最後の春休み

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卒業間近

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 大学に通う必要がなくなり、一人暮らしのアパートを引き払って実家に戻ってから3週間が経とうとしていた。僕(湯川竜也)は今、高校時代までお世話になった実家のベットで横になっている。少し懐かしさを感じつつも、簡単なことでは感情が動かなくなってしまった僕は、[懐かしさなんてどうってこともないな]とも思っている。昔はもう少し感情豊かだったことを考えると、良くも悪くも色々人生経験を積んだなと22歳にして生意気ながら思う。
 まーそんなことはどうでも良い。そんなことより僕は実家に戻ってから頭にモヤモヤが発生し、ずっと消えないでいることに苦慮してる。1ヶ月弱後に大学を卒業し、新たな場所で働き始めるんだから、当然とも言えるんだが。
 とりあえず、3週間実家で大したこともせず、ダラダラしているのをどうにかしなければと僕は思った。今だって昨日夜通しゲームをしたせいで少しだけ昼夜逆転し、ベットの上で寝れないでいるのだから。母にはもう大学生だから変に怒られたりしないが、僕だけ別軸で行動してしまっていて申し訳ないし、そもそも生物学的観点からこの生活は可笑しい。でも、このダラダラ時間が就職後はなくなり、ジジイになるまで待たなきゃいけない可能性が高いことを考えると、この時間も貴重かなとも言い訳づくりをするかの如く思ってしまう。
 頭の中の天使と悪魔の囁きはさておき、本能的にこの生活は良くないと体が訴えてくるので、明日から何か真っ当な行動を取ろうと思った。そのとはなんぞやを自分なりに考えたいので、この寝れない虚無の時間を使って、軽く過去を振り返ってみることとした。
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