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最終章
008 大切なもの
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貴賓室から飛び出してきたレオナルドに、ルゥナは自分の名を伝えると、彼は顔色を青くして後ずさった。
結界が壊されるなんて思ってもいなかったのだろうけれど、本物のアレクシアに気付けなかったなんて、とても哀れな人だとルゥナは感じた。
「そんな筈がない!? アレクシアは……」
「レオナルド様。アレクシア様は部屋の中にいらっしゃいます。結界に阻まれた空間には、もう誰もおりません」
ルゥナに言われ、室内へと目を向けアレクシアと目が合うと、レオナルドは認めきれない様子で唇を噛んだ。
替え玉が目の前にいる。それは、もう一人のアレクシアが本物だということを物語っていた。
「一体、何がどうなっているのだ。あの結界を破ることなど……」
レオナルドは廊下に崩れ落ち頭を抱えてしまった。ベネディッドは混乱するレオナルドに歩み寄り口を開いた。
「外側から破ると、城ごと壊してしまいそうでしたので、内側から壊させていただきました。なるべく、人知れず穏便に済ませたかったので」
「う、内側だと? そうか。貴様が……。しかし、そう簡単には……」
レオナルドは黒騎士姿のヴェルナーを睨み言葉を濁すと、ベネディッドは説明を続けた。
「魔剣ですよ。これで、黒騎士に扮した彼が、結界を壊しました。それから、ルゥナが着けていた王家の証も、これで私が外したのですよ。本物のアレクシア様の魔力を剣で断ち切ってポイっと」
「そ、そんな……」
ルゥナは魔剣の力を思い出し、そっと右腕を握りしめた。ルナステラを出る前、ベネディッドは王家の証を外してくれた。魔剣で作った結界内にて、瞳を煌々と赤く光らせ魔力を練り込み、腕輪の効力を一度失わせてから優しく外してくれた。
その時気付いた。魔剣の真の持ち主は、やはりベネディッドなのだろうと。ヴェルナーよりも濃くて重い魔力のうねりに、目眩を感じた。
「ですから、先程マルクがレオナルド様にお見せしたのは本物です。偽物だとバレてしまうかと思ったのですが、その心配は必要なかったみたいですね。余り目がよろしく無いご様子なので。あ、アレクシア様はどちらが本物か、もうお分かりですよね?」
「貴様っ。これ以上私を愚弄することは許さんっ。アレクシア。こいつらはルナステラを乗っ取るために私を騙し、お前を利用しているのだ。――衛兵っ! この無礼者共を縄にかけよ!」
怒りに任せてレオナルドが衛兵を呼びつけると、廊下に待機していた近衛騎士達が剣を抜きルゥナ達へと向け、遠くからも数多の足音が廊下に響く。
ルゥナはヴェルナーに手を引かれ、ヴェルナーのマントの中に匿われた。ベネディッドはアレクシアの前に剣を引き抜き立とうとしたが押し退けられ、アレクシアは前へ出て声を張った。
「お止めなさい! 私は先程、そちらの騎士様の魔剣の力を目の当たりにしました。怪我人を……。死者を出したくなければ、手を出さない方が賢明でしょう」
アレクシアの凛とした声に騎士たちは手を止めた。廊下の先に現れた近衛騎士の一軍は、マルクが率いているので、レオナルドへの援軍ではない様子だった。誰も味方がいないことを知らないのは、きっとレオナルドだけだ。
当の本人は、酷く動揺していた。
「あ、アレクシア? 何故そいつらを庇うのだ。衛兵を総動員すれば、こんな奴ら一網打尽に……」
「お兄様。まるで彼らが犯罪者のように仰らないでください。私は、彼らに助けていただいたのです」
「助けてもらっただと? 一体何を吹き込まれたのか知らないが、お前は騙されているのだ」
アレクシアの両肩を掴み、レオナルドは懇願し訴えかけるが、アレクシアの瞳は冷たく、兄を否定し首を横に振った。
「お兄様。それは違います」
「違わない。国に留まった方がアレクシアにも良いのだ。お前の想い人は近隣国の宰相の次男だ。地位も大したこと無い凡人なのだぞ? そんな奴にお前はやれない。開発中の第四地区には、お前の好きな外国の菓子や茶葉を取り扱った店を誘致する。ここにいた方が幸せな筈だ」
幼い頃から、人との関わりが苦手なアレクシアを守ってきたのはレオナルドだった。
周囲はアレクシアの才能を疎み、王座を脅かすのではないかとレオナルドから遠ざけようとしてきたが、人目を忍んで互いに認め合い支え合ってきた。
アレクシアが他国へ嫁ぐのは、ルナステラを想っての事。アレクシアはそれが避けられないから、相手に好意を寄せていると思い込もうとしているだけなのに。だから――。
「私の幸せを勝手に決めないでください。私はお兄様のような選択はいたしません。そんな開発をしても、国民の為にはなりませんし、私の大切な方々へ手を下そうとした事を、私は決して許しません」
レオナルドの手を振りほどき、アレクシアはベネディッドの方へと一歩下がり、レオナルドから離れた。
「……どうして、アレクシアが私を否定するのだ。アレクシアを理解し守れるのは私だけなのに」
言いながら廊下へとフラフラと歩み、レオナルドはルゥナを視界に捉えると、瞳に怒りを宿した。
「そうか。お前のせいか――」
呟くやいなや、レオナルドは腰の剣に手をかけ、ルゥナ目掛けて踏み込み引き抜いた。
勿論それはルゥナに届くことなく、ヴェルナーにいとも簡単に受け止められ、レオナルドは悔し紛れにルゥナを怒鳴りつけた。
「くそっ。邪魔をするなっ。お前がいなければこんな事にはならなかった。こんな奴らを連れて来たせいだ。お前らなんかに、アレクシアを奪われてたまるかっ」
「奪う? お言葉ですが、ベネディッド様。アレクシア様の大切な物を奪おうとした貴方には言われたくありません。それに、アレクシア様の言葉をちゃんとお聞きになりましたか? レオナルド様は、ご自身の事しか考えていらっしゃらないのではないでしょうか?」
「何だと!?」
ルゥナが思い任せに言い返すと、レオナルドは怒りのまま剣に更に力を込めるが、それがルゥナに届くことはない。
「アレクシア様のお気持ちを知ってなお、その様に束縛することしか考えていらっしゃらないからです。それは相手の事を大切にしたいという気持ちとは、反する物だと思います」
レオナルドは剣を握り締め、近衛騎士に指示を出そうとしたが、戦意の無い彼らの顔を見ると剣を落とし、その場に崩れ落ちた。そして、ベネディッドへと目を向けた。
「もういい。ルナステラは終わりだ。……ベネディッド様、貴方の好きにするがいい」
結界が壊されるなんて思ってもいなかったのだろうけれど、本物のアレクシアに気付けなかったなんて、とても哀れな人だとルゥナは感じた。
「そんな筈がない!? アレクシアは……」
「レオナルド様。アレクシア様は部屋の中にいらっしゃいます。結界に阻まれた空間には、もう誰もおりません」
ルゥナに言われ、室内へと目を向けアレクシアと目が合うと、レオナルドは認めきれない様子で唇を噛んだ。
替え玉が目の前にいる。それは、もう一人のアレクシアが本物だということを物語っていた。
「一体、何がどうなっているのだ。あの結界を破ることなど……」
レオナルドは廊下に崩れ落ち頭を抱えてしまった。ベネディッドは混乱するレオナルドに歩み寄り口を開いた。
「外側から破ると、城ごと壊してしまいそうでしたので、内側から壊させていただきました。なるべく、人知れず穏便に済ませたかったので」
「う、内側だと? そうか。貴様が……。しかし、そう簡単には……」
レオナルドは黒騎士姿のヴェルナーを睨み言葉を濁すと、ベネディッドは説明を続けた。
「魔剣ですよ。これで、黒騎士に扮した彼が、結界を壊しました。それから、ルゥナが着けていた王家の証も、これで私が外したのですよ。本物のアレクシア様の魔力を剣で断ち切ってポイっと」
「そ、そんな……」
ルゥナは魔剣の力を思い出し、そっと右腕を握りしめた。ルナステラを出る前、ベネディッドは王家の証を外してくれた。魔剣で作った結界内にて、瞳を煌々と赤く光らせ魔力を練り込み、腕輪の効力を一度失わせてから優しく外してくれた。
その時気付いた。魔剣の真の持ち主は、やはりベネディッドなのだろうと。ヴェルナーよりも濃くて重い魔力のうねりに、目眩を感じた。
「ですから、先程マルクがレオナルド様にお見せしたのは本物です。偽物だとバレてしまうかと思ったのですが、その心配は必要なかったみたいですね。余り目がよろしく無いご様子なので。あ、アレクシア様はどちらが本物か、もうお分かりですよね?」
「貴様っ。これ以上私を愚弄することは許さんっ。アレクシア。こいつらはルナステラを乗っ取るために私を騙し、お前を利用しているのだ。――衛兵っ! この無礼者共を縄にかけよ!」
怒りに任せてレオナルドが衛兵を呼びつけると、廊下に待機していた近衛騎士達が剣を抜きルゥナ達へと向け、遠くからも数多の足音が廊下に響く。
ルゥナはヴェルナーに手を引かれ、ヴェルナーのマントの中に匿われた。ベネディッドはアレクシアの前に剣を引き抜き立とうとしたが押し退けられ、アレクシアは前へ出て声を張った。
「お止めなさい! 私は先程、そちらの騎士様の魔剣の力を目の当たりにしました。怪我人を……。死者を出したくなければ、手を出さない方が賢明でしょう」
アレクシアの凛とした声に騎士たちは手を止めた。廊下の先に現れた近衛騎士の一軍は、マルクが率いているので、レオナルドへの援軍ではない様子だった。誰も味方がいないことを知らないのは、きっとレオナルドだけだ。
当の本人は、酷く動揺していた。
「あ、アレクシア? 何故そいつらを庇うのだ。衛兵を総動員すれば、こんな奴ら一網打尽に……」
「お兄様。まるで彼らが犯罪者のように仰らないでください。私は、彼らに助けていただいたのです」
「助けてもらっただと? 一体何を吹き込まれたのか知らないが、お前は騙されているのだ」
アレクシアの両肩を掴み、レオナルドは懇願し訴えかけるが、アレクシアの瞳は冷たく、兄を否定し首を横に振った。
「お兄様。それは違います」
「違わない。国に留まった方がアレクシアにも良いのだ。お前の想い人は近隣国の宰相の次男だ。地位も大したこと無い凡人なのだぞ? そんな奴にお前はやれない。開発中の第四地区には、お前の好きな外国の菓子や茶葉を取り扱った店を誘致する。ここにいた方が幸せな筈だ」
幼い頃から、人との関わりが苦手なアレクシアを守ってきたのはレオナルドだった。
周囲はアレクシアの才能を疎み、王座を脅かすのではないかとレオナルドから遠ざけようとしてきたが、人目を忍んで互いに認め合い支え合ってきた。
アレクシアが他国へ嫁ぐのは、ルナステラを想っての事。アレクシアはそれが避けられないから、相手に好意を寄せていると思い込もうとしているだけなのに。だから――。
「私の幸せを勝手に決めないでください。私はお兄様のような選択はいたしません。そんな開発をしても、国民の為にはなりませんし、私の大切な方々へ手を下そうとした事を、私は決して許しません」
レオナルドの手を振りほどき、アレクシアはベネディッドの方へと一歩下がり、レオナルドから離れた。
「……どうして、アレクシアが私を否定するのだ。アレクシアを理解し守れるのは私だけなのに」
言いながら廊下へとフラフラと歩み、レオナルドはルゥナを視界に捉えると、瞳に怒りを宿した。
「そうか。お前のせいか――」
呟くやいなや、レオナルドは腰の剣に手をかけ、ルゥナ目掛けて踏み込み引き抜いた。
勿論それはルゥナに届くことなく、ヴェルナーにいとも簡単に受け止められ、レオナルドは悔し紛れにルゥナを怒鳴りつけた。
「くそっ。邪魔をするなっ。お前がいなければこんな事にはならなかった。こんな奴らを連れて来たせいだ。お前らなんかに、アレクシアを奪われてたまるかっ」
「奪う? お言葉ですが、ベネディッド様。アレクシア様の大切な物を奪おうとした貴方には言われたくありません。それに、アレクシア様の言葉をちゃんとお聞きになりましたか? レオナルド様は、ご自身の事しか考えていらっしゃらないのではないでしょうか?」
「何だと!?」
ルゥナが思い任せに言い返すと、レオナルドは怒りのまま剣に更に力を込めるが、それがルゥナに届くことはない。
「アレクシア様のお気持ちを知ってなお、その様に束縛することしか考えていらっしゃらないからです。それは相手の事を大切にしたいという気持ちとは、反する物だと思います」
レオナルドは剣を握り締め、近衛騎士に指示を出そうとしたが、戦意の無い彼らの顔を見ると剣を落とし、その場に崩れ落ちた。そして、ベネディッドへと目を向けた。
「もういい。ルナステラは終わりだ。……ベネディッド様、貴方の好きにするがいい」
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