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第三章 ブランジェさん家
010 従兄の上司
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「ルーシャ!? まさか街で会うとは嬉しいぞ。いや、今は喜んでいる場合ではないのだ。黒いローブの怪しげな中年男性を見なかったか? 身なりが良くて品があるが、何処か変な男性だ」
「あ、それなら……」
「この方ではないでしょうか?」
ルーシャが遠慮がちに視線を落とすと、ヒスイは先ほどの常連さんの首根っこをつまみ上げレイスに見せた。ルーシャがレイスを従兄と呼んだ時に逃げようとしたので捕獲しておいたのだ。
「へ、へい──ヘイゼル様。良かったです。早々に捕獲できて」
「捕獲とは失礼だな。それに君、力が強いね。驚いたよ」
レイスが呆れ返る中、ヘイゼルと呼ばれた男性はヒスイを見てウインクした。レイスの言った通り、やっぱり変な人だ。
「あの、ヘイゼル様は従兄の……」
「直属の上司だよ。そうか、君がルーシャだね。レイスから、君の話は一度も聞いたことが無いけれど、部下のことは全て調べ尽くしてあるから知っているよ」
レイスはヘイゼルを見てうんざりした顔でため息をついた。
「はぁ。ヘイゼル様。仕事が山積みですから帰りますよ」
「折角、家族に会えたのにいいのか?」
「ヘイゼル様がまだここにいたいだけですよね。帰りましょう」
「レイス、勘違いするな。君の従妹に言ったのだよ」
ニコニコと笑顔でルーシャの肩に触れたヘイゼルにレイスは顔を引きつらせていた。
「お、お気遣いありがとうございます。従兄はよく顔を見せに来てくださるので、ご心配なさらないでください。従兄のこと、よろしくお願いいたします」
「おお。良くできた従妹さんだな。シェリクス家ではなく、私の息子のお嫁さんに欲しいくらいだよ」
「駄目です。そんなややこしこと言わないでください。本気で怒りますよ」
「聞いたかい。ルーシャ。君のお従兄様はいつも上司の私に厳しすぎる。正直怖いぐらいだ。レイスが戻ってきてから私は仕事しかしていない。レイスの弱みを知っていたら教えてくれないか?」
「ええっ。弱みですか!?」
「ルーシャ。聞かなくていいからな。ヘイゼル様は冗談がお好きなんだ。もう十分楽しみましたよね。帰りますよ」
「まだパンを買っていない。そうだ、このアップルパイもいただこう。レイスが食べたそうな顔をしている」
「ありがとうございます。今お包みしますね」
「次に来るのは三日後か?」
「いえ。来週の予定です」
「そうか。また来るよ」
また来ると言った瞬間にレイスが頭を抱えたが、ヘイゼルはそれを面白がっているようすだった。
「いや~。君の従兄は貴重な人材なのだよ。私をこうして叱ることが出来るのはレイスくらいなのだ。私は人事権を持っていてね。皆、気を遣って私の顔色ばかり窺うだ。今日のようにパンの香りに誘われて街へ出ても、追いかけっこが成立するのはこのレイスだけなんだよ」
「レイス様。完全に遊ばれてるじゃないですか」
包み終えたパンをヘイゼルに渡しながら、ヒスイがつい本音をもらすと、ヘイゼルは高らかに笑い出した。
「はっはっはっ。君もはっきり言うね。私の下で働かないか?」
「遠慮しておきます。僕には別の仕事がありますので」
「そうだな。よし、レイス。帰ってアップルパイを食べよう」
「なっ、そこは仕事しようって言うところですよ! 全く……。ルーシャ。また顔を出す。私の上司と会ったことは記憶から消去してくれ」
「ええっ!?」
ルーシャが反応に困っている間に、二人の姿はあっという間に見えなくなっていった。
「レイス様。苦労なさってるんですね」
「そ、そうね。でも、ちょっと楽しそうだった気もするわ」
「そうですね」
それからパンはどんどん売れていった。アリスは友人を連れて買いに来てくれたし、常連客と名乗る人も多く現れた。
皆、ブランジェさん家の新米従業員であるルーシャとヒスイを歓迎してくれた。
ただ、少し気になったのは男性客と女性客の反応が随分と違うことだった。
「あいつが売るよりパンが喜んでるよ」
「今日は無愛想な店員さんじゃないんだな」
「あれ? カルロまだ戻ってないのか?」
と、男性客は口にするが、女性客は、
「あら。ブランジェさん家? いつも店員さんがアレで買えなかったのよね~」
「カルロさん。来ていないってことは、お嫁さん見つかったの? もう求婚されなくてすむわ」
「私、坊やだったら買ってもいいわよ?」
等々。カルロはここでなにを売ろうとしていたのか、カオスだ。
ヒスイは自分を買おうとして来た客にも、笑顔で対応していた。
「僕はパンを売っているだけですよ?」
「あら。そうなの? 前の店員さんは好みの女性を見つけるとね、『パンと一緒に僕もいりませんか?』って言うのが口癖だったのよ」
「うわ~。酷い冗談ですね」
「冗談じゃないわ。本気よ。大体振られていたけど。じゃあ、また来るわね」
大体と言うことはたまに成功していたのだろうか。
それから常連さんの中には商売人も多く、パンを買うついでに色々な物をおいていってくれた。そのお陰で、昼を少し過ぎた頃にはパンは完売したのだが、朝より荷物は増えてしまっていた。
「えっと。りんごにレモン。ベーコンにワイン。それから、これは何だったかしら」
「ハーブって言ってましたよ。後はチーズとハムとソーセージ。砂糖と塩もいただきました」
どれもそれなりの大きさで重量感がある。
重さでいったら朝の倍以上。全部持てるだろうか。
「定期便が出るのはもう少し後よね。お昼でも食べにいきましょうか」
「いいですね。ただし、この荷物をどうするかですね」
二人が手をこまねいていると、隣で店を出しているおじさんが話しかけてきた。
「荷物なら見ててやるから、昼でも食べてこいよ。俺はカルロと一緒で一人で売りに来てるから、あいつとはよく交代で店番してたんだ。気にすんな」
「いいんですか?」
「ああ。今日は初めて売りに来たんだろ? そっちの客がうちにも流れて万々歳だったしな。王都見学でもしてこい。ほら、餞別だ」
おじさんは上機嫌でヒスイに王都の地図をくれた。
隣の店は茶葉を売っている。パンを買った後に寄っていく女性がたくさんいたので、懐が暖かそうだ。
「ありがとうございます。ルーシャ。行きたいところはありますか?」
「うーん。そうね……」
「あ、それなら……」
「この方ではないでしょうか?」
ルーシャが遠慮がちに視線を落とすと、ヒスイは先ほどの常連さんの首根っこをつまみ上げレイスに見せた。ルーシャがレイスを従兄と呼んだ時に逃げようとしたので捕獲しておいたのだ。
「へ、へい──ヘイゼル様。良かったです。早々に捕獲できて」
「捕獲とは失礼だな。それに君、力が強いね。驚いたよ」
レイスが呆れ返る中、ヘイゼルと呼ばれた男性はヒスイを見てウインクした。レイスの言った通り、やっぱり変な人だ。
「あの、ヘイゼル様は従兄の……」
「直属の上司だよ。そうか、君がルーシャだね。レイスから、君の話は一度も聞いたことが無いけれど、部下のことは全て調べ尽くしてあるから知っているよ」
レイスはヘイゼルを見てうんざりした顔でため息をついた。
「はぁ。ヘイゼル様。仕事が山積みですから帰りますよ」
「折角、家族に会えたのにいいのか?」
「ヘイゼル様がまだここにいたいだけですよね。帰りましょう」
「レイス、勘違いするな。君の従妹に言ったのだよ」
ニコニコと笑顔でルーシャの肩に触れたヘイゼルにレイスは顔を引きつらせていた。
「お、お気遣いありがとうございます。従兄はよく顔を見せに来てくださるので、ご心配なさらないでください。従兄のこと、よろしくお願いいたします」
「おお。良くできた従妹さんだな。シェリクス家ではなく、私の息子のお嫁さんに欲しいくらいだよ」
「駄目です。そんなややこしこと言わないでください。本気で怒りますよ」
「聞いたかい。ルーシャ。君のお従兄様はいつも上司の私に厳しすぎる。正直怖いぐらいだ。レイスが戻ってきてから私は仕事しかしていない。レイスの弱みを知っていたら教えてくれないか?」
「ええっ。弱みですか!?」
「ルーシャ。聞かなくていいからな。ヘイゼル様は冗談がお好きなんだ。もう十分楽しみましたよね。帰りますよ」
「まだパンを買っていない。そうだ、このアップルパイもいただこう。レイスが食べたそうな顔をしている」
「ありがとうございます。今お包みしますね」
「次に来るのは三日後か?」
「いえ。来週の予定です」
「そうか。また来るよ」
また来ると言った瞬間にレイスが頭を抱えたが、ヘイゼルはそれを面白がっているようすだった。
「いや~。君の従兄は貴重な人材なのだよ。私をこうして叱ることが出来るのはレイスくらいなのだ。私は人事権を持っていてね。皆、気を遣って私の顔色ばかり窺うだ。今日のようにパンの香りに誘われて街へ出ても、追いかけっこが成立するのはこのレイスだけなんだよ」
「レイス様。完全に遊ばれてるじゃないですか」
包み終えたパンをヘイゼルに渡しながら、ヒスイがつい本音をもらすと、ヘイゼルは高らかに笑い出した。
「はっはっはっ。君もはっきり言うね。私の下で働かないか?」
「遠慮しておきます。僕には別の仕事がありますので」
「そうだな。よし、レイス。帰ってアップルパイを食べよう」
「なっ、そこは仕事しようって言うところですよ! 全く……。ルーシャ。また顔を出す。私の上司と会ったことは記憶から消去してくれ」
「ええっ!?」
ルーシャが反応に困っている間に、二人の姿はあっという間に見えなくなっていった。
「レイス様。苦労なさってるんですね」
「そ、そうね。でも、ちょっと楽しそうだった気もするわ」
「そうですね」
それからパンはどんどん売れていった。アリスは友人を連れて買いに来てくれたし、常連客と名乗る人も多く現れた。
皆、ブランジェさん家の新米従業員であるルーシャとヒスイを歓迎してくれた。
ただ、少し気になったのは男性客と女性客の反応が随分と違うことだった。
「あいつが売るよりパンが喜んでるよ」
「今日は無愛想な店員さんじゃないんだな」
「あれ? カルロまだ戻ってないのか?」
と、男性客は口にするが、女性客は、
「あら。ブランジェさん家? いつも店員さんがアレで買えなかったのよね~」
「カルロさん。来ていないってことは、お嫁さん見つかったの? もう求婚されなくてすむわ」
「私、坊やだったら買ってもいいわよ?」
等々。カルロはここでなにを売ろうとしていたのか、カオスだ。
ヒスイは自分を買おうとして来た客にも、笑顔で対応していた。
「僕はパンを売っているだけですよ?」
「あら。そうなの? 前の店員さんは好みの女性を見つけるとね、『パンと一緒に僕もいりませんか?』って言うのが口癖だったのよ」
「うわ~。酷い冗談ですね」
「冗談じゃないわ。本気よ。大体振られていたけど。じゃあ、また来るわね」
大体と言うことはたまに成功していたのだろうか。
それから常連さんの中には商売人も多く、パンを買うついでに色々な物をおいていってくれた。そのお陰で、昼を少し過ぎた頃にはパンは完売したのだが、朝より荷物は増えてしまっていた。
「えっと。りんごにレモン。ベーコンにワイン。それから、これは何だったかしら」
「ハーブって言ってましたよ。後はチーズとハムとソーセージ。砂糖と塩もいただきました」
どれもそれなりの大きさで重量感がある。
重さでいったら朝の倍以上。全部持てるだろうか。
「定期便が出るのはもう少し後よね。お昼でも食べにいきましょうか」
「いいですね。ただし、この荷物をどうするかですね」
二人が手をこまねいていると、隣で店を出しているおじさんが話しかけてきた。
「荷物なら見ててやるから、昼でも食べてこいよ。俺はカルロと一緒で一人で売りに来てるから、あいつとはよく交代で店番してたんだ。気にすんな」
「いいんですか?」
「ああ。今日は初めて売りに来たんだろ? そっちの客がうちにも流れて万々歳だったしな。王都見学でもしてこい。ほら、餞別だ」
おじさんは上機嫌でヒスイに王都の地図をくれた。
隣の店は茶葉を売っている。パンを買った後に寄っていく女性がたくさんいたので、懐が暖かそうだ。
「ありがとうございます。ルーシャ。行きたいところはありますか?」
「うーん。そうね……」
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