けられていることが信じられない。
「あの夜会の日、私は運命を装って君を手に入れようとした。自分の気持ちをさらけ出すのが怖かったんだ。それに、周りも認めてくれないと思った。私は公爵家の人間だから……」
「テオドア様……」
「でも、もう自分の気持ちに正直でありたい。父上から花嫁候補の女性を紹介される度、君の顔が浮かぶ。この指輪を捧げたい女性は君しかいないんだ。もう君から目をそらさない。──ルーシャ。一生、私の側にいてくれないか?」
テオドアは一度もルーシャから目を反らすことなく告白した。こんな彼を見たのは初めてだった。真っ直ぐな気持ちを向けられて、ルーシャの頬には自然と涙が伝う。
「ありがとうございます。とても嬉しいです。テオドア様は、公爵家の人間としての責任に縛られながら、いつも最善を尽くしてくださっていました。私はそんなテオドア様を尊敬いたします」
「ルーシャ」
「ですが、私も自分の気持ちに正直でありたいのです。私はテオドア様のことをお慕いしておりました。でもそれは、ずっとずっと前の事です」
目の前の婚約指輪。この指輪を手にしてからルーシャはずっと不幸だった。
テオドアはルーシャを無視するようになり、他の女性と過ごすようになった。
今思えば、ルーシャが守護竜の花嫁として自分の婚約者に選ばれたことを知り、遠ざけようとしていたのかもしれない。
この人はとても不器用に、ルーシャを愛していてくれたのかもしれない。
「それは、私が君を守護竜の花嫁に捧げようとしたからか。君はずっと私が選ぶ最悪の選択に気付いていたのだろう? この国を危険に晒す道も、妹を犠牲にする道も私は選べないことを。公爵家の一人として生まれた責務を、私がどう全うしようとするか、君は分かっていたのだろう」
「……はい」
ルーシャが肯定すると、テオドアは唇を噛みしめ、溜め込んでいた涙を溢れさせた。そんな顔をされたら、ルーシャだって目頭が熱くなる。
指輪を大粒の涙で濡らし、テオドアは下を向いたままクソッと悪態をつくと、ルーシャに視線を戻した。
「それでも。…………そんな私だと分かった上で、私と一緒に新しい道を歩むことを選んでくれないか。これは君への償いでも何でもない。ただの私の我が儘なんだ」
テオドアがこんな熱い人だなんて知らなかった。
もっと大人でドライで──違う。
ルーシャは知ってた筈だ。
テオドアがどんな人だったか。
ずっとレイスの後ろから見ていたのだから。
もっとちゃんと向き合えばよかった。
お互い怖がらないで気持ちを伝えられていたら、何も知らないまま儀式を行われることもなかっただろう。
ルーシャはこうしてやり直すことなどなかったかもしれない。
でも、もう何もかも遅い。一度捨ててしまった感情に手を伸ばそうとしても、ルーシャの中にそれは存在しなかった。
「ごめんなさい。私の心にもうテオドア様はいないのです。私は……」
「そうか。他に想う者がいるのだな。はははっ。もっと早く伝えられたら良かったな。ルーシャ、聞いてくれてありがとう。──失礼するよ」
テオドアはルーシャの頭をくしゃっと撫でると、無理やり笑顔を作った。大好きだった人に、これ以上情けないところを見せたくない一心で。
王都から一番近い国境の門兵が、数日前に全員眠らされていたという件が報告され、国を出たのかもしれないと言われていた。
リックは実家に帰り翌日にはすぐ戻ってきた。
アリスは見つかっていないし、実家にいた方が安全なのではないかと説得したが、リックは絶対に守護竜の花嫁の儀式を見たいらしく、ブランジェさん家に居座っている。しばらくヒスイに弟子入りをすると言って朝から晩までべったりくっついている。
そんなある日、ブランジェさん家に初めて見る客が訪れた。
店内に現れたローブを目深に被ったその人物に、一番に反応を示したのはヒスイだった。
「金色のマッシュルーム……」
「ヒスイ殿。それってあれですよね! シェリクス領の名産品の。急にどうしたんですか!?」
「リック君には言ってませんでしたが。それ、アレのことなんですよ」
ヒスイはローブの人物に、部屋に害虫が現れた時のような殺意を向ける。そのただならぬ様子にリックは警戒しつつローブの客へと近づいて行った。
「いらっしゃいませ~。何かお探しですか……。あっ、お前」
「君は、あの時の……。ルーシャはここにいるんだね。良かった。ようやく見つけた」
テオドアはホッと安堵しローブを脱いだ。
リックは何事かと眉間にシワを寄せ追い返してやろうとシュヴァルツの名を口にしようとした。
「シュ──」
「あら。ルーシャさんのお知り合い? 今、裏庭にいるわよ」
ミールが裏口を指差すと、テオドアは顔を綻ばせて飛び出していった。他の客もいるので、ヒスイは苛立ちを隠しつつ、その後を追った。
ルーシャがシーツを取り込んでいた時、裏口が開いた。誰かと思い振り向くと、光の反射が眩しく、ルーシャは顔を手で覆い目を細めた。
「ルーシャ!? ずっと君を探していたんだ!」
「はい? て、テオドア様?」
「ようやく会えた。……君を迎えに来たんだ」
テオドアはルーシャを抱きしめると、耳元でそう囁やいた。
「は、離してください。苦しいです」
「す、すまない。嬉しくて、感情が抑えられなくて……。ルーシャ。私と結婚しておくれ」
「えっ?」
テオドアは腰のバッグから小さな箱を取り出し、ルーシャに見せた。それは見覚えのある婚約指輪だった。
「これを受け取って欲しい。父上も説得した。守護竜の花嫁として責務を果たし戻ってきた君なら、シェリクス家に迎え入れてもいいと言ってくださった」
「私は……」
実際に儀式は終わっていないし、いきなり結婚とは何事かと、ルーシャは指輪を見つめ困惑した。急な展開にルーシャの思考は全くついていけない。
呆然とするルーシャに、テオドアは微笑みかけた。
「クラウディアから聞いている。目を合わせない私など嫌いだと」
「あ……」
まさか本人に伝えているとは思わず、気まずい声が漏れた。視線を感じて、そっと指輪からテオドアの顔へと目を向けると、青い瞳はルーシャだけを見つめていた。
「ずっと……。ずっと君が好きだったんだ。初めはレイスの妹として君と出会った。他の女性達と違って、君は私をただのテオドアとして見てくれた。その純粋な視線に私は堪えられなくて、君を直視することができなかった」
「?」
まるで恋でもしているかのようなテオドアの甘く微睡んだ瞳に、ルーシャは益々困惑した。テオドアの前にはルーシャしかいないのに、この言葉が自分に向けられていることが信じられない。
「あの夜会の日、私は運命を装って君を手に入れようとした。自分の気持ちをさらけ出すのが怖かったんだ。それに、周りも認めてくれないと思った。私は公爵家の人間だから……」
「テオドア様……」
「でも、もう自分の気持ちに正直でありたい。父上から花嫁候補の女性を紹介される度、君の顔が浮かぶ。この指輪を捧げたい女性は君しかいないんだ。もう君から目をそらさない。──ルーシャ。一生、私の側にいてくれないか?」
テオドアは一度もルーシャから目を反らすことなく告白した。こんな彼を見たのは初めてだった。真っ直ぐな気持ちを向けられて、ルーシャの頬には自然と涙が伝う。
「ありがとうございます。とても嬉しいです。テオドア様は、公爵家の人間としての責任に縛られながら、いつも最善を尽くしてくださっていました。私はそんなテオドア様を尊敬いたします」
「ルーシャ」
「ですが、私も自分の気持ちに正直でありたいのです。私はテオドア様のことをお慕いしておりました。でもそれは、ずっとずっと前の事です」
目の前の婚約指輪。この指輪を手にしてからルーシャはずっと不幸だった。
テオドアはルーシャを無視するようになり、他の女性と過ごすようになった。
今思えば、ルーシャが守護竜の花嫁として自分の婚約者に選ばれたことを知り、遠ざけようとしていたのかもしれない。
この人はとても不器用に、ルーシャを愛していてくれたのかもしれない。
「それは、私が君を守護竜の花嫁に捧げようとしたからか。君はずっと私が選ぶ最悪の選択に気付いていたのだろう? この国を危険に晒す道も、妹を犠牲にする道も私は選べないことを。公爵家の一人として生まれた責務を、私がどう全うしようとするか、君は分かっていたのだろう」
「……はい」
ルーシャが肯定すると、テオドアは唇を噛みしめ、溜め込んでいた涙を溢れさせた。そんな顔をされたら、ルーシャだって目頭が熱くなる。
指輪を大粒の涙で濡らし、テオドアは下を向いたままクソッと悪態をつくと、ルーシャに視線を戻した。
「それでも。…………そんな私だと分かった上で、私と一緒に新しい道を歩むことを選んでくれないか。これは君への償いでも何でもない。ただの私の我が儘なんだ」
テオドアがこんな熱い人だなんて知らなかった。
もっと大人でドライで──違う。
ルーシャは知ってた筈だ。
テオドアがどんな人だったか。
ずっとレイスの後ろから見ていたのだから。
もっとちゃんと向き合えばよかった。
お互い怖がらないで気持ちを伝えられていたら、何も知らないまま儀式を行われることもなかっただろう。
ルーシャはこうしてやり直すことなどなかったかもしれない。
でも、もう何もかも遅い。一度捨ててしまった感情に手を伸ばそうとしても、ルーシャの中にそれは存在しなかった。
「ごめんなさい。私の心にもうテオドア様はいないのです。私は……」
「そうか。他に想う者がいるのだな。はははっ。もっと早く伝えられたら良かったな。ルーシャ、聞いてくれてありがとう。──失礼するよ」
テオドアはルーシャの頭をくしゃっと撫でると、無理やり笑顔を作った。大好きだった人に、これ以上情けないところを見せたくない一心で。
0
お気に入りに追加
389
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる